家づくりのアドバイス

注文住宅の間取りと見積もりを無料シミュレーションする方法

 家を建てるにあたって一番大切なのはお施主さん(クライアントとなるあなた)が求める要望整理資金計画です。

 となりますと、自分が求める住宅が一体どんな間取りでどのくらいの価格になるかを大体の範囲で把握しておくことは重要です。

 ただ、自分で設計しない一般の施主にとって、直ぐにそれを把握することはなかなか難しいです。

 では実際に、建築士に設計してもらってそれにたいして工事費の見積もりをとってもらうとなると時間がけっこうかかってしまいます。これは設計事務所であろうが工務店であろうがハウスメーカーであろうがいっしょです。

 そこで今回はネットを活用して無料で手っ取り早くシミュレーションできる方法をご紹介し、さらに活用するうえでの重要なポイントもアドバイスしていけたらと思います。

 ちなみに最初に申し上げておきますと、このブログを書いております私は、注文住宅の仕事を行っている一級建築士です。さらに自分で自宅を設計し、そこにすんでおりますので、建築士としての専門性とクライアントとしての一般性両方を持ち合わせたうえでこちらの文章を書いております。

 さらに、今回無料で間取りや見積もりを行うサービスをご紹介するにあたっては、その企業に資料等を提供していただいて質疑確認などのやり取りを行っております

 上記2点をおさえての記事となっておりますので、その内容もより濃いものとなっております。最初に家づくりを考えるにあたって参考にするには、よい情報となっておりますので是非この文章と紹介したサイトをご活用いただければ幸いです。

無料ウェブサービスを活用して間取り・見積書を作成してもらおう!

 冒頭でお話ししたことをふまえ、とりあえずパソコンやスマホを使って短期間でかんたんな間取りと見積もりがでてくるウェブサービスを使ってみることをまずはおすすめしたいと思います。

タウンライフのサイトを活用してみよう!

 今回私がおすすめする無料ウェブサービスは「タウンライフ」というサイトを活用するものです。

 このタウンライフというサイトは登録した際に家づくりに関する情報を入力します。その情報をもとに、タウンライフに登録している住宅会社がプランと見積もりを「家づくり資料」として無料で提供してもらえるというシステムになっています(もし、必要な情報等がある場合は、提案会社から質疑がくる場合もあるとのことです)。

短期間で間取りと見積書を提案してくれるのが利点

 こちらのサービスのいいところは、短期間で間取りと見積書を提案してくれるところです。本来であれば、設計と見積もりをそろえる作業には半年くらいかかってしまいます。しかしこちらのサービスではその作業をおよそ2週間程度の短期間でまとめて提案してくれるというのがいいですよね。あくまでもざっくりとしたたたき台の提案なので、細かい部分までは網羅できないですが、最初のとっかかりとしては十分な情報を手に入れることができるようになっています。

自分の要望を可視化・数値化する!

 こちらのサイトでは、現在の自分のぼやっとした家に対する要望を整理し、さらに間取りとして可視化し、それがどのくらいの価格で実現できるのかという目安を数値化して確認するのが目的です。自分の要望がどのくらいの規模の住宅になって、それがどのくらいの価格になるかというのは、今後の家づくりにおおいに役に立ちますからね!

 もちろん、提案してもらったプラン内容や価格帯も納得できそうなのであれば、その資料を出していただいた会社さんとコンタクトをとってさらにお話しをすすめていってもいいと思います。

 とにかく大枠の間取りや工事価格を見積書で把握するということが家づくりにあたっては大事です。建築士である私でもこのようなサービスがあるのであれば、とりあえずは試しに利用してますね。要望と金額のすりあわせをまず最初にやっておくというのはそれだけ実現にむけては大事なことなんです。

タウンライフ提供資料についての解説

 タウンライフサイトに登録する前に、提供資料がどのようなものか?そしてその資料をどのような視点で確認したらいいのだろう?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

 そこでこちらの記事では、タウンライフの事務局に直接問い合わせて参考資料を取り寄せ、さらに私が建築士として気になった点を直接質問したりなどのやりとりを行わせていただきました。それをふまえて、いただいた参考資料に関しての私なりの解説やアドバイスを付け加えてお伝えできればと思います。

間取りプランについて

どんな資料が提案されるか?

