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建築学生はルイス・バラガンの色と光に魅了されよ!おすすめ4作品

ルイス・バラガンはメキシコ出身の世界的建築家です。彼の建築は、故郷メキシコの強い太陽の光、そして乾燥した大地と青い空、そこに映える原色の壁の構成が魅力的です!

なぜこんなにも派手な色を組み合わせた建築であるのに美しいのか?その魅力についてを彼の作品をとおしてお伝えできればと思います。

ルイス・バラガン邸

メキシコシティ郊外のタクバヤにある住宅は、バラガンが1948年に自ら設計をして、その後半生を過ごした自宅兼仕事場です。

外観は周辺の住宅街通りにとけこんだ何の変哲も無い、コンクリートでつくられた建物です。

しかし中に入り、薄暗いアプローチを抜けて玄関に入ると、。玄関ホールからの黄色、ホールはピンク色といった鮮やかな配色が目に飛び込んできます。階段上からの光が黄色の壁に反射して階段室をやさしく照らし、さらにピンクの壁がまた光を反射して白い階段をピンクに染め上げています。これらの壁によって効果的に日の光を反射され、拡散し、空間に異なる光の表情が生まれています。

バラガン邸は、プライバシーを守るため、それぞれの部屋に面して異なる性質の庭を配置しています。どの庭も壁に覆われ、上部にある青空をくり抜いた空間となっています。無限に空だけが広がる中庭には落ち着いた静けさがあります。

伝統とモダニズムが融合したこの住宅建築には、都市の喧騒を逃れた穏やかで静かな時間が流れています。バラガンは、自分が求める住宅空間における最高の質は「静けさ」にあると語っていました。この建築にはその言葉が結晶となって表現されているような気がしますね。

カプチーナス礼拝堂

このメキシコシティ南部のトゥラルパンにある建築は、バラガン自身が簡素な礼拝堂を私財を投じ7年もの歳月をかけて改修再建したものです。バラガンの晩年の作品で、最高傑作ともいわれている作品です。

外観はどう見ても礼拝堂には見えないふつうの家です。でもそれがバラガンの建築の真骨頂。戸を開くとその中にはびっくりするような空間が待っています!

入ると中心に池のある中庭があり、周囲の喧噪から解き放たれた静寂の場所となっています。

そして中庭から薄暗い前室を通されて礼拝堂の中に入ると光と色彩の魔法が迎えてくれます。黄色やピンク、オレンジのグラデーションが空間を包み込み、まるで礼拝堂が光と色彩のアートのようになっています。

白い壁の向こうには、金色の祭壇があって、その左側にはオレンジの色をした大きな十字架が横向きに配置されています。背後の窓ガラスを通して木漏れ日のような光が十字架に当たり、午前中のある時だけ、正面の壁に十字架の影が美しく現れます。バラガンは、太陽光の角度と壁の色によって生まれる空間を計算し、意図的に祭壇の横に十字架を配置しているのです。空間全体は静かな祈りに満ちあふれ、バラガンのキリスト教への信仰心が伝わる純粋な光の空間となっています。

サン・クリストバルの厩舎

この建築はメキシコ・シティの郊外にある馬の厩舎と住宅です。青い空を背景に、水を噴出する赤やピンクの壁が抽象的な空間の中に馬がたたずむ光景がとても美しい建築です。

 敷地へ入る門の扉を開けるとそこには外界から隔絶された静穏な空間が奥へと広がっています。来訪者視線の先には、手前から白、赤、さらにピンク色の壁が、重なり合いながら美しく配置され、その間からは木々の緑や水面の一部ががほんの少し見えるだけです

赤い壁の場所まで歩いていくと、その目の前には四角いプールが広がっています。さらにプールに沿って歩いていくと、水平に伸びるピンクの壁、真ん中に配置された樹さらにその奥にはスリットの入ったピンクの高い壁があります。馬のいる厩舎へたどり着く赤い壁の間を流れる水がしぶきを立てながらプールに流れ込んでいます

赤い壁と直角に対向するピンクの壁開口は馬に乗って通り抜ける高さに設定され、プロポーション、スケールとともに馬が最も美しく見えるようにつくられています。馬がこのピンクの壁の前を通る瞬間、それはそれは美しい光景です

ヒラルディー邸

ラテンアメリカ最大の都市メキシコシティの喧騒を逃れ、郊外へ向かうと、ルイス・バラガン晩年の傑作、ヒラルディー邸があります。ピンク色の外観がメキシコの青い空に映えているそこには住宅とは思えないほどの幻想的な空間が存在しています。

吹き抜けの玄関ホールを抜けた廊下は、壁も天井も鮮やかな黄色に彩られています。これらは庭に面した縦長の連続窓に黄色いすりガラスによるもの。そのスリットからは幻想的な光が降り注ぎ、長い廊下を黄色の光に染めながらダイニングへと導いていきます。

その黄色い光のトンネルの先には、青い壁が待っています。この先に何が待っているのか。そのわくわくさせる期待感がバラガンの仕掛けた空間の魔法です。そしてたどりつくダイニング空間は、まるで海のように水がきらめくプールのあるダイニングです。赤や青の壁にトップライトから限定的で演出的な自然光が差し込み、その光が浮かび上がるという印象的な空間です。光の角度、水面とその水の深さ、色彩、それらが全て計算された非日常的な空間がそこにはあります。トップサイドライトから差し込んだ2方向の光は水面で交差して青い壁面をドラマチックに切り裂き、射し込む光が時間によって変化し、水のゆらぎが光をゆらします。

バラガンの色の意味

バラガンの建築によく使われる赤やピンクは、メキシコの伝統的民家などにもみられます。そしてこの赤やピンクは、ブーゲンビリヤの色です。メキシコの街には、赤やピンクのブーゲンビリヤがあちこちに咲いています。ほかにも紫はジャカランダという花の色、赤褐色はメキシコ特有の土の色などという具合に、バラガンが使う全ての色はメキシコの風土に関係していることがわかりました。だから、かわいた青い空の色や植物の緑にもとてもあっていて、ぱっと見、派手な色でも、違和感を感じないのはそのせいなんです。

バラガンはメキシコの歴史と土着性を室内外に使われている鮮やかな色彩によって表現しているのです。その奇抜で反発し合うはずの色の組み合わせが、メキシコの空の青、木の緑によるコントラストによって落ち着いた美しい空間をつくりあげているのです。

参考資料: ルイス・バラガンの建築(TOTO出版、著:斎藤裕)、カーサ・バラガン(TOTO出版、著:斎藤裕)

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