建築学生へのアドバイス

建築学生よ本を読もう!おすすめ建築・デザイン関連書籍の紹介

建築は訪れて触れて感じ、そして私たちであれば設計するという存在でもあります。しかしながら建築を書物で読むということも大事です。

それはすぐに何かに役立つわけではないのですが、確実に読んだ分あなたのなかに蓄積され、人生の糧になることでしょう。

建築をこれから大学で勉強する学生へのアドバイス

ブログでも読書を建築学生にはすすめましたね!時間があるうちにたくさん読んでくださいね

さて、建築に関する本といいましてもそれはたくさんあります。今回は私が厳選いたしました本をテーマにわけながらご紹介していきたいと思います。

パウレタ(一級建築士)
たくさん読んだなかからセレクトしたものなので、わりと充実したものになっていますよ!

建築ノンフィクション

建築関係の本もいろいろあるのですが、特に私が好きなのが建築プロセスをドキュメンタリータッチで描くノンフィクション本ですね!建築家が主役であったり施主がそうであったりと設定は様々なのですが、そこにはひとつの建築が生まれることに対するリスペクトがたくさんつまっていて自分の選んだ建築という道に誇らしさを感じることができます!

光の教会安藤忠雄の現場

安藤忠雄の象徴的代表作「光の教会」の建設計画をとおしたストーリーです。施主と建築家との出会いから始まり、名建築が生まれる過程が描かれています。教会を担当した安藤事務所スタッフや現場監督など登場人物の様々な視点から語られたスタイルに、読んでいてついそれぞれの立場になってしまいます。読後感の爽快に感動も最高ですね!この本を読んでから建築ノンフィクション系の書物を探しては読み漁ることになりました。

磯崎新の都庁

現在ある東京都庁は建築コンペを経てつくられたものです。設計したのは世界の丹下こと丹下健三氏ですが、本の主役は同じくコンペに参加した建築家磯崎新とそのスタッフです。物語では都庁のコンペ案をつくりあげる過程がおもに描かれていてこれが面白い!私たちはコンペの成果物である提案作品を見ることくらいしかできません。それらがどのようなプロセスを経て生まれたかという苦労や思考はそこに関わった人にしかわからないわけです。そこがこの本では描かれているのが興味深く、とても素敵な本となっています。

中野本町の家

建築というものは基本、人の手で設計、施工され、必ず寿命というものが存在します。でも寿命は建物の物理的な理由だけはありません。この本は、あるひとつの建築住宅作品が建築家伊東豊雄の手によって設計されが完成し、さらに解体にいたるまでが施主の目線から描かれています。住宅には個人の歴史、家族の歴史が刻まれています。建築を設計することの責任と自分の設計した建築が壊されていくという現実に対する寂しさがその読後の余韻としてあらわれてきます。

体験的高齢者住宅建築作法

この本では、編集者やライターとして住宅に関わってきた施主が著者として新たな終の棲家を若手建築家に依頼して建てるプロセスを率直に綴っています。著者は職業柄、建築に対する理想も高い人なのが文章から読み取れます。だからこそ、その過程も困難がある、でもそれは建築家にとってはすばらしい壁となっていたようです。そんな著者と建築家とのやりとりする姿がリアルに描かれています。本にあらわれているものは建築家と住宅を建てるという強い想い。こんな施主にめぐりあえるのは建築家としては勲章に等しいですね!

町の未来をこの手でつくる~紫波町オガールプロジェクト~

全国の地方自治体では「地域活性化」「まちづくり」と言って多額の補助金を公共事業へとつぎこんできました。しかし目算が甘く、施設をオープンしたもののすぐに閑古鳥が鳴いてしまう事例が多いです。この本では主人公が補助金に頼らずに自分の故郷を再生していくドラマが描かれています。事例のないプロジェクト手法を推し進め、立ちはだかる困難と懸命に向き合う登場人物たちに敬意を表したくなりますね!

