建築学生へアドバイス

見切りづけも勉強だ!建築学生に向けた卒業設計の進め方まとめ方

 私自身、卒業設計に関するブログを何回か書いています。なんでわざわざそんなことをしているのかなと今回も書きながら考えたりしていました。

 おそらく、昔の自分に伝えたいことを書いているのだと思います。実際にそれはできないので、現在は今まさに一生懸命がんばられている学生さんに伝えたいと思い、書いています。

おそらく一級建築士試験に関する記事もそうなのでしょう。

 私なりに良質な建築の人材をこの業界に残したいなというのが昔の自分を想定してブログを書いている原動力となっているのでしょうね。

 少し前置きが長くなってしまいましたね。すみません。

 そこで今回は卒業設計においての進め方や期限がせまってきてからの提案のまとめ方、見切り方について私なりにアドバイスができればと思います。私自身、建築学科の大学院時代に4年生の卒業設計を見てアドバイスしていた時期もありましたので、その経験、そして自身の経験をふまえながら、書いて行けたらと思います。

卒業設計の進め方に関するアドバイス

 上記にリンクしたブログでもスケジュールの大切さは書いておりますが、もう少し具体的な数値に関することにも言及してゆけたらと思います。

卒業設計を考え始めるのはいつくらい?

 まず学生のみなさんが行ってきた授業の設計課題を思い出してください。設計課題でも大体1か月半から2か月くらいの期間がとられていたかと思います

パウレタ(一級建築士)
それを考えると卒業設計にかける時間はもっと必要というのはわかりますよね

私の見解としては、卒業設計に取り組む時間としては、上記の3~5倍くらいは必要でないかなと考えます。人によってはそれ以上に気合をいれてのぞんでいる方もいらっしゃるでしょう。

 それを考えると、卒業設計にかける時間は、最低でも半年くらいの期間は確保しておきたいところですよね。

 卒業設計の成果物の提出が1月から2月にかけてくらいであると想定すると、夏休みに入るくらいからはスタートしていきたいところですよね。

本格的に始める前の下準備はやっといたほうが良い

 上記で上げた期間はあくまでも本格的に取り組み始める期間で、それまでゼロでもいいよということではありません。おそらく大学4年生であるならば、まるまる半年間を卒業設計にささげることはできないはずです就活がずれこむ人もいるでしょうし、大学院の進学を考えている人は入試もあったりするでしょう。バイトもしなくてはいけない人もいらっしゃるかもしれません。

 なのでとりかかる下準備は少しでもやっておいたほうがいいです。少なくとも、敷地の候補とやりたいテーマの候補は前半のうちに出してしぼっておきたいですねこういう大枠はさあ考えようとしたところですぐには決められません。少し作業をしてみて、やっぱり違ったかもしれないと方針を修正することもあります。

 卒業設計については就活や大学院の口頭試問などで聞かれることも多いです。これらを利用しながら、ざっくりした計画準備を用意しておいて損はないかと思います。

パウレタ(一級建築士)
ちなみに私は大学院に進学したのですが、口頭試問で卒業設計については質問されました。大学院進学で受験した友人のほとんどが聞かれたようですね。就職試験の面接でも聞かれたと同じゼミの子も言っていました

取り組み始めるまでに準備しておきたいこと

 それまでにぜひやってみてほしいこととしてはやはり卒業設計で使用する予定のCADやプレゼンソフトのマスターですかね。やりたい作品に対する表現ができていないととても残念な成果物となってしまいます。できる人を探してやってもらうというのも一つの作戦ですが、そんな人はなかなか見つかりません。

パウレタ(一級建築士)
私の経験上、模型製作と、かんたんなCAD図面を書いてもらう程度の手伝いを想定していたほうがいいですね。あまりあてにしすぎないほうがよいかと(笑)

優秀な人材は引く手あまただしね(笑)
先輩(一級建築士)

アイデアのまとめかたの勉強もせよ!

