前回は3Dプリンターと建築設計事務所の未来について書きましたが、
今回はAIと建築設計業務についてを書いていきたいと思います。
設計は様々な条件を考慮しながら行う頭を使う業務であります。そのなかで、近い将来AIという存在が出現したときに、私たち建築士は彼らとどう共存していき、仕事を遂行していくことになるかというのはおおいに興味の沸く話題でありますよね。
では設計のプロセスから段階的に人とAIの役割についてを考えてみましょう!
ヒアリングは人が有利か?
まずは施主から要望などを聞き取ることについてはどうでしょうか?施主はAIそのものに仕事をお願いするなんてことはまだないでしょう。
でもそのうちあるかもしれません。。
おそらくはその会社や建築士を信頼して仕事をお願いするでしょうから、窓口としてはまだまだ人間であることは変わらないでしょう。しかし、AIを導入しているかどうかということが依頼のポイントになる時代もくるかもしれませんよね。
たとえば設計事務所のホームページにAI導入の有無を記載することでそれが宣伝になるとか。
さて話を続けてまいりましょう。施主からのヒアリングのうえで、AIはより綿密な話の詳細の記録といううえではおおいに働いてくれるのではないかとおもいます。設計した計画と要望との整合性はより正確さが生まれるかもしれませんね。
AIができないこととしては、会話のなかからの気づきや話の流れをつくることなど対人間同士による信頼関係の構築であるかなと考えます。
敷地調査や役所調査もほぼほぼおまかせ!
敷地や法規的な調査に関しては、AIのほうがより詳細なデータを入力することによって、情報を整理してくれるでしょうね。これによって人が役所や敷地に足を運ぶ回数が減り、作業時間が短縮されるでしょう。人のほうで必要な作業としては、敷地にいってスケール感、周辺状況を確認するということだけになってしまうでしょうか。
基本設計などのプランニングはAIが得意そう!
さて基本設計に入ります。ここも決定までの案出しとしてはある程度AIに考えてもらえることになるのでしょうね。ここは若い元気なスタッフが勉強するうえでも重要な部分になるのですが、その仕事をAIにとられてしまうのは悲しい。ここが設計としては楽しい分野であるのですから。
でも人よりも早くいいアイデアがでるとなれば、私たちはつい彼らの案をおしてしまうかもしれませんね。いくつものパターンを瞬時にだしてくれるならば、私たちはそれらを見て、候補をしぼっていく判断をするだけになってしまいます。
私たち建築士はAIの提案を選別し最終判断し、施主に人として伝える役目が主な仕事になってしまいそうですね。
実施図面作成もAIはお手のもの!
ここの業務は確実にAIの主戦場のひとつになってくるのではないでしょうか?
CADで手書きの時間をかなり短縮したのにAIがデータ上に図面を描いてくれるってことです。実施図面作成の時間すらなくなってしまうかもしれません。
そうすると、現在設計業務をささえてくれている「CADオペレーター」という存在はなくなることがおおいに考えられるでしょうね。
できた図面も法規や構造、設備などと連動することで、作業もスムーズになっていくことがおおいに考えられます。人間はこれでいこう、という判断とその図面に対する責任をとるという役割になりますね。私
として懸念されるのは、詳細図面のプロセスが人の体にしみこまないということですね。そのプロセスがすべてAIまかせになってしまっている。何か問題が生じたときにAIが解決できるかは疑問ですので、図面決定までのプロセスを人がしっかりと把握してないといけませんね!
構造・設備もAIの流れにうまくのせれば
現在も、構造に関してはコンピュータによる計算や解析があたりまえになっていることはみなさんもご存知のとおりであります。意匠計画の要望をできるだけ組みながら、考えられる構造の提案をする。それを計算書などの書類にまとめあげる。それ自体がAIの作業になるのであれば、構造設計者のやることはGOサインを出すかどうかという最終決定のみ。でも上記の実施設計図面を作成するのことと同様、プロセスは把握していないといざというとき対処できないので、そこの確認をしっかりとしておく。ということになるでしょうか。AIの仕事に人が責任をとるということです。設備に関しても同様なことがいえてくるのではないかと考えています。
見積もりもAIがさくっとやってくれて楽になるはず!
見積もり作業をAIがやることによって、施工側としてはかなり助かってくるのではないでしょうか。見積もりの作業はやはりそれなりにまとまって時間が必要になってきます。その作業をより現場などにあてることができるというのは大きいような気がしますね。施工者が行うことは最終的な利益分配をどうするかぐらいになってくるのではないでしょうか。逆にこの作業が面倒な作業になってくるかもしれませんね。
見積もり責任者である人は施主に金額と可能な減額案をお伝えするだけ、見積もりに関しては数値がすべてなので説明はしやすいといえばそうかもしれません。
でも見積もりの調整とか数値でわりきれない情緒もそこででてくることがあるですけどね。
BIMという存在とAIの介入
さてこれらの作業をイノベーションする存在として現在はBIMを導入している企業が増えているのは顕著です。
BIMとは?
