建築学生へのアドバイス

設計スキルを磨くには?建築学生と新社会人へ贈る2つの勉強方法

以前このブログでは、建築学生へ卒業設計や設計課題演習を取り組む姿勢についてアドバイスいたしました。私自身の経験をふまえたものであったので、より実際的なものとしてお伝えできたかなあと思っております。

今回は実際の建築設計について、その技術向上のための勉強のしかたや設計アプローチ方法について大きく2つの視点からアドバイスしたいと思います。

1つ目は建築を学ぶ学生へ向けた初心者向けのもの(新社会人にとっては設計を取り組む確認事項になるでしょうか)。そして2つ目は建築設計の仕事をし始めた新社会人に向けた中級者向けものとしています(建築学生にとっては将来の設計実務に対するリアリティを感じてもらえるものになっています)。

もくじ

建築学生へ向けた設計プロセス解説編

設計が上手くなる最初の一歩としては、設計プロセスを感覚的、論理的なバランスをもちながらカタチとして表現することです。その段階を説明しながらポイントをお話ししてゆきましょう!

シーンをイメージして自分なりのストーリーをつくろう!

設計の授業で課題の資料が渡されたとしましょう。その内容を読んだとき、おそらくあなたの頭のなかにはいろんなイメージがわいてくると思います

たとえば課題が住宅であれば玄関からリビングに導かれると家族がいる。窓を見ると庭があって、ウッドデッキでつながっている。そこでバーベキューを行う。など、個人個人で異なるイメージがでてくるはずです。それがまず大事で、あなたの設計のやりたい部分にもなるはずです。そこからストーリーを組み立てて空間や間取りに発展させていきましょう!

イメージが頭の中でいっぱいになる前にすること

上記のように建築の様々なシーンが沸いてきたら、それらを何かしらかたちにして残しておきましょう。スケッチやかんたんな模型でもいいです。それらをたくさん集積しておきましょう。それらはあなたの設計アイディアの最初の結晶であり、そこからプランを作成するうえで戻って確認する大事なものになるはずです。

プランニングしてみよう!とっかかりを見つけるポイントは?

あなたが描いたすばらしいイメージをどう現実に落とし込んでいくかがプランニングであると私は考えます。描いたイメージが実際にはどういうところが実現可能なのかを平面図を描いて確認してゆきましょう(ここの文章では平面図を描く=プランニングと定義します)。

プランニングにはとっかかりというものが必要です。しかしこれは決まったアプローチがなく多彩な視点から生まれるものであることを知ってください。でも一番一般的でわかりやすいのは敷地に対する建物の配置や入り口から建築内部に入っていき部屋にたどりつくうえでの動線計画、そしてパブリックな空間か、もしくはプライベートな空間かを分けるゾーニングなどになると思います。

プレゼンテーションを意識しよう!

設計しているときには提案を第三者に伝える、プレゼンテーションすることを意識してください。建築で一番の見せ場である場所はどこになるのかを考えてください。

たとえば住宅で言うと、一番家族がいるであろうリビングがおそらくクライアントにメインの空間として伝えたいものになると思います。

ではリビングの特徴が明るさや開放感だとすると、それを構成する要素はウッドデッキからなるテラス、そして大きな窓としましょうか。そのイメージを伝えるためにはリビングとテラスを見たパースまたは模型写真があったほうがいいでしょう!

もう少し考えてみましょう!そのパースがよりよく見えるにはどうしたらいいでしょうか?私であればリビングとテラスが段差なく連続させ、窓を開放するとリビングとデッキが一体的な空間にみえる。そんな場所となったらいいなと考えました。それをパースで表現するために設計に取り入れましょう!など、クライアントが絵を見てプランを見てあなたの説明を聞いてうんうんとうなづきながら、いっしょにその完成を夢見れる、そんな状況をつくれるよう常に意識しながらつくっていってください。

スタディ模型で確認しよう!

平面図や断面図、立面図ができたら、必ず模型をつくってみて確認しましょう。プロであれば図面だけでその案が成立しているかは一目瞭然なのですが、まだ勉強中の学生であるならば、必ず立体化してその案がきちんと成立しているかを確認しましょう

パウレタ(一級建築士)
うまくいってない場合もあったりするものです。そこを気づけるかというのが大事!

そしてうまくいっていないところは修正することで提案の完成度がより高くなります。確認の建築模型はつくればつくるほど模型のスキルもアップします。

パウレタ(一級建築士)
より建築を多角的な視点から見ることができる訓練にもなりますので必ずやってくださいね!

プレゼンテーション!自分の提案を第3者にきちんと伝えるために!!

