令和元年の10月13日に新元号になってはじめての一級建築士試験の二次(製図)試験が一部行われました。
一部というのはもうすでに受験者及び建築関係者ならばご存知のとおり、台風19号の影響により、日本では甚大な被害を受け、関東や東北、東海、北陸などの都市では試験が中止となりました。
この前代未聞な規模の中止に私自身驚きましたが、それ以上にこの災害による様々な場所での被害状況をメディアを目の当たりにし、自然の驚異に私たち人間はこれまで何もできないのかということを思い知らされた次第です。現在もこの被害の影響を受けた地域やそこに住まわれている皆さんの一日でも早い回復を願っておりますとともに、犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
そして昨日建築技術教育普及センターのホームページを見てみましたら、先日受験することができなかった方々のための再試験が令和元年12月8日に実施されるという発表が掲載されておりました。モチベーションの維持など調整もたいへんではあると思いますが頑張ってください。健闘をお祈りいたします。
そして先日受験されたみなさん、おつかれさまでございました。手応えのほどはいかがであったのでしょうか?予備校ですとすでに解答速報などが発信されており、その解答例などをみている方も多いかと思います。
私自身もブログで一級建築士試験に関する発信をしてきておりましたので、何年ぶりになりますか、ちょっと昔を思い出しながら、試験の解答をしてみました。今回の試験に関する感想などもふまえていければと思っています。
令和元年度試験の難易度は?
さて、実際の試験の難易度はどうだったかというと、私個人の見解としては「難しい」と感じましたね。
では実際に一級建築士の資格予備校はどんな総評での難易度評価であったか。
令和元年10月24日現在での各社に掲載されたホームページを確認いたしますと、以下のとおりとなっておりました。
・日建学院→易しい
・総合資格学院→やや難しい
・TAC→難しい
パウレタの解答例
さて、解いてみました!
通常は全体で6時間30分ということで、課題文の読み取りとエスキスをあわせると2時間30分前後で片付けておきたいところなのでしょうね。すみません、私パウレタは3時間をゆうに超えてしまいました。
先輩のおっしゃるとおり、年々難しくなっているというのが取り組んでいてわかります。これを6時間30分で解答している受験生のみなさん、すごいです!
とまあ、言い訳をならべていてもしょうがありませんので、とにかくエスキス案を載せます。ちなみにあまり時間がなかったので、解答はエスキスまでとさせていただきます。断面図もPSも記述も省略しました。すみません。ご了承ください。
※あくまでも私自身が何も手掛かりなしに純粋に解答してみたプランですので以下掲載したプランが模範解答ではありませんのでご容赦ください。合格発表まで、もしくは国土交通省の発表する標準解答例が出るまでの参考資料、いや「話題のネタ」そのひとつとしてながめていただければと思います。
(プラン画像の無断転用はお断りいたします※このホームページのリンクを貼る程度ならOKです)
プランA
まずまっさらな状態で最初に私が解いてみたプランがこちらになります。
「どうぞ。。」
<プランA面積表>
建築面積:27×27+14×12+1×7 904㎡
床面積:
1階 27×27+14×12 897㎡
2階 7×14+27×13-6×7+14×12 575㎡
3階 27×27-6×7 687㎡
合計 2159㎡
敷地周辺にある公園(西側と南側)と本館(東側)に引っ張られてこんな案になってしまいました。公園や本館に向けての出入口をもうけなくてはいけないことが課題文には書いていたのですが、少しその内容に引っ張られすぎてしまいました。ひさしぶりにやって自分が受験生であったことを思い出したのですが、私はたまに課題文にある一文になぜかもっていかれて偏りのあるプランに走ってしまうところがありました。当時通っていた予備校の講師からも注意をよく受けていましたね。
確かに先輩がおっしゃるとおり、今回は北側にメインの出入口をとるというのが無難なような気がしますね。
今回の試験は道路が北側付け、そして南北に縦長敷地ということで短辺方向からのアプローチということで受験した方々はプランニングに苦労しただろうなと思います。
プランB
ということで、先輩のご指摘を受け入れ素直に北側の道路からアプローチした案がこちら。
<プランB面積表>
建築面積:24×37+7×1 895㎡
床面積:
1階 24×37 888㎡
2階 24×14-6×11+12×23 546㎡
3階 24×24-6×11+12×13 666㎡
合計 2100㎡
私が悩んだ箇所は展示系とアトリエ系の階振り分け
プランCのエスキス案もあるのですが、それを掲載する前に、私が悩んだ部分をこちらであげさせていただきます。
それは、今回の課題の主要室である、展示諸室とアトリエ諸室の階の振り分けです。
プランAとプランBでの階の構成はこちら
展示諸室は1Fと2Fにもうけ、アトリエ諸室は3Fにまとめるというゾーニングの考え方です。
そしてもうひとつ悩んだのがこちら
こちらは2Fに展示諸室をまとめて、設置階が指定されている創作アトリエは3F、そしてその他のアトリエ諸室は1Fにもっていくというゾーニングです。
この2つの方向性でなやんだわけではあります。けっきょく、1Fと3Fでアトリエ諸室がばらばらにゾーニングされるよりは、1Fと2Fが展示諸室でまとまっていたほうが自然な振り分けになるのではないか?ということでプランAとプランBを進めていったという経緯があります。
プランC
こちらが先ほど話題にあげた、1Fと3Fでアトリエ諸室を振り分けた案です。
<プランB面積表>
建築面積:25×35+4×1+0.5×10 919㎡
床面積:
1階 25×35 910㎡
2階 25×35-6×7+12×23 868㎡
3階 25×14-6×7+14×7 406㎡
合計 2184㎡
まとめ
さて、みなさんはいかがでしたでしょうか?
3つのプランを出してみたことで、その方向性が枝分かれする傾向があることぐらいは参考になったかと思います。
基本的なパターンとしては、上記でとりあげた展示諸室とアトリエ諸室の階振り分け、そして1階にもうける管理部門が西側か東側か?という選択肢のパターンからのプランニングができてくるのではないでしょうか?
個人的には多目的展示室1階展示室2階アトリエ部門3階が無難なような気がしますが、今回の難易度ではそこが合否の焦点にはなってこないのではないかなあと思ったりします。
しかも今回、東京首都圏や名古屋、仙台などのメンツが再試験にまわり、本試験を受験したなかでまず最初の合格者が選抜されるのを考えると、レベル的には若干低くなってくるのではないかなと勝手に考えたりします。
合否の分かれ目は一体どんなことになってくるのでしょうか?
そして再試験はどんな内容で出題がなされるのでしょうか?
↓2020年の12月に行われた再試験もエスキス解答をしてみました。ご参考までにどうぞ!
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