建築実務入門

建築士が仕事から学んだ設計プレゼンに必要な準備と方法!

 前回シリーズのブログでは、ヒアリングが設計提案のプレゼンより大事だということをお伝えしました。

建築設計ヒアリングは提案プレゼンより重要!その方法とポイント

 しっかりクライアントが欲しているものをつかみきれたなら、もう提案なんて楽勝ですし、彼らへのプレゼンも喜んでもらうこと間違いなし!

と言い切りたいところですが、やはり人間の考えていることはわかりません。実際に提案してみてクライアントの反応を見るまでは正直な話、私もこわいです。

パウレタ(一級建築士)
緊張もします

 だから最大限の検討と提案の準備をして打ち合わせにのぞみます。そうすることで少しずつですが、クライアントに対してどう伝え、そして配慮をしてゆくのがいいのかというのがわかってくるようになりました。もちろん、提案をすばらしいものにするというのは前提で、さらにそれをいかに伝え、自分の検討努力や成果を相手にわかってもらえるかということも大切です。

 そこで今回は提案準備のポイントにくわえ、私のクライアントに対してのプレゼンとそのフォローに関する一連の流れをあげながら、クライアントとの信頼関係をどう構築していくかの方法を探っていければと思います。

※ちなみに今回はクライアント個人に対するプレゼン(少数の場合)を想定して書いたブログとなっております。

プレゼンに向けての設計検討とその準備

プランがしっかりしていればクライアントは勝手に読みとってくれる

 一般のクライアントの方の多くは間取りを見たがっています。

もしクライアントにとって設計者が提案したプランがよければ、彼らは勝手にすっと提案を読み取ってくれます。そしてもどんどん進んでいくことになります。説明も最小限の言葉をそえるだけで彼らは理解してくれ、うんうんとうなずいて私たち設計者の話を聞いてくれるでしょう。逆に悪ければ、プランばかりを見始めて、ほかのものや話が入ってこなくなってくる場合もあります

 クライアントの心をつかむようなプランをつくるには多くのパターンを検討しておくべきです。ヒアリングから最初の提案プレゼンまでどのくらい時間があるかはそれぞれであるとは思いますが、少なくとも3つは準備しておくべきです。そしてそこから自分のなかでベストかなと思う1案を打ち合わせに用意するように私はしています。その他の案はかんたん見せれるかたちとして残しておきます。

パウレタ(一級建築士)
どう使用するかは後程お伝えします

 上記で3案と書きましたが、それは3つ検討すればいいというわけではありません、少なくとも候補としては10パターン以上提案してみてそのなかで最低3案を候補として残し、プランやかんたんな模型としてカタチにして残しておくという意味ですので、お間違いなく!

CGより模型のほうがクライアントに響く

 私は模型によるプレゼンをおすすめします

 しっかりつくりこんだ模型があると打ち合わせがほいほいと進んでいきます。

 CGは限定した建築シーンを切り取るかたちとなるので、そこだけで打ち合わせが盛り上がるイメージができないんですよね。実際、やってみたこともあるのですが、模型のほうがクライアントの受けが良かったです。

パウレタ(一級建築士)
なのでそれらの経験から私はいつも模型によるプレゼンをしていますね!

まあし私がCG採用するのであれば、建築の中を回遊できるアニメーションをつくりますかね。手提案した建築におけるシーンをたくさん確認してもらうことがクライアントのイメージをよりわかせる助けとなりますから。

 そしてもしクライアントが設計提案を気にいっていただいて方針が決まったなら、プレゼン後はその模型を差し上げるのがいいかと思いますね。私自身は実際にあげてます。

模型は施主へのラブレターってね
先輩(一級建築士)

パウレタ(一級建築士)
先輩素敵なことをおっしゃいますねえ

模型の演出について

 私が設計者としてクライアントに提案プレゼンを行う場合、前述したとおり模型がメインとなります。

 よく模型を打ち合わせ時に最初隠してクライアントが来た時に見せるというサプライズ型をやる人がいらっしゃいます。私は最初から打ち合わせテーブルの上において準備しています。なぜサプライズ型をしないかというとその理由は2つほどあります。一つは個人的にそのスタイルが好きではないということですね。