 卒業設計は大体の人が設定が自由であります。よりコンセプトやアイデアを大事にあたためていらっしゃる人もいるでしょう。

 何度も言いますが、せっかくのいいアイデアがあってもそれをかたちにできないと意味がありません。それをトレーニングする機会を積極的にもうけていきましょう。

たとえばコンペ前期の設計課題を活用してみるのもいいかもしれませんし、就活の準備でポートフォリオの作成をしている人はそこを利用してもよいかもしれません

 こういう訓練の積み重ねが、アイデアに行き詰まった自分を助けてくれたりします

 常に卒業設計のことを頭に入れながら日常をおくるというのもいいですね。気づいたことやイメージがあったらメモしておきましょう。ふとおもいついたことってすぐ忘れてしまいがちです。書かないでそのまま家についていざ作業をしてみようとしてもなかなか思い出せないということも多いです。

パウレタ(一級建築士)
これは私がそうでした

もちろんそのアイデアが生かされるかどうかというのはわかりませんが、たくさん検討することでそのいくつかは使えるものになってきます。そしてそれはいつか設計を仕事として働き始めてからいかされることになるかもしれません。

 常に何か生み出す訓練はものづくりにおいては必要です。その積み重ねが未来にいきてきます。出し惜しみせずにどんどんアイデアを積み重ねていきましょう

卒業設計のまとめ方に関するアドバイス

 大体、大学における卒業設計の提出は1月の半ばから末にかけてが多いかと思いますので、12月に入ったらもうまとめていってプレゼンを行っていく必要があると思います。

パウレタ(一級建築士)
前述もしましたが、これはもう何回でも言いたいです。せっかくのいい提案でも、それが表現されていないのなら意味がありません

卒業設計時点における自分の能力から制作時間を計算せよ!

 プレゼンの材料である設計図面図書や模型などがどのくらいかかるかをきちんと計算できることが卒業設計の成果を大きく左右すると考えていいです

自分にはどのくらいその技術があってどういう作業をしなくてはいけなくて、

それが自分一人であったらどのくらいの時間を要するか、

何人手伝いを動員すればその時間はどのくらい短縮できるのか。

ここいらへんを計算することはとても大事であります。社会でもそれが大事になってくる場面が多いです。

学生のうちはそれがなかなかできる人というのは多くはないでしょう。

パウレタ(一級建築士)
私にはその能力の訓練が当時は欠けていました

ですので私は余裕をみて12月に入ったら少しずつプレゼンの準備を行ったほうがいいですよと言っているわけです。

卒業設計は検討に見切りをつける訓練と思え!

 設計という作業は極論からいうと、これがいいということがありません。私自身、卒業設計を行っていたときは、もっと考えたかったけれども、提出期限というものがあったので、見切りをつけてまとめていったという思い出があります。

 社会に出てもそうです。設計はクライアントがいて契約期間がきちんと設定されています。そのなかで仕事をしなくてはいけない。これで完璧と自分が思うまではなかなかいきません。

パウレタ(一級建築士)
でもある程度まとめる技術がありますので、クライアントの満足度に関しては満たすことはできています。ここは最低限なレベルではありますけどね

 期限があることを考えると、どこまでいけばそこそこ納得いくものになりそうかということに対しては、今までの設計課題や提出したコンペの経験を物差しにして決めていただけたらと思います。

パウレタ(一級建築士)
ただ、卒業設計は自由度の高い制作でありますのでなかなか線引きはしにくいかと思いますが。。

 最低限の境界として私があげるなら、図面として成立できて、それが小さなスタディ模型で確認できたのであればもうプレゼンの作業に徐々に入っていって良いでしょう。担当教官にそれがOKだされたならもう自信をもって進めてかまわないと思います。

 ある程度時間がせまられてくると担当教官の先生も卒業させなきゃという意識がでてきてしまうので、あまりまとまってなくとも、「もうプレゼン作業にうつれ!」なんて言ってくるはずです。先生から言われたらけっこうやばいと感じてもらっていいですね。

先輩(一級建築士)
もう頭は提出することに切り替えて作業にうつりましょう!!

