建築学生へアドバイス

建築学生が好きな建築家を大学在学中にみつけておく理由2つ!

建築の設計を志している学生がたまに大人(大学の教官であったりなど)から聞かれる質問のひとつとして、

好きな建築家は誰?」

というものがあります。いがいと私はこの質問が学生当時苦手でして、毎回聞かれると違う建築家をつい適当にこたえてしまっていましたね。なんだか、照れくさいというのがあったり、好きっていうわりに意外と詳しくない、というものあったりということで。。。

そういえば事務所に新入社員で入ってきたときも好きな建築家すぐ答えれなかったなwww
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
そうでしたね

そんな思い出を経て今現在、「こうなりたいな」とか「こういう作風好きだな」と思うことに対する重要性ってやはり大きいのではないかなと思っています。今回はその好きな建築家を自分で決めるということに対する意味をあげていきたいと思います。

理解して真似ることでオリジナルとなる!

建築学生のなかには、オリジナルにこだわって建築作品をあまり見ないという人もいるのではないでしょうか?私は学生を教えたこともあり、そういう学生を何人か見てきました。そして、何を隠そう、私も学生時代そんな人間の一人でした。当時設計課題をしていたとき、先生から

「○○さんの建築に似ているね」

と言われたのを今も覚えています。

パウレタ(一級建築士)
え?

と目を丸くしていると、先生に

「○○さんの作品も見たことないの?知っていて似ているのはいいんだけど、知らないで似ているのは最悪だね」

と言われてしました。当時「その言葉って逆なのでは?」と思いましたが、建築を学んでいくにつれてその意図することを理解をしていくこととなりました。先生のおっしゃっていた「知っていて似ている」は、自分なりに作品対象を理解したうえで自分の設計に編集して組み込まれているということなのです。理解して真似て自分なりに設計をまとめることで、それはもうすでにオリジナルなのです。

クリエイターの「オリジナルはない」という発言

建築だけでなく、ものづくりを行う著名人もオリジナルということに対して以下の発言をしていました。彼らの言葉によって、私はさらにオリジナルの意味を理解することになったわけです。

藤子F不二雄のオリジナル

ドラえもんで有名な漫画家藤子F不二雄さんは、「オリジナルは記憶の蓄積である」ということをおっしゃっていました。現に彼のアトリエには様々な分野における書物が何万冊と書庫があり、それがかなりの説得力を与えましたね!

村上龍のオリジナル

さらに小説家の村上龍さんは、「真のオリジナルは実は存在していなくて、それぞれの分野の組み合わせによって生じるものなんだ」ということをおっしゃっていました。これも当時の私にとっては目にうろこな言葉でしたね。ゼロから何かを完全に生み出すということは本当にまれなことなんですよ。

好きな建築家をみつける理由!

少し前置きが長くなってしまいましたね。どうもすみません。でもそれだけみなさんにオリジナルとはいったいどういうことなのかということを伝えたかったのです。では本題の好きな建築家をみつけるということに関してを掘り下げていきましょう!

【理由1】好きな建築家の作品から真似て学ぶ

学生時代に先生の言葉を聞いてからというもの、私はいいなと思った作品を積極的に真似ながら設計をするようになりました。そして私はそれらの作品の設計を手がけた建築家を好きになっていったわけです。

たとえば日本人建築家でいえば安藤忠雄、そしてSANNAの建築などは、かなり学生時代に影響を受けました。海外の建築家ではルイス・カーンなどにも夢中になりましたね。彼らに共通する特徴としては、シンプルで明快なデザインであるということですかね。そういう作風が好きであることに気づいていくことになりました。

それからというもの、真似を駆使してゆくと、その仕方がうまくなっていきました。これによって、今までより密度の高い設計を追求できるようになってきました。そしてついに人がみて、「これ安藤さんに似てるな。SANNAっぽいね」と言われることが徐々に減っていったのです。そこから自分らしい設計の特色をつかむことができるようになってきましたね。

【理由2】好きな建築家と間逆のものから学ぶ

私は大学卒業後就職活動を行い始めました。安藤忠雄やSANNAの設計事務所も就職先として頭をよぎったのですが(SANNAに関しては少しだけやりとりをした経緯もあります)、最終的には別の設計事務所を選択しました。

その設計事務所は最初からいろいろな仕事に関わらせていただきでたいへん勉強になりました。シンプルで美しい建築を実務としていかに実現するかということに対してはとても良い経験になりました。

しかしながら、2年ほど働いて実務もおぼえてきますと、「好きな設計スタイルで仕事ができているけれど、これだけでいいのかな」と思うようになりました。

そこで私は設計事務所を退職し、少し規模の大きい設計会社という組織に在籍することになりました。今度入った会社というのは木に関してこだわりをもっていたところでありました。

最初は葛藤の毎日を過ごしていましたが、素材に触れ、職人さんがたに教わりながら学んでいくうちに、「木を使った建築っていいなあ」と強く感じ始め、木のもつ雰囲気を設計にどう生かすか積極的に勉強するようになりました。たとえば昔では吉村順三さん、今では堀部安つぐさんの作品集を買いあさっては熟読するようになり、今の設計に生かしています。両極端な2つの設計事務所にいた時間は大きな財産となっています!

まとめ:何が好きかを知ることは建築づくりにおいて重要!

仕事をしてゆくうえでは、どんな建築が好きなのかを自身が知っていないと経験を重ねていくうえでより迷いが生じてきます。

パウレタ(一級建築士)
ですので好きの基準ラインを自己設計してゆくことで自身を客観的にとらえることができるんですよね!

人生経験を重ねていくうえで好き、嫌いの感覚は変化してゆきます。建築設計スタイルは時代の流れに左右されます。

好きなことを知っていたうえでそれと正反対のことを経験しておくことは視野を広げることとなり、自分の設計経験に価値を生み出すことになるはずです!頭が凝り固まらない学生のうちにそういう経験を積んでおくとより時代に対し柔軟に向き合うことができますよ!!

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