建築の設計を仕事とされている方でクラウドソーシングという仕組みはご存じでしょうか。ご存じの方は利用したことがありますでしょうか。
私自身は2、3年前からその存在を知り、なんか怪しいサイトだなと思いながらも様子をうかがっていました。そして一昨年、少し話題になればと思い、意を決して2年ほどクラウドソーシングを利用して建築に関係する仕事を行ってみました。
建築としてどんな仕事があったのか興味ありませんか?
今回のブログでは、私自身が実際クラウドソーシングサイトを活用してみた感想や、それによって私がどのくらい稼げたかということをご報告したいと思います。
ランサーズ
まず1つ目ののサイトをご紹介します。
こちらのサイトは国内初のクラウドソーシングサービスです。この業界の市場でも最大手といっていいでしょう。
ここで依頼の多い案件としては、デザイン業務やライティングまたはネーミング(キャッチコピーなど)、Web制作やシステム開発なども多いですね。
こちらに関しては建築に関する分野は少ないですかね。住宅デザインに関する企画業務の1件くらいしか受注してません。
ちなみにロゴデザインやキャッチコピーなどはコンペ形式で多くあったので最初のうち10件くらい応募してみたのですが、一度も引っかからなかったですね。
クラウドワークス
2つ目はこちらもクラウドソーシングの大手のサイトです。仕事も様々なジャンルがあり、そこから選べることができます。
ここでは住宅プランの企画や集合住宅のボリュームチェック、あと建築に関する記事などですか、それらに応募をしてゲットしました。
応募すれば必ず仕事がもらえるものではありませんので、何度か繰り返し応募を行って仕事を受けたかたちとなります。
ちなみにこちらでもロゴデザインやキャッチコピーなどがコンペ形式で多くありました。ランサーズと同様に最初は10件くらい応募してみましたが、一度も引っかからなかったですね。
スタジオアンビルト
そして最後のこちらは、建築に関する仕事に特化したクラウドソーシングサービスとなります。
ここはまさに建築の仕事しかないので、3つのなかで一番多く応募をし、受注も受けました。仕事内容としてはおもには間取りの提案やそのコンペなどですね。実施設計図面の作成などもあったりしましたが、それは双方の条件があわず、受注にはいたりませんでした。
上記2社との違いとしては、サイトを管理している人たちともやりとりができたので、距離感としてはより近く感じましたね。建築に関するある程度専門的なやりとりもできたので、会社の方に建築の専門家もいらっしゃるのでしょう。案件によっては電話でもやりとりしたこともあります。
クラウドソーシングで稼いだ金額と受注確率
そして副業の成果報告をします。
金額としては大体ざっくり30万円くらいですね。
割合としては大体このような感じです。
・ランサーズ:3万円
・クラウドワークス:7万円
・スタジオアンビルト:20万円
もっとこつこつ応募して仕事を獲得すれば建築の設計企画に関するものだけで一年50~100万円くらいは稼げるのではないかなと思います。
あと大体一件の応募に10~20人くらいの応募がありましたのでたくさんエントリーしておかないと受ける確率が落ちてしまいます。
感想とまとめ:建築をウェブのみで完結する時代はくるのか?
このような感じでざっくりですが、クラウドソーシングで建築の仕事を受けた内容をご紹介しました。
おすすめはやはり建築に特化したスタジオアンビルトになるでしょうね。サイト管理者からのフォローもあったりするので一番取り組みやすかったですかね。
とはいえこのシステムの良いとこ悪いところも見えましたし、建築士としての仕事の未来を考える良い機会にはなりました。
クラウドソーシング活用のメリット
メリットとしましては、ちよっとしたお金を稼ぎたい人にはあってるかと思います。
すぐ成果に対して報酬が確定されるのはいいところですね。こういう仕事が設計事務所時代にあったら副業でおおいに活用してたような気がします。
そう考えると仕事がいろんな可能性としてひろがって面白い時代になりましたね。企画デザイン程度の仕事でありますので、建築士の資格をもっていなくても仕事はできるというのもメリットにはなるかと思います。空いた時間を埋める建築バイトのような感覚で仕事ができるというのはときと場合によっては働きやすい部分はあります。
提案内容も譲渡し、そのあとはそのクライアントの責任のもと行われるのでそういう部分では気楽ですかね。建築士としてのあと一から最後までの仕事にかかわるわけではないので、後でその仕事に引っ張られることもないというのは仕事を割り切れるかたちにはなりますね。
クラウドソーシング活用のデメリット
反対にデメリットとしましては、上記からなるやりがいや責任がないということになりますかね。やはり建築士という資格をもっていることを存分にいかすことはここではできないかなと思います。建築士として仕事を受けていただく報酬とは程遠い部分はあります。
また、デザインや企画内容はクライアントに譲渡というかたちとなりますのでやった仕事が自分のなかに蓄積されないということもあります(そのサイトのなかで仕事を受けた実績としては残りはしますが)。自分の設計事務所の仕事として正式に受けるというかたちにはなかなかなりません。
まあ、うまく本業と使い分けながら、仕事でお金をもらうというのはこういうことなんだと割り切って仕事を行うことができる人にはいいかもしれません。
利用しているユーザーはどんな意識なのだろう?
ユーザーにとってはどんなものであるのか少し意見をうかがってみたくもありますね。
この仕組みがたとえば間取りの提案として行った場合、家づくりとしてどのくらいそれがいかされているのかは非常に興味のあるところです。
書類のやりとりなど、わずらわしさがなくなるという点ではいいかもしれませんが、家づくりとしての責任が自分自身に多くのしかかってくることのたいへんさもでてくるのでしょうね。
今後このような仕事の仕組みが建築という分野で発展していくのかは、これからもチェックしていきたいと思います。
建築の仕事の受注の未来は?
さてさて、これからまだどんな仕事のしかたが生まれるのか楽しみであります。
10年、20年前と同じような設計事務所のスタイルで仕事をしている今、やはり私は疑問も感じたりはしています。しかしながら矛盾してはいますがそこにあこがれもあります。
まだ30年、40年くらい建築士としての未来がある私にとってはより先を見越した仕事のしかた、取り方をこれからも模索していきたいと思っています!