家づくりのアドバイス

建築士がおすすめしたいモダンなダイニングチェア4作品!

家を建てるとそのしつらえ、つまり家具なども大切になってきます。

そのなかで日常的に使用するダイニングチェアは美しく機能的なものを選びたいですよね。

そこで今回は、モダンなデザインがすばらしく、これを選べばまちがいない!というダイニングチェアを住宅設計をおこなっている一級建築士の視点からご紹介したいと思います。

インテリア検討のご参考になれば幸いです。

セブンチェア

デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンの代表作であり、ミッドセンチュリーデザインの名作の1とされているイスです。今なお全世界で愛されているこのデザインは、およそ600万脚以上販売されているといわれている超ロングセラーです。日本でもカフェやレストランなどで多く使われていて、その様々な空間にあうこのデザインの素晴らしさには脱帽です。

セブンチェアは、プライウッドによる背面と座面の3次元一体成形が成功したことによって生まれたアントチェア(このイスも今度ご紹介しますね)から3年後の1955年、その後継モデルとして発表されました。木材の一体成型による三次元曲面の座面にスチールというその当時ではなかった組み合わせ、そんな既製の枠組みにとらわれない発想から生まれたデザインです。

このイスの最大の魅力は、9層からなる1枚の合板を3次元成形によって緩やかな曲線を描く美しいフォルムと、座る人にぴったりとフィットする座り心地です。座面と背面の適度なしなりから生まれたこの形状はながめる角度によって様々な表情をみせてくれます。人の身体に沿った1枚の合板だからこそ可能であるしなりは優しく包み込むように身体を支えます。

しかも軽くて持ち運びもかんたんでローコスト。スタッキングにも対応でき、収納や未使用時にも考えられたデザインです。使い手への配慮を人間工学に基づいて座り心地を追求しているんです。

デザイナーのこだわりを持って作られたプロダクトは、美しさや実用性、機能性、そのどれをとっても高い次元でバランスよく融合した素晴らしいイスです。

イームズシェルチェア

こちらはミッドセンチュリーと呼ばれる1940年代~1960年代の頃のチェアデザインを代表する作品です。彼らがデザインしたのはその時代の寵児、チャールズ&レイ・イームズで、その作品の中で最もポピュラーな家具として今も愛され続けています。

この椅子は、1948年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催した「ローコスト家具デザイン国際コンペ」のためにデザインされたものが現在のフォルムの原型になったと言われています。貝殻のような曲面をしていることからシェルチェアと名付けられました。

デザイナーは、その当時新素材であったFRPが、身体の曲線にフィットする有機的なシートシェルを作ることができる素材だと確信して制作を開始します。複雑な三次元曲面を実現し、背座一体となったシェル型デザインはとても斬新で、発表当時とても大きな注目を集めました。そしてさらにその努力が実を結び、1950年には、ハーマンミラーによって製品化された成形技術によって、大量生産が可能となりました。この作品は初めてのFRP製の椅子となったわけです。

そのデザインは世界中の多くのデザイナーに影響を与え、しかも椅子のアイコン的存在となり、多くの人が一度は目にした事がある最も有名な椅子のひとつとなっています。そしてこの作品が椅子の大量生産を可能にしたはじめてのFRP製椅子となったという点から見ても、歴史的にも大きな価値があります。

(イームズチェアは当初FRPで製品化されましたが、1950年に製品化した当初の素材FRPは、リサイクルできないという環境的な理由から1993年に生産が中止になってしまいました。しかしその後の製造技術や素材の進歩により、1998年素材をポリプロピレンに変更しより環境に配慮されたオリジナル仕様のまま復刻されました。そのデザインは技術とともにさらにその普遍性を高めたわけです!)

このイームズのシェルチェアからみる普遍性は単なるかっこよさからくるものではありません。人々にいつの時代でも誰にでも愛されるような椅子として使ってほしい。という想いがやさしく表現されているとともに、プラスチックという素材に対する可能性を信じて検討を重ねた跡がこの洗練された曲線に宿っています。

Yチェア

Yチェアは20世紀を代表する家具デザイナー、ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナーによる作品です。ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナーは生涯で500以上の椅子をデザインし、北欧デザインに多大な影響を与えました。そのなかで特にこのYチェアは北欧デザインの不朽の名作とも呼び声高く、今もなお多くの人々に長く愛されています。

このいすが愛され続けている理由はデザインと座り心地にあります。

背もたれとアームを兼ねたフレームはやさしく体を支え、肌触りはとても滑らかです。この背もたれ部分の支柱がYの字になっていることからYチェアと呼ばれるようになりました。成形合板で作られたYの字パーツのデザインは背骨に当たることなく快適にすわることができ、耐久性にも優れています。アームから背もたれにかけてのパーツは、蒸気をあてながら木材を曲げていく『曲木加工』によって継ぎ目なく成形され、このように滑らかな素材の持ち味を活かした美しい仕上がりになっているのです。

ゆったりした奥行きのある座面は、紙を縒って作った「ペーパーコード」という素材を職人の手作業で丁寧に編みこんで作られています。腰掛けると、ほどよいクッション性のペーパーコードがやさしく体を受け止め、快適な座り心地を与えてくれるのです。

経年とともに木肌の表情が味わい深くなり、時間が経つにつれて体に馴染むので、より快適に座ることができ、生涯使い続けることができるでしょう。 やわらかな曲線やビーチ材の素材感は日本のインテリアにもよく馴染みますよ!

バタフライスツール

蝶が羽をひろげ飛んでいるかのような美しいフォルム。その姿がこの名の由来となっている、柳宗理デザインのバタフライスツール。柳宗理は戦後日本の工業デザインの確立に大きく貢献した、日本が世界に誇る工業デザイナーで、広く数多くの分野のデザインを手掛けていました。

そのなかでもこのバタフライスツールは、彼の代表作として世界的に有名です。1956年の発売されたこのスツールは、1957年に開催された第11回ミラノ・トリエンナーレに招待され出品すると、金賞を受賞しました。現在では、世界各国の著名な美術館に、世界中の有名な家具たちと共に収蔵されています。

この美しい椅子は戦後、以前シェルチェアでご紹介したイームズ夫妻のもとを訪ねた柳宗理が、成形合板で作られたイームズの代表作レッグスプリントに出会ったことがきっかけです。その時彼が目の当たりにした成形合板の曲線に影響を受けて、生まれたのがこのバタフライスツールです。革新的な木工技術を用いたその成形合板で何か作れないかと模索している中、この原型が生まれたといわれています。

そのしなやかで美しい曲線のデザインは、2枚の成型合板を2本のボルトと1本の金属棒で連結させただけのシンプルな構造です。この美しく柔らかい曲線を作り出すためには、山形にある家具メーカー、天童木工の高度な成形合板技術が不可欠だったとのことです。まさに柳宗理のバタフライスツールは、日本の伝統工芸と、西洋のモダニズムの考え方を融合させたデザインなんです!

このスツールは、もともと畳の上で使用できるようにと考案されているため、畳を傷つけないように床と接する脚の先端は緩やかな曲線になっています。左右がシンメトリーとなっている姿は、繊細で軽やか。もはや芸術作品のような優美さです。正面からのフォルムが、「天」という漢字や神社の鳥居を連想させ、和の情緒を感じます。そしてこのスツールは、彫刻的な美しさだけでなくとても機能的です。曲線の多いデザインの見た目とは裏腹に、座り心地は安定感があります。見た目だけでなく、座り心地も考慮されたすばらしいデザインです!

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