安藤忠雄の書いた本

言わずと知れた世界的建築家安藤忠雄。彼に関する本って多いですよね。でも売れている理由というのが実際に読んでみるとよくわかります。彼の書く本は、けして他の建築家のように難しい言葉を使っているわけではなく非常に読みやすいんです。そして言葉が率直で熱いんですよね。読んだ人は彼のファンになるでしょう!

建築を語る

独学で建築を学び、そこから世界を代表する建築家とまでになった安藤忠雄は、ついに日本の最高学府である東京大学大学院の建築学科教授として迎えられます。著書はその当時の大学院生への講義をもとにつくられたものです。たいへん文章も読みやすいですし、ダイレクトなメッセージがぐっと私の中に入ってきましたね!それからというもの彼の作品を実際にたくさん見に行くことになりました。

連戦連敗

この本も上記と同様に東京大学での講義を本にしたものです。安藤忠雄が書いた本の中で私は一番好きで何度も読み返していますね。何が良いって建築コンペについてのエピソードが描かれているのがいい!しかも世界的な建築家ら集う最高の舞台が用意されていてのガチンココンペ勝負です。そこに日本を代表して安藤忠雄自身も真っ向から戦いに挑んでいるんです。この著書を書いていたとき、安藤忠雄でしてもコンペの勝率は10~20%くらいであったそうです。何度負けても挑戦するのは真剣勝負からでこそ生まれる創造力があるだと彼は言います。情熱的なすばらしい言葉です!

建築に夢をみた

この本は一般の人にもわかりやすく書かれた文庫本となっていて、はじめて安藤忠雄本を読む方おすすめです。彼自身の体験や勉強しきたことが語られていて読みやすく、特に彼が旅先で訪れた名建築の数々について語るところなんかは建築を学び始めた学生さんにはちょうどいい勉強のとっかかりになるかと思います。学校の講義を聞いているよりもずっといいかもしれませんよ、というと語弊がありますかね(笑い)。

コルビュジェの書いた本

近代建築の三大巨匠の一人であるル・コルビュジェ、彼の作品や考えは多くの建築家に影響を与えました。まず彼の建築作品を見てほしい。穴があくまで読み解き勉強してほしい。写真、図面、文章、そしてその地にまで足を運んでもほしいです。最低限は彼の作品をはじめとした功績には目を通しておくと、大きな歴史の流れを経て今なんだということを理解できますよ。もちろんフランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエという巨匠たちも著書を残していますが、とりあえずコルビュジェ!おさえておいてください!

建築をめざして

コルビュジエが自伝を織り交ぜながら建築思想を宣言している本です。「住宅は住むための機械である」という彼の有名な言葉はこの本から生まれました。仕事から社会に問題提起し、思想をキャッチコピー化し作品として表現するという、理論から実践までをプレゼンテーションしたスタイルから学ぶべきところは多いです。建築をやってる以外の人にも読んで欲しいですね。

小さな家

コルビュジエが隠居する両親のために作ったスイスの湖畔に建つ家を彼自身が説明した本です。住宅をまず設計し、それからそれにふさわしい土地を探したというのは有名な話ですよね。 わずか60㎡の小さな家には多くの愛に満ち溢れたアイディアが詰め込まれています。 本自体も設計プロセスを80ぺージほどにまとめたコンパクトなものとなっています。写真やコルビュジエの描いたデッサン画が載っていて、それらを用いながら設計するときの彼の視点がうかがえて興味深いです。こだわり箇所や、敷地を選ぶまでの経緯などあますことなく書かれている本です。

建築論

建築の本はなんだか小難しい、そう思えたのはこれらの類の本のせいでもあります。建築を学び始めたばかりの学生はまだ読まないほうがいいです(笑)。でも建築を学んでいってからこれらの本を手にとるとまたその考えを改めることになるかと思います。建築論というものがあるということの誇らしさ、この学問の道で良かったと思えるようになればあなたも立派な建築人!