 ではさっそくいただいた資料の一部を掲載いたします。まずこちらはタウンライフのフォーマット用紙に住宅会社がプレゼンした内容の資料になっております。

 そしてこちらはとある会社のフォーマットで間取りを表現したパターン内容になっております。

どちらの例もしっかり間取りを表現してそのポイントを補足で加えています。手描きがCADで描かれているではその印象は異なりますが、しっかり相手に伝わるように表現はされていると思います。

 しかし、会社によっては間取り表現がみづらいところもでてくるかもしれません。今回参考資料をお見せした2つの例を標準として、これらより見づらい間取り資料を提案した会社はさけたほうがいいと思います。図面表現はその会社の設計姿勢を現しますからね!

プランを確認するポイント

 プランについては基本的に一度で満足いくものがでることはほとんどないと考えてよいと思います。なぜなら、通常は顔を合わせて会話のなかで要望をうかがって整理するからです。そのなかで設計者が気になったことを質問したりアドバイスを受けることで要望が整理されるということも多々あります。

 しかし提案された間取りからその会社に設計姿勢を最低限見ておく必要がありますので、そのポイントを2点お伝えしたいと思います。

要望した部屋やスペースが間取りに反映されているか?

 サイト登録の際に、ほしい部屋やスペースの要望を入力します。それがきちんとプランに反映されているかをみてみましょう。しっかり依頼側に入力してわかるカタチで記載していたのに対し、それが表現されていない間取りを提出されたのであれば、その会社の設計力に疑問をもつべきだと思います。

効率的な間取りかどうか?

 設計のプロが実際に設計しているのであれば、まずクライアントに提案する間取りは効率の良いものを提案します。間取りにおいて効率が良いというのは、

無駄なスペースが少ない

ということです。

間取りで確認できることでいうならば、具体的には大きく3点あります。以下こちらを見ておきましょう。ここがしっかり整理されたプランであれば、担当していただいている会社の設計担当は、基本設計に関しては最低限プロとしての仕事をしていると見て良いでしょう。

■ 廊下を多くとっていないか?

間取りづくりにおいて、内部の動線計画は重要です。そのなかで廊下を極力最短距離にして効率的な部屋のアクセスを計画するというのは基本中の基本となります。廊下が増えるということは無駄なスペースが増えるすなわち建物が無駄に広くなって金額も高くなるということにつながってしまいます。ここは要チェックですね。

■ 部屋の大きさの配分は適当か?

これはどういうことかと言いますと、「必要な部屋の大きさをバランス良く計画できているのか」ということです。具体的にはLDKなどメインスペースはできるだけ広く、個室は最低限必要な広さを確保しているかということです。これはクライアントの要望によっても左右される部分なのですが、普通の感覚であれば設計のプロはここをしっかりおさえたプランニングをします。

■ 収納は確保できているか?

ここは設計者としての常識をみる部分として良いポイントとなるかと思います。やはり家というものは生活するための空間です。収納空間の要望にも左右されたりはしますが、設計のプロにはその規模や家族構成によってその収納量というのもが見えています。やはり肝心なところに収納がないという設計者はちょっとこれからお仕事を頼むうえではちょっとねえ、となります。ここもしっかりチェックしてみましょう。

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見積もりについて

 次はもうひとつの資料である見積書を見ての建築士としての見解をお伝えしたいと思います。

 ちなみに私は建築士として設計事務所のほかに、設計と施工をいっしょに行う住宅会社にも勤務していたことがありますので、ある程度見積もりに関する知識やその裏側も熟知しております。

 まずは、タウンライフから参考資料としていただいた見積書を掲載しますので、ご覧ください。

見ていただくと、内訳が

 ・本体工事

 ・付帯工事

 ・オプション工事

 という3つの工事にわかれているのがわかるかと思います。おそらく短期間で見積もりを出すのであれば、この程度の内訳で会社は見積もりを出してくることが多いはずです。ではこの3つが基本的にはどのような工事がふくまれているかをお伝えしたいと思います。

