建築と働き方

コンペ、プロポーザル、入札?建築設計の仕事受注はどれがいい?

建築設計のお仕事はクライアントがあってこそ成り立ちます。そのクライアントが企業や国、地方自治体などの場合、直接設計者ただ一人(もしくは一社)に特命で依頼をする、なんてことはほとんどありません。たいがいは、建築設計のコンペプロポーザル、または入札などで仕事を受注することがほとんどです。

ではこれらのやり方それぞれがどんなもので、さらにはどのやり方がいいのか?今回はコンペ、プロポーザル、入札という方式の特徴をあらためて解説しながら、どういう向き合い方をしてゆけばいいのかを考えていきましょう!

コンペとプロポーザルの違いって何?

まずはコンペとプロポーザルって同じじゃないの?

と混同されている方もいらっしゃると思いますので整理してみたいと思います。

コンペ方式

 コンペ(正しくはコンペティションですが以下コンペで呼称します)は「設計競技」とも呼ばれ、建築物の設計依頼にあたって複数の個人また法人の設計事務所から設計案を募集し、その中から最も優れたものを選びます

 コンペのかたちとしては、すべての設計者に参加機会を与える「公開型コンペ」、そしてあらかじめ何社かの設計事務所にしぼった段階で案を提出させる「指名型コンペ」があります。

プロポーザル方式

 プロポーザルは「企画」または「提案」を意味する言葉であります。この方式は、建築物の設計者を選ぶにあたり、複数の個人または法人の設計事務所に企画提案してもらい、その中から最も適したところを選びます

 提出書類には企画提案のほかに、設計者の技術力や経験、チーム体制などを記載することになります。これが客観的な評価基準によって公正な審査が可能としています。また選定プロセスの透明性も確保できることから、より客観性を持った設計者の選定が可能となるわけです。

 またプロポーザル方式は設計の提案ではなく、実施方針や設計体制、実績等に関する書類が主となり、企画部分は設計図を描かないほんとに企画提案にとどまります。ですのでコンペ方式とくらべ、主催者側および提出者側の費用や労力、時間の負担が小さくなることもメリットとなっています。

プロポーザル方式の種類

 プロポーザル方式にもいくつか種類があります。

公募型プロポーザル方式

 公募型プロポーザルは、設計者によって提出された提案書に対し、発注者である地方公共団体がそれを総合評価することで受託者を決めます。

 また公募型に対して発注者が一定の条件をもとに設計者を指名する「指名型プロポーザル」という方式もあります。

環境配慮型プロポーザル方式

 環境配慮型プロポーザルは、温室効果ガス等の排出削減に配慮する内容を含んだ選定方法です。国などが建築物の設計業務を発注する場合、原則としてこの方式が採用されます。

プロポは大きな設計事務所が有利

 上記をかんたんにまとめますと、コンペが最も優れた「設計案」を選ぶ方式であるのに対し、プロポーザルは最も適した「設計者(個人もしくは法人)」を選ぶ方式であるということになります

 以前は大規模プロジェクトではコンペ方式をとることが多く、そのなかでこれまでの建築の常識を覆すような斬新で刺激的な提案も多くうまれ、若手の設計者にも一発チャンスとしての機会が生まれていた印象を受けます。

 しかしながらコンペの当選案は予算面で問題が起きることも多々あり、最近のほとんどはプロポーザル方式となっています。ですので逆にいうと、実績の少ない若い設計事務所は「参入しにくい」かたちとなっている現状もありますね。

入札とは?

 入札(一般的には競争入札となりますが)は自治体等の公的機関が設計者に向けて業務を発注する制度です(設計以外でも建設業者や土木業者などの事業者においても多く採用されています)

 ここではおもに入札金額から契約者を決めることとなります。財源は税金でありますので、より安いものを入札しなければいかないというのは理解できるのですが、設計という仕事にとってはそれがいいのか悪いのか。。という思いが個人的にはあります。みなさんはどうお考えでしょうか。

 さて、入札にもいくつか方法がありますのであげてみましょう。

一般競争入札

 一般競争入札はその資格さえあれば基本的に誰でも参加できる方式です。入札情報の公告によって参加者を募集し、競争で最終的な契約者を決めます。この方式ではできる限り安い価格で入札が行われるというかたちになります。

指名競争入札

 上記に対して指名競争入札は、特定の条件下において発注者が指名した設計者同士の競争により、事業の契約者を決定する方式となります。

公募型競争入札 

 一般競争入札がその資格さえ持っていれば原則として入札に参加できるのに対し、 公募型競争入札は、競争の際に技術・設備等の必要条件を入札情報公告に掲示し、参加者を募集し、そのなかから競争入札をする方式となります。つまり公募型競争入札は広く参加者を募集し、発注者によって参加の振り分けがされるというかたちになるわけです。

おまけ: コンペやプロポ、入札の闇はあるのか

 ちなみにおまけのお話しで、コンペやプロポの闇はあるのか。という話題にも触れてみたいと思います。闇というのはつまり、すでに当選者は決まっていてコンペ自体が出来レースとなっていることです。これは私にもわかりません。が、たまに談合などの不正がニュースでとりざたされることを見るとその闇はけっこう深いのかなと勘ぐってしまう自分がいます。

 でもコンペやプロポにおいて、「あの審査員だからあの人が当選した」とか、そういううわさまは聞いたことがある人は多いかと思います。でもこれって仕事をたのむなら、ある程度信用ある人や知っている人にたのみたくなるっていうのが人の心理ってものなのかもしれない部分ではちょっと理解できたりはするんですけどね。

 まあ、でもそういうこともあって、プロポーザルなんて最近だと、審査員が非公開であったりとか、最終審査のときは会社名をふせてプレゼンテーションが行われるってことも多いです。

ふふ、でもさあ、いつもプロポ出している会社にとっては、知ってるよ、この声っていうのもあるんじゃないのかな
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
ありますよね、やっぱ。特に地方都市なんかだとその都市周辺の設計事務所が多く応募したりすることって多いんですよね。そうなると、発表者の声なんか審査員からしたら知ってるおまえってなってたりします(笑)。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?

 設計者、そしてこれから設計の仕事をしたいと思っている建築学生のみなさんはどの方式で仕事をゲットしたいと思いましたか?

 たしかにコンペやプロポーザルで仕事をとるというのは、設計者として大きなモチベーションになります。

 しかしながらコンペやプロポーザルは0100。これは事務所を経営するうえではおおきなギャンブルといっても過言ではありません。けっきょくプロポーザルは企画程度の提案とは言いながらも、設計案としてしっかり成立したものとして考えていなければ、最終審査に残ったときに墓穴を堀ことになりかねません。

パウレタ(一級建築士)
けっきょくコンペもプロポも注ぎ込むパワーとしてはあまり大差がなくなってしまうことも多いです
それで落選したときのショックはつらいよねえ
先輩(一級建築士)

 なので設計事務所によってはコンペやプロポーザルは指名型で競争倍率が小さい案件のときは参加し、入札で安定的に仕事を受注するというところもあります。

 そして、今後は人口も少なくなって、より建築物の新たな建設に税金が使われなくなったときに、これらの方式はどうなるのでしょうか?私自身も設計仕事を行いながらコンペ・プロポ・入札との向き合い方を日々模索しているところです。

    -建築と働き方