おもにこのブログでは、建築学生に向けての情報発信を行っています。
建築学生の定義としては、建築を学んでいる大学生や専門学校生とこのブログではしており、おもにその方々のための情報を発信しています。
なので高校生に向けたものはこれまで書いておりませんでした。しかし、建築学科進学を目指す高校生から相談を受ける機会があり、そういう方のためのブログがあったらよいのではと思うようになりました。
そこで今回は、これから建築学生になりたいと勉強している高校生に向けてアドバイスとなる文章を書いてみたいと思います。
もし進路を考えるうえでの参考になったら幸いです。
どこの大学の建築学科を目指したらよいか?
建築学科を目指している高校生から、どの学校に進めばいいですか?という質問を受けたりします。もちろん、偏差値と自分のレベルにある程度合致している学校を選ぶというのもありますし、大学の雰囲気や施設環境などもあると思います。
ただ、これに関しては建築以外の学科においても同じようなことが言えますので、上記などをのぞいたうえでの私がすすめるポイントをお伝えしたいと思います。
多くの建築に関する研究分野がある学校
建築を学びたいと思っている人の多くが、建物の設計をする仕事をしたいと思って建築学科を目指してくることが多いです。
でも建築に関わる仕事はそれだけではありません。設計だけでも、皆さんが思っている意匠設計のほかに構造設計、設備設計などに枝分かれしてゆきます。都市計画という建築を群でとらえながら街づくりをするような分野もありますし、様々です。
そのほかにも建築をつくるという考え方を活かしながら現在仕事をしている人も多いです。
建築はいろいろな視点から学ぶことができる学問であることを知ってほしいです。
↓こちらの記事では建築学生向けの研究室の分野についてを描いてご紹介しています。是非読んでみてください。
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卒業設計or論文?建築学生のための大学研究室の選び方と準備
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↓こちらの記事では建築学生向けに卒業後の就職先に関する種類をご紹介しています。建築学科を目指す高校生にも将来を見据えるために読んでもらえたら幸いです。
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就活前の建築学生必見!OBが語る卒業後の就職先種類別まとめ
建築学科に入学した学生の皆さんは自分は建築の道に進んだが、実際、建築に関わるもしくはそれに近い仕事はどういうものがあるのだろうと考えている人も多いはずです。 そこで、今回は大学の建築学科を卒業して現在 ...
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ですので、もし建築の学校を選ぶうえでは、多くの建築に関する研究分野がある学校(様々な分野の研究室と教官がいる学校)を選ぶのを私はおすすめしたいと思います。
教わりたい先生がいる学校
これもけっこう大事にしてほしいなと思っています。
最近では、現場の第一線で活躍している人たちが大学で教