建築模型のはじめの一歩。現役建築士が教える「最初の道具」

 

建築学生にとって、初めての設計課題で向き合う**「建築模型」**は、特別な存在ですよね。

頭の中のアイデアをカタチにして、誰かに伝えるための大切なコミュニケーションツールです。

「模型ってなんだか難しそう…」と感じる方もいるかもしれませんが、心配いりません。まずは、建築模型作りの基本的な材料と道具を知ることから始めましょう。どんな道具を揃えるかで、作業効率も仕上がりも大きく変わってきます。

建築士として、私も実務で模型は欠かせないツールです。クライアントの心を掴むための「ラブレター」のような存在であり、その魅力を知っているからこそ、皆さんに楽しく模型作りを始めてほしいと願っています。

今回は、建築模型を制作する上で絶対に知っておきたい基本の材料と道具を、プロの視点からご紹介します。


模型を構成する基本の材料

スチレンボード(通称:スチボー)

建築模型の基本となる材料で、通称**「スチボー」**と呼ばれています。厚みは1mm、2mm、3mm、5mm、7mmなどを組み合わせて使います。

スチレンの両面に紙が貼ってあり、加工しやすいのが特徴です。この紙を残して**「面取り」**をすることで、模型の角がシャープできれいな仕上がりになります。

まっすぐ、垂直にカッターを入れ、2〜3回に分けてなぞるように切ると、断面がよりきれいになりますよ。切り口がギザギザしてきたら、カッターの刃をこまめに折って新しい刃を使いましょう。

Point💡 スチレンペーパーという、両面に紙が貼られていないつるつるした素材もありますが、汚れがつきやすいため、初心者の方はまずスチレンボードから始めることをおすすめします。

プラスチック板(通称:プラ板)

窓ガラスや透明な壁の表現に使うのが、プラスチック板です。通称「プラ板」と呼ばれ、透明から半透明、色付きなど様々な種類があります。

一般的なカッターで簡単に切ることができ、作業性が良いのがメリットです。カッターで軽く線を入れるだけでサッシの表現も可能です。

Point💡 アクリル板という素材もありますが、こちらは切るのに専用のカッターが必要で作業が大変です。こだわりがなければ、まずは扱いやすいプラ板を選びましょう。

バルサ材

バルサ材は、デッキやルーバーなど、木材の表現に最適な材料です。非常に軽くて柔らかいため、カッターやナイフで簡単に加工できます。

接着には木工用ボンドが基本ですが、作業効率を考えると両面テープを併用するのもおすすめです。

スタイロ

スタイロフォームなどと呼ばれる発泡材です。断熱材として使われることが多く、建築模型では周辺の建物を抽象的なボリュームで表現する際によく使います。

専用のスタイロカッターで切り出して使いますが、カッターから出る煙を吸い込まないよう、必ず換気の良い場所で作業しましょう。


模型部材を接着する材料

スチレンのり(通称:スチのり)

スチレンボードを接着するのに最適な接着剤です。通称**「スチのり」**。他の接着剤と比べて乾きが速く、しっかり固定できるのが特徴です。

直接部品につけると量が多すぎる場合があるので、注射器型の注入器を使うと、細かい部分もきれいに仕上げられます。

スプレーのり

図面をスチレンボードに貼り付けたり、広い面を接着する際に便利なのが、スプレーのりです。粘着力の強さによって種類があり、ラベルに記載された数字で区別されます。

 ・「55」: 粘着力が弱く、仮止め用として最適です。

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 ・「77」: 粘着力が強く、完全に接着する際に使います。

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Point💡 スプレーのりは空中に飛散しやすく、周りを汚してしまうため、必ず屋外や専用のスプレーブース内で使用しましょう。

木工用ボンド

木や紙の接着に適した、水性系の接着剤です。スチレンボードにも使えます。乾くまでは白色ですが、固まると透明になるので安心です。

スチレンのりと比べて乾きに時間がかかりますが、その分ゆっくりと調整できるメリットもあります。

マスキングテープ・両面テープ

接着剤が乾くまで仮止めをしたり、塗料がはみ出さないように保護したりと、マスキングテープは様々な用途で活躍します。

また、両面テープは、スチレンボードの大きな面を接着する際に非常に便利です。スプレーのりやボンドではうまくいかない場合でも、両面テープを併用することで、しっかりとした接着が可能です。


模型作りの必須道具

30度カッター

模型材料をまっすぐ、きれいに切るためには、刃先が30度になっているカッターが必須です。通常のカッター(45度)よりも鋭角なため、よりシャープな切り口になります。

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刃先は消耗が早いため、切れ味が落ちてきたらこまめに折って新しい刃を使いましょう。このひと手間が、模型の仕上がりを大きく左右します。

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カッターマット

机や床を傷つけないために、カッターマットは必ず用意しましょう。模型材料はサイズが大きいものも多いので、A2サイズ以上のものがおすすめです。

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直尺(金尺)

模型作りでは、長さを測るだけでなく、カッターのガイドとしても使います。そのため、カッターの刃で傷がつかない**金属製の定規(金尺)**を使いましょう。複数のサイズがあると便利です。

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スコヤ

スコヤは金属製の直角定規です。材料を正確に直角に切ったり、部材を接着する際に直角を出したりするのに欠かせません。

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スタイロカッター

スタイロフォームを切るための専用カッターです。ニクロム線に電気を通して熱で切るため、きれいな切り口になります。高価なので大学のものを使用させてもらうのがいいです。

ピンセット

手では扱いにくい、小さなパーツを接着する際にピンセットを使います。先端が細いものや、曲がっているものなど、用途に合わせて選んでみましょう。


まとめ

いかがでしたか?

初めての模型作りは、慣れない道具や材料に戸惑うこともあるかもしれません。しかし、今回ご紹介した基本的な道具を揃えるだけで、模型作りのハードルはぐっと下がります。

まずはこれらの道具を使いこなして、頭の中のアイデアを自由に表現してみてください。模型はあなたの建築に対する情熱を伝える、最高のパートナーになってくれるはずです。

もし、この記事を読んで「この道具はどこで買えるの?」と疑問に思ったら、画材店やホームセンター、またはオンラインショップを覗いてみてくださいね。

皆さんの模型作りが、楽しく、そして素晴らしいものになることを願っています!

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