パウレタ(一級建築士)
これは好き嫌いありますよね。プライベートにおいても私はしません

そしてもう一つは経験談からです。以前働いていた会社の上司がこのスタイルが好きな方で、しょうがなく行っていたのですが、やってみたものの毎回そんな効果をもたらしているようには思えませんでした。

 なので独立して仕事をするようになってからは、上記に書いたとおりただ打ち合わせテーブルに置いています。でもこれだけでじゅうぶんサプライズ効果があるように感じます。クライアントはどんな提案があるんだろうと思いながら事務所の中へと入っていって目線の先には自分たちが依頼した建物の模型がある。これだけでもうれしくなっているのは表情を見てわかります。

ヒアリング内容からチェック表を作成して確認

 私はヒアリング内容からクライアントの要望を必ずチェック表にして、つくったプランに抜けがないかを確認するようにしています。

 ヒアリングの際も書いたのですが、やはり彼らにとっての要望は夢に等しいわけなので、そこでがっかりさせないようにしたいというのが理由です。彼らのおもいは設計者として大事にしたいですし、打ち合わせ時間を楽しいものにもしたいです。

 悪い流れとしては、要望が抜けていたことがきっかけで打ち合わせがトーンダウンして、クライアントがプランの粗探しするような流れをつくっていってしまう場合もあったりします

パウレタ(一級建築士)
ここもちょっと違う、ここはこういうイメージではないというふうに。。

そうなると打ち合わせを仕切り直しせざるをえない感じになってしまいます。

 つくりあげた提案プランは必ずヒアリング内容と照らし合わせ、自分の提案に対する客観的な確認を行いましょう

クライアントに対するプレゼン

最初に今回の提案の意味を伝えて理解してもらおう

 クライアントへ最初に提案を行うこの機会は、基本設計という工程の段階です。

 基本設計は設計案の大枠の方向性を決めることですまずそれをクライアントに伝えてプレゼンするというのも大事であると思います。クライアントによっては細かい部分に目がいく方もいらっしゃいます。でもそうではなくてあくまでも今回はプランの大きな骨格を決める打ち合わせであって、細かい部分はその方向性が決まってから次のステップで検討してゆきますということを伝えましょう。

ゆっくり話しながらクライアントの様子を見よう

 設計事務所勤務時代の話になります。

担当させてもらった物件で、わたしが提案をクライアントにプレゼンする機会がありました。そのとき緊張してしまったせいもあるのですが、いつもより早口になって説明してしまい、そこからクライアントとのやりとりのリズムが崩れていってしまい、うまく成約までいたらなかったという苦い記憶があります。これは提案内容をしゃべることだけに集中してしまったのが原因です。

パウレタ(一級建築士)
青かったですねえ。あのころは

しゃべるのが苦手であればあるほど、まず言葉自体が飛んでしまわないようにその内容を覚えようとしてしまうんですよね。そしてそれを全部余さず伝えることに躍起になってしまう。経験や技術が不足しているのも原因なのですが、そもそもそれって自分のことばかり考えてるからそうなります。と当時の私は打ち合わせ後に気づきました。今思い起こすと、説明をしているときのクライアントの表情、目をまったく思い出せませんね。

 誰のために提案をしているかという原点からプレゼンにのぞめば、少しくらい言葉足らずでも伝わります。それこそ考え抜いた図面と模型があれば、もう説明は補足程度でも伝わります。ほんとうに添えるように言葉をかけるだけでいいということが実務経験からわかりました。

プレゼンの順序や流れ

 ここに関して私は一番悩み検討を重ねてきました。そのなかで一般のクライアントに対してどんなふうな話し方がいいのかを模索して最近ではよく実行していることをお話しします。

ヒアリング内容をおさらいしよう

 私がまず行うことは、前回ヒアリングした内容をかんたんにおさらいすることで、互いのもつ方向性を再度確認しあいます。ヒアリング内容は議事録としても残していますし、さらに上記のようなチェック表も作成していますので、何が重要であるのかは頭のなかで整理ができています。ですのですべてを言うわけではなく、重要でプランに影響したところだけを言います。

コンセプトを意識しすぎないで話す

 そしてそこからどんな考えをもって提案したかを簡潔にしゃべります。これがコンセプトということになります。私自身、模型を最初から見せているので、それがコンセプトとして語られているような提案をこころがけています。それはクライアントが見た視覚情報に添えるかたちでコンセプトが関連しているということを伝えたいからです。