Building Information Modelingの略称です。
コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加し、建築物のデータベースを構築します。
このBIMによる3次元モデルは、これまでのCGパースなどを制作する際に作られたものとちがうんです。
これによって、意匠設計にとどまらず、構造設計や設備設計、使用する材料やコストなどの情報も管理することができることになるんです。
実物を施工し完成される前に、コンピューター上ですべてを一度完成させるシミュレーションが行われるわけです。これによってより詳細にすべてのプロセスを綿密に検討することができ、それぞれの技術者同士がデータとして共有できることになります。
この存在が建築のビジネス業務を効率化して将来的には普通に定着していくでしょうね!
逆に言うと設計者は検討段階でより明快な解答をしなければならなくなる、ということにもなります!ころころ変更しずらくなりますね。。
施主側にもBIM3次元モデルを使ってプレゼンテーションを行うことで説得力をもつものとなるでしょう。イメージや方向性も共有できるようになります。
BIMを扱う人材は?
さて、これをあつかえる人材はというと、教育しなければいけないわけです。
たしかに学生あがりの新人ではせいぜいあたえられたものをデジタル化するくらいのものですよね。
私は若いとき、よく実施設計を行ううえでは、線にどんな意味や理由があるのかをよく考えて描かされたものです。それは現場を経験してはじめて手に入れることができるものでもあります。
なのでそれを3次元化でやるというのはなかなか難しい。建築の経験と知識をもっている人がこのデジタルに対応するのは時間がそれなりにかかるし、デジタルの要領を知ってはいてもそれを理由をもって使いこなせるんにはさらに時間がかかってくるでしょう。
おそらく大学もそこを変革して教育していかなければならないし、そこに視点をさだめたビジネスもでてくるかもしれません。
資格以外の学校ができてそれにも通うのがあたりまえになるとか?建築の人材育成にはお金がこれからもかかりそうです。
学生は学生で資格もとる勉強もしなくてはいけないし、デジタルと実務の穴をうめなくてはいけないし。やることは満載で遊ぶひまもないですね。いやいやたいへんだ!
BIMにもAIか?
そこでおそらく登場してくるであろう存在がAIになってくるのであろうと考えます。
こわいですね!若い人の仕事とらないでほしいですね。。。
さらに現場で3Dプリンターとともに動くなんて未来も確実に近づいてはいます。
AI、BIM、3Dプリンターが連動して活躍するときはいつか!
ということで、もう上記のものが未来の建築業界における三大神器になってしまうんでしょうか!これらが連動するのがあたりまえの社会になるでしょうね。まあもうすでにためされてはいるのでしょうけど。歩いていて工事現場を見上げるとそういう光景が普通になるのはもう少し時間が必要であると思いますがでも遠い未来ではない。
では、いったいどんな建物ができるんでしょうね!上記ありきでは、見栄えとしたは現在のものとはあまり代わり映えはしなさそうな感じはしますね。
いや、意匠に関するAIも発展していくでしょう。これまでの意匠の傾向を分析しながら新しい建築のイメージを彼らはつくりあげてしまうんです。我々を差し置いて。。
AIを建築設計業務に導入する懸念材料
クレーム処理は人が担当?
これに関してはAIの尻拭いするのはちょっと困りますね。しかしながらAIそのものが施主に対して説明するのはというのは、相手にしても腹の立つことであるでしょうね。
そしてもちろんAI自体に責任が発生するわけではない。責任者はあくまでも主である建築士ということになるでしょうからね。
建築士をはじめとした技術者のモチベーションは?
究極的に考えてみると、やることはほぼなくなっていきますね。確認、判断、責任、などになってきますが、それをしたいがために私たちは建築士をとって設計の仕事をはじめ、いろいろなそれに関するものを苦労しながら選択してきたわけではないのですよね。生産性やお金だけであればそういうことにもなってはきますが、あくまでもものをつくって社会に貢献したいと考えてなった人がほとんどですから、その仕事のやりがいとAIとの関係をどう折り合いをつけながら、社会を構築していくか、それがこれからのAIと建築士との関係がためされていくことになるでしょうね。
発注者側により権力がついてしまうのでは?
システムありきでは建築関係者はフラストレーションがたまっていくかもしれませんね。ただ技術者とは反対に、発注者としては目に見えるものがより明確になってくるので、お金を出す側の力が強くなってしまうのではないかな。こうしたいということが、何ができて何ができないかというのが、建築士から伝えられるのではなくなるということは、
「じゃあ建築士って何?」
ということにもなってしまいかねなくなる。いやあ、困ってしまいますね。
この話題は考えていくときりがありません。ついつい長くなってしまいました。これからも話題に出しながら、建築を仕事する未来を考えていきたいと思います!