工事内訳

 本体工事

建物そのものを構成する部材などやそれに関する工事と考えてください。

 具体的には、建物の構造体や外壁材、内部の仕上げ材などのことをいいます。そのなかには大工やその他職人さんの手間賃などの技術的な金額ももふくまれています。

付帯工事

こちらは建物が使用できるための本体以外に関する金額が入っています。

 具体的には電気工事、設備工事、地盤工事、設計料、工事監理料、確認申請作成料などがそれに該当します。

 しかしながらここで注意していただきたいのは、この上記2つは必ずしも会社によって共通しているわけではありません

 見積書がでてきたときに、必ず本体工事と付帯工事にはどんな工事が含まれているかを必ず確認してください。特に地盤工事、設計料、工事監理料、確認申請作成料が含まれているか別であるかで金額が大きく変わってきますので、注意して確認を行ってください。そしてその確認を質疑して、適切な答えができない会社はやめておきましょう。

 というのも、こういう基本、概算のような見積もりに関しては、あくまでもその会社で普段使っている仕様や、受けているクライアントの価格帯をもとに数値を出しているはずです。適当に出しているだけではなく、ある程度の根拠をもって数値化しているはずです(かならず過去の会社の見積内容を参考に作成しているはずです)。それができてない会社は信用するに値しないと考えてよいです。

 ちなみにもし、概算見積もりの段階でもう少し工事の内訳をくわしく出してくる会社があれば、けっこう優秀な施工会社であると見てもよいかと私は考えます。

オプション工事

こちらの工事は、その見積書を作成した会社の基本仕様から上乗せされた部分の工事のことになります。

 たとえば要望でキッチンはアイランドで○○がいいなどという、特別な要望を書いたとするならば、それに値する金額を上乗せすることになるでしょう。他にも、太陽光発電にしたいとか、暖房はエアコンだけでなく、床暖房もつけたいなどというその会社にとってはプラスアルファになる部分のことをおもにいいます。

 とはいいましても、会社によっては出すところとそうでないところがあるのに分かれることもあります。上記2つにある「建築本体工事」と「付帯工事」にふくめて見積もりを出す会社もあるからです。

 ここで注意したいことは、見積もりの基本仕様はどんなものを想定しているのかを見積もりをした会社に確認することです。これを答えることができない会社は信用に値しないと見ていいです。

見積もりに関する説明は必ず受けよう!

 今回出していただく見積もりは概算ですので、ある程度ざっくりはしています。それは短期間で出していただいているので、しょうがありません。ただし、大きな工事金額が含まれていないと今後の資金計画にくるいが生じてきますので、そこはしっかり確認しておきましょう。

 必ず担当者からメールや電話による補足説明を受けて、私が上記で書いた注意点などを参考にしながら疑問点があれば遠慮なくそれをぶつけてみましょう。それを対応できないのであれば、契約後もその会社とはうまくいかないことが多いです。誠実に対応してくれる他の会社を探したほうがいいですね。

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より良い家づくりのためのシミュレーション作業は必須!

 いかがでしたでしょうか?

 今想定しているもしくは購入している土地に対し、自分の要望をこめた住宅が一体どのくらいの規模の大きさでどのくらいの費用がかかるかというのがわかるだけでもまずは家づくりへの第一歩になるのではと思います。

 たたき台をもとにしてあらためて資金計画やプランの優先順位を整理して、希望している設計事務所、工務店、ハウスメーカーにお願いするということは、設計者や施工者などにとってもやりやすいです。これは実際に住宅設計に携わっている建築士が実務を行って感じていることでもあります。

 というのも、やはりある程度プランがかたまってしまっていざ見積もりをして予算がオーバーしていたとなると、そこからの調整はけっこう難航しがちです。せっかく考えてきたものがうまくいかず、関係がこじれて無駄な時間を費やしてしまったという経験を私は何度も目にしています。そんな残念な失敗で時間や心を消費してしまわないよう、家づくりの金額シミュレーションはぜったいにやっておくべきです!

 どんどんインターネットを介してのサービスがあたりまえになるなか、家づくりはどうしてもアナログ部分が多いです。しかしながら、このようなウェブサービスが着々と根付いてきているのは事実です。うまくこういうサービスを活用しながら納得できる家づくりの土台をかためていただけたらと思います。

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