せっかくの素晴らしいプランやアイデアであっても、それがビジュアルとして表現できていないと、建築設計においては良い提案ではないと受け取られることも多いです。しっかり自分の考えを表現できるスキルを身につけましょう。

図面について

まず図面ですが、描いた線の太さ細さはきちんとメリハリをつけて表現しましょう。平面図や断面図であれば切られている線はどこなのか、見えがかり部分はどこなのかがしっかり線で表現されていると図面のクオリティもグッとあがります。特に立面図は建築の顔となるのでしっかりメリハリつけて描かれていると存在感が違います

きちんと描かれている図面はしまって見えるんだよね。こう、ふっと浮き上がっているようにさえ見えるんだよ。2次元なのにね!
先輩(一級建築士)

手描きであるのならば、部屋名などの表記が上手かそうでないかだけでも図面の良し悪しに影響します。

イメージ表現について

例をあげるならば、パースや模型といったものになります。第三者が提案を見たときに、目を引くものとしての表現です。

パウレタ(一級建築士)
先ほどプレゼンテーションを意識して設計してくださいと書きましたが、それができていると、どこを切り取って表現するかが明確になりますよね!
パース

もし絵が得意なのであれば、手描きのパースは第三者の心をつかむ武器となるはずです。

CGが得意なのでしたら、それを使ったパースでもいいでしょう。ただCGに関しては自分が頑張ったほど第三者の反応はよくないことが多いです。

「特に実務においてはそうですね。へえ、みたいな感じで終わってしまうことが多いです」

なので使い方を吟味しながら使用する必要がありますね。

建築模型

私が個人的におすすめするのは建築模型による表現方法です。模型は立体として残るので、第三者が自分と同じようにその空間を確認できることが一番の利点です実際に実務においても模型の効果は絶大です!

模型はクライアントへのラブレターって言っても過言ではないね
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
先輩なかなか良いことおっしゃりますねえ

そして模型は模型写真としての役割も提案部分を引き立たせます。ミニチュアであれ、CGとは異なるどこかリアリティのあるイメージになるんですよね。今の時代はデジカメもありますので、何枚とってもお金もかかりません。プロでなくても何十枚とっているとその中に1枚はいいものがでてくるものです。

あと私が模型をすすめる理由はもうひとつ、それは絵やCGとくらべると、模型のほうが努力な慣れで上手になることです。絵はやはり上手い下手がありますし、CGも色合いや構図などセンスがけっこう必要になります。模型に関しては、図面をただ忠実に立ち上げていくことでそのものができるので、その精度を数をこなしていくことで上げていけばいい。努力の量が模型の出来具合に反映されやすいわけです。ちなみに私は模型が最初は下手でした。

たしかに最初はほんとうに下手だったな
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
ええ、すみません、昔から不器用なタイプで

でもそんな私がクライアントに見せる程度まで上達したのは、より多くの模型をつくって手を慣らしたことにほかなりません。

パウレタ(一級建築士)
設計はこつこつと努力でカバーできるんですよ!けっしてセンスだけではないんです!!
説明文章について

提案の図面やイメージを補足するため、たとえばコンセプトやプランに関する説明についてを文章にします。ここでのポイントは、あくまでも図面で表現できていることを簡潔に言葉にするということです。提案にはあなたのおもいがたくさんこめられていると思います。しかしきちんとそれを伝えるためには絞ったシンプルな言葉でないとうまく相手には伝わりません

口頭で伝えること

さらに口頭で相手に伝える際には、文章よりもわかりやすい言葉でシンプルに提案を伝えることをこころがけてください。そのなかにあなたのおもいをこめるのです。しゃべることが上手でなくとも、簡単でシンプルな言葉でそれを一生懸命伝えることで、必ずあなたの提案は相手に伝わるでしょう。

設計提案において伝えたいことは図面でもイメージでも言葉にしても一つにしよう!

提案を課題で発表していると、最初のうちは大学の先生では、

「けっきょくこの作品で君の言いたいことはなんなのかな?」

なんて聞かれることがあるかもしれません。それは、あなたの提案が相手にまだあまり上手く伝わっていないということをあらわしています。

ある建築家が教えてくれた言葉で「ワンドローイングワンメッセージ」という言葉があり、ああ、いい言葉だなと心に染みたことがあります。やはりひとつの提案について言いたいことはひとつでないと、その相手は混乱してしまうものです。うまく伝わらないんです。だって相手は自分ではない他人なのですから。だからシンプルで筋のとおった意見でないとすっと相手の頭には入ってこないのです。きちんと伝えるということいったいどういうことなのかをいろいろな作品例を見て、感じてみてください。

設計事務所新人に向けた実務のポイント解説編

次は実際の設計業務から私が学んだアプローチ方法をお伝えます。

パウレタ(一級建築士)
これから設計事務所に働き始めた方は必見ですよ!

聞き取りもプレゼンテーションのひとつだ!