近代建築とマニエリズム

コーリン・ロウという建築学者による論考集成で、多くの建築人に読まれてきた本です。表題にあるマニエリスムとは16世紀から17世紀にかけて生まれた美術様式を言います。この様式はルネサンス期に完成した自然描写技巧を駆使しながらも、反対に不自然なまでの誇張や非現実性な表現にまで至っているのが特徴です。著者はマニエリスムに触れながら近代建築が不自然で矛盾のある表現だと論じています。その他の論考 「理想的ヴィラの数学」では、コルビュジエ作品とパラディオ建築の類似性を数学的に証明し考察しています。この論考が一番わかりやすいものになっていますね。これだけでも読んでみて、もしいけそうなら次に表題とこちらも有名な「透明性-虚と実」を読んでみてください。

建築の多様性と対立性

アメリカ人建築家ロバート・ヴェンチューリによるこの著書は、建築を学ぶ人たちにとってバイブルとなっています。彼もコーリン・ロウより早く近代建築に異論を唱えた人で、歴史的建築を事例にあげながら単純化されすぎたこれらを批判しています。近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの名言「less is more」を「less is bore」と皮肉った言葉は有名です

でも著書はただの近代建築アンチ本ではありません。コルビュジエ作品について多様性と対立性が見て取れると擁護しています。彼が批判しているのは近代建築における排除による安易な統一性を否定しているんです。つまりは当たり前に今私たちの目の前に乱立している建築群です。建築史の基本的な流れを理解したあと再読するとより著書の素晴らしさがわかるでしょう。ちなみに後半の自らの作品の解説はやや退屈かな。だってあまり良いと思えないんですもの(笑)。

建築の解体

2019年度、建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞を受賞した日本人建築家磯崎新の書いた建築論考です。1975年に書かれたこの著書は近代建築の考えが解体し多様化していった1960年代後半の動向を、当時のアンビルドアーキテクトを含めた新鋭建築家の作品や論文、著書などを取り上げ、分野別に類型化しながら紹介し考察しています。アートに近いものや都市計画案など建築以外のものも登場してきます。 あの時代に世界の建築家の状況を把握しポストモダニズム到来を予見しているところがすごいです。彼の知性が今の時代ピークを迎えていたならどんなことを言っていたのか個人的にはとても興味を持ちますね。

さて、私なりに読み解いた文章を読者にうまく伝わりましたでしょうか?正直、建築論で書く文章にだいぶ時間がとられてしまいました。このように、建築論は自分で読み、誰かにわかりやすく伝えようとすることで論考の意図を理解できるものなのかもしれません。是非時間が多くとれる学生時期に挑戦してみてください!

建築プロジェクト遂行ためのソフトに関して書かれている本

建築をつくるにあたっては、設計や工事のほかの部分が複雑にからみあって社会に成立しています。ご紹介するこれらの本はその過程にはどんな側面があるのかを教えてくれます。新しく建物ひとつ建てるだけで文句が言われるこの時代、よりよい建築をつくっていくには、ソフトを充実しなくてはいけない。そこに力を注ぐ方たちの言葉には、建築のこれからを新たな視点で開拓しようとする強い意志を感じます!

プレデザインの思想

この本では著者の建築計画学者という仕事の紹介、そして自身の研究とコンサルタントとして事業計画に関わる実践から導き出されたよりよい建築空間の実現方法が語られています。建てる前、まず建物に必要なこと、人がそこでどうするのかを明らかにすることが大切です。建築が美しければ良いとは限りません。設計者にとってもその行為の根拠を見直すことのできる本になっています。

建築プロデュース学入門

建築プロデュースとは、建物をつくるうえでの資金集め、人集めなど、プロジェクトの方向づけ、広報など事業性の観点から関わっていく仕事です。建築はものづくり面も重要ですが金と人がどう関わっていくかのプロセスも重要です。著書では建物の出資者、共同協力者をどう説得していくかを事例を用いながら深く掘り下げ、ノウハウにまで落し込んでいます。一つの建物をつくることにはこんなにもエネルギーが注がれているかということが文章から伝わってきます。

施設参謀

オフィス、店舗等の施設を建築するにあたっては、クライアントが設計者に設計を依頼し、ゼネコン等が施工する一般的な流れがあります。そんな中、より良い建物を実現したいクライアントのため、第三者的な立場で助言を行うプロジェクト・マネジメントやコンストラクション・マネジメントという仕事があります。この本ではそれらの業務を企業から請け負う会社代表の著者が、建設コンサルタントの必要性を今までの経験から事例とともに、わかりやすく伝えています。クライアント目線でプロジェクトに本気で関わろうとする情熱を著書から感じます。

建築と不動産のあいだ

敷地があって建築があります。このように近い分野ある建築業界と不動産業界ですが、実際、相互には壁があります。それは建築は建築基準法、不動産は民法・宅建業法と法律が異なりますし、建築士、宅地建物取引士と資格も異なり、各々が建主に関わってしまっているからです。設計事務所に勤務後不動産業へ転職し、不動産会社を立ち上げた著者は、現在建築と不動産それぞれの分野のコラボレーションをする事業を行っています。本では建主の想いを不動産会社・設計者・工事会社がしっかりと受ける提案フローが紹介されています。それらはクリエイティブな価値をつくりだす建築の流れを作り出していて設計者としても大変参考になるものとなっています。

建築以外のデザイン本

建築以外のデザインの本からも多くの学ぶところがあります。デザイナーという職種の人たちが書く文章が読みやすく説明が上手です。この伝え方の巧みさによって建築家による文章がいかに読みにくいものであるかのがわかります。クライアントという仕事の発注者がいての私たちであり、彼らとそして利用するすべての人たちに丁寧にデザインというものを伝えなくてはいけないなということを実感させられる本の数々でした

ファンタジア

芸術家、発明家、教育家など様々な顔を持つイタリア人デザイナーが論じる本書では、「ファンタジア」という聞き慣れない言葉の定義からはじまります。そしてそれについての分類と分析がなされます。抽象論に終止せず事例をふまえながら説明され、多くの資料写真とともに記された言葉には著者の遊び心があふれています。「ファンタジア」を本書をとおして感じれば感じるほど、考えれば考えるほど限界が見えないものであるというのが私の感想です。だから何度でもこの本を読みたくなります。この本には無限の情報があるような気がしますね。何回も読んでそこにあふれる情報をつかみとってください。必ず読んだ人にとってそれは財産になるはずです。

デザインのデザイン

私は最初この著書を読むまでは「デザイン」というものは造形または色彩等からなる表層的な部分でしかとらえてないことに気づかされましたね。この本では「デザイン」とは何かという禅問答のような問いに対し、多岐にわたる視点から真摯に答えています。デザインの歴史から持つ意味や意義について、または著書自身のプロジェクトによる具体例を織り交ぜながら語られるデザインは、まさに著書のタイトルに合致した内容であります。デザインという行為をどう言葉に変換し意識するかを考えさせられます。

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

本書はイラストレーターであり、アートディレクター、デザイナーでもある著者が「どうすれば、わかりやすく伝えられるのか」についてを、自身のデザイン経験を用いながら解き明かしていく楽しい形式のものとなっています。著者が今まで体得してきたイラスト・デザイン技術の分析や思考方法、本の書評や本の装丁アイデアのケーススタディなど、内容は多種多彩で飽きることがありません。本でありながら著者自身のアイデアノートのようでもあり、それをのぞかせてもらえる体験はなかなか興味深い読書体験でありました。

まとめ

いやあ、ついたくさんご紹介してしまいました!今回は建築やデザインに関しての本でしたが、それ以外にもみなさんに是非読んでほしい本がたくさんあります。また機会をもうけていきますので楽しみにしていてください!

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