先にレイアウトを考えよう!

 作業に入っていくとして先に考えておくとよいのが提出図書のレイアウトです。

 どのくらいの量を最終成果物として提出しなければいけないかとその学校で異なるかと思いますが、自分が今計画している設計の規模に対して、その程度の図面が適切かは実際にプリントアウトして検討しておかなくてはいけないでしょう

 一番みせたいイメージのパースもしくは模型写真の大きさはどのくらいになるのか、そこを考えると模型の作業やパース作成の作業もみえてきますし、その作業時間も具体的に見えてくるはずです。

パウレタ(一級建築士)
伝わるかどうかということを考えていくと、自分が最低限やらなくてはいけないことが徐々に見えてくるはずです

 私は当時、大学院の先輩のアドバイスから上記のように卒業設計の提出図面をたたき台でプリントアウトして最初にレイアウトを吟味しました。こういう最終のかたちをイメージしながら作業を行うことがモチベーションにもつながりますし、効率的であったなと思います

パウレタ(一級建築士)
ちなみに仕事をするようになってからもコンペやプロポーザルのとき、上記のようにレイアウトを最初に考えるというスタイルは変わっていませんね

 ほとんどの人は時間がないとおもいますので、くれぐれもネタ(パースや模型など)をなんとなくみつくろって、レイアウトはあとで適当に組み合わせればいいやという考えはやめたほうがいいと思います

文章も先にある程度書いておけ!

 設計内容に関する文章や図なども重要になってきます。最後に書ける余裕があればそうしたいのですが、どうしてもそういう時間は最後になってくると少なくなってしまいます。そうなると人間、焦ります。

パウレタ(一級建築士)
私はあせっちゃうともうぜんぜん頭が働くなる人なんですよね

あせるとうまく文章が浮かんできません。コンペでもそうですが、本当に浮かんできません。焦りながら無理やり書いていくと、文章が支離滅裂になってどうしようもない駄文になってしまいます。

 ですのでできるだけ、こつこつ文章は書いておいて、いざ編集するさいにはそれなりの量がある状態にしておきましょう

あと文章を書くコツとしましては、人前で発表する原稿を想定して書いておくというのがいいですね。発表原稿はそれを言うだけにしておくと効率的な作業になるかと思います。

パウレタ(一級建築士)
要は文章は伝わるようにシンプル書けということです!

徹夜作業は最後にとっておけ!

 これは私もやっていたのでしかたがないのですが、どうしても徹夜しなければいけないときのみ使うようにコントロールしてほしいなと思います。やはりあたりまえのことなのですが、人間睡眠がきちんととれないと頭も働きませんし、体にもよくありません

パウレタ(一級建築士)
体調を崩してしまっては元も子もないです

ですので徹夜はせいぜい提出前日とかそれくらいにしてほしいなと思いますね。あと、もし前日以外で徹夜作業するのであれば模型などの作業に徹することをおすすめします。頭脳は睡眠なしには効率的には働きませんから。

まとめ

 という感じで私のおもいもふまえながらいろいろ書かせていただきました。

 言い方があまり良くはないのですが、提出期限ラインを設定してそこがきたら、あきらめる、妥協するということをしていかなくてはいけません。学生のうちにそういうことをきちんと自分で設定っして行動しておくと、社会に出てからけっこう仕事がしやすくなると思います。ぜひこの機会をおおいに活用しながらご自分の学生生活の集大成をかざってください!

一応言っておきますが、卒業設計はゴールではなくスタートラインです!!

↓卒業設計に関する記事です。あわせてご覧ください!

↓卒業設計や課題、ポートフォリオをまとめるソフトに関するまとめ記事です。ご興味あればぜひご覧ください!

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