提案と同じくらい、クライアントに対する聞き取りは大切な部分ですそこに提案の重要なポイントが潜んでいますし、クライアントが勝手に口頭で述べたことがすべてではないからです

本当にクライアントのかゆい部分に私たち設計者の提案が手をかけることができるかは、我々自身がしっかりその場所がどこであるかを把握しなければいけません。

そのためには相手がどんな人間でどんなことに興味があって、どんな夢をもってその建物を建てたいと考えているのかを引き出すかが提案に結びついてくるのです。その引き出し方を自分なりに準備して望んでください。クライアントがすべてを設計者に語ってくれる空気をつくっていってください。クライアントは三者三様、あなたの人間としての能力がここで問われます!

クライアントの要望を一旦は受け入れよう!

実際にクライアントとお打ち合わせをすると、彼らは自らのおもいを私たちに吐き出します。それは私たちの想定範囲外であったりしますし、物理的に聞いていて不可能だろうと思うこともあったりします。でも一旦は設計者としてクライアントの要望をまず受け入れてみましょうすべてを否定することなく聞き終わると、そこの無理難題に提案のヒントが隠されていることもあったりするのです。そしてそれが建築のアイデアまで昇華してしまう場合もあるのです!

クライアントの要望の真意を読み解き、アイデアで解決しよう!

クライアントの要望に対しては言葉でなく、かならず何かアイデアをカタチにして回答できるようにこころがけてください。形とはもちろん提案図面であったり模型やパースであったりとするものです。まず絵にしてみることでクライアントは何かしら反応してくれるはずです。私たちの仕事はぼやっとした言葉の集積を整理し、図面や空間でそれらを表現することであることです。その武器をきちんと活用しながらクライアントと向き合ってください。あなたの提案にクライアントは必ず心を開き始めることでしょう!

敷地を見よう!~周辺から中心まで~

建築設計はほとんどの場合、地面のある土地に建ち、存在し続けることになります。私は設計者として、敷地を見ようとします!

パウレタ(一級建築士)
いや耳をも傾けようともします!

これにはたくさんの意味合いがあります。この土地がどんな場所であったか、周辺環境はどうで、もし近隣に住民がいるのならばどんな人たちなのか、そこからは何が見えて、どんな風が吹き、どんな音が日常的に聞こえてくる場所なのか、そういうことを気にしながら設計すると、実はそこにもヒントがかくされていることに気づきます。

建築を設計する制限が提案のヒントだ!

前述したクライアントの要望と敷地の特徴だけでも建てられる建築には制限が生まれてきます。でもその制限が提案のヒントであり、それが設計提案の個性になるということを理解してください。その解釈があなたの個性にもなるんです。あなた自身の考えだけから建築の提案は生まれないのだということをしっかり理解して現実の設計条件に対峙していってください。

寸法、スケール感をきちんとおさえよう!

寸法おさえは設計者の礼儀!

 建築には適切な寸法があります。それを理解しながら図面を描いてほしいと思います。たとえば住宅ですとリビングはどんな大きさがこの家族には適しているか、キッチンでは複数人で調理を想定しているのではどのくらいの広さがいいのか、など、必要な寸法が提案ごとにあります。それらをきちんとおさえていないと、なんとも窮屈であったりまた間延びした建築が生まれてしまいます。決めた寸法にしっかり理由をもち把握するのは、設計者としての礼儀でもあることを忘れないでください

CADの弊害

特に学生や働き始めた社会人は、上記の感覚が欠如している人が多いです。この原因が何であるかというと、今は当たり前に設計作業に普及しているCADの存在です。CADは縮尺が設定されて図面が描かれてはいきますが、作図中はディスプレイを拡大したり縮小したりとほぼノンスケールの状態で作業がなされます。CADの弊害は実作品に影響してはいけないのです!これを解消するために、最初の段階では手描きで設計したり、建築模型で確認したりすることが大切なのです

クライアントと良いチームを組めるかが良い建築の必要条件だ!

このような感じで設計に関する実務編は絵や線を引くなどよりも、クライアントに対してを重要視していることに気づかれたと思います。設計は発注者であるクライアントありきで仕事が成立します彼らとどうチームを組んで良い建築提案を生み出すかは設計行為の根幹になるものだと私は経験を通じて強く感じました。自分だけの力では設計は決してうまくならないことをできれば社会にでる前に理解しておいてほしいですね!

まとめ

いかがでしたでしょうか?けっこう長い文章になってしまいましたね。でもこれは設計におけるほんの一部を抜き出したものにすぎません。もっと設計を学んでいくと、こうすればもっと良くなるな!ということに多々気づくことがあるでしょうし、それはもしかしたら無限にあるのではないかと、私は設計の仕事をしていて思うことがあります。施主である人が多種多様であるように、その人が求める建築もそうであるということなのでしょう!その奥深さが建築設計の魅力なのかもしれません。日々の仕事や日常のささいな部分に何か発見を見出しながら、体全体を使って設計という行為をしていきましょう

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