 コンセプトを話しながらで彼らの反応を見るようにもしています。もしうんうんと耳を傾けていただけてるのであれば、さらにそのコンセプトについての私のおもいを付け足していくことにしています。

 反対に模型に気をとられている様子であれば、模型でわかる部分のコンセプト説明に終始するようにしています。こちらのほうが圧倒的に多いですね。

 ここでとにかく提案のコンセプトをごり押しする姿勢は控えたほうがいいです

私たちは大学どでこの案のコンセプトはなんなの?ということに対してこたえるという教育をされてきたと思います。たしかに提案に考えがあることは大事なのですが、それを前面に押し出すこと、これは注意です。

 クライアントはできるだけ具体的な提案を欲しています。極端に言うと、コンセプトなど別に重視してはいません。コンセプトはそのくらいのものであるべきだということを実務経験から感じました。

間取りはヒアリングの答え合わせとして説明する

 それから間取りの説明にうつってゆきます。

 これらについての話は、全体の大枠から話して徐々に細部にうつるようにこころがけています。そして細部に関しては話をしすぎないように心がけています

パウレタ(一級建築士)
間取りに関する説明のしかたはさじ加減が難しいですね

話しすぎると実施設計レベルの話にまでいってしまいますし、話の長さに関してはクライアントの反応に応じて調整するようにしています。

 私の間取りに関する説明内容を例としてあげてみます

パウレタ(一級建築士)
住宅を例にしてみますね

 私の場合、アプローチから玄関の位置を確認し、そこから優先順位の高い部屋順に説明をします。その説明はヒアリング資料のチェック表を頭にいれながら、要望が網羅されていることをお伝えしてゆきます。あえて玄関から廊下をとおってリビングにたどりつきますなんていう話は省いています。それは模型と図面があるので見ればわかることなので、それをあえては行いません。間取りはあくまでも要望の答え合わせとして使っています。

専門雑誌と対クライアントでは説明の言葉は異なる

 よく学生から設計実務に入りたてのスタッフで、建築の専門誌みたいな説明をする人がいます。もちろんこれは私たち専門家同士としてはわかることではあるのですが、提案をするのは一般の人であるクライアントです。彼らがわかる言葉でどれだけ提案したものの良さを伝えるかというのが大事になってきます

 コンセプトもあまり抽象的な言葉を使わないようにしましょう。一言でだれにでも伝わるような意識をもって考えましょう。くれぐれもクライアントの頭に「?」をつけないように。

プレゼン後のクライアントへのアフターフォロー

 もしクライアントが提案を気に入ってくれたらそれは最高ですね!そういう方向にうまく進んだのなら、今後の流れをお伝えしながら細かい修正部分をうかがっていきましょう。

 反対に、もしクライアントが提案内容を気に入らなかったら。ここが重要です!

 こういうことはまあ、相手も人間ですし、私たち設計者も完璧な人間ですのでおこりうることです。どんなに良いヒアリングができたとしてもそれはあります。大事なのはどう仕切り直しを行うかということです。

 私の場合は、クライアントに見せた1つの案以外の案やそこにいたるまでのプロセスを伝えますスタディした模型や図面を出して、最初はこんなことを考えていたんだということを正直にお伝えしますクライアントが気に入らないということは、そのプランの方向性がずれている可能性があるので、そこにいたる前のプランなどを見せながら確認を図面や模型をもとに行うようにしています。

 ここでプレゼンで提案した以外の案を持ち出すこととなります。

パウレタ(一級建築士)
こういうための保険ですね!

 せっかく時間をつくってくださったクライアントをただでは帰してはいけません。次のステップに希望を含ませて必ず打ち合わせを終えましょう

まとめ

 クライアントにいいところを見せたい!クライアントに喜んでいただきたい!それが一番ダイレクトに感じるのが提案時であり、自分が設計の仕事をしているという誇りももてる場面です。そしてクライアントの反応を肌で感じることで、私たち設計者は多くのことを学ぶことができます。緊張しますが、一番成長できる仕事の場面であるかもしれません。

 設計事務所に働いている人だけでなく、住宅メーカーやその他設計に関する企業にお勤めの方にも共通する内容となっていると思いますので、ご自身のやり方、進め方と照らし合わせながら読んでいただければ幸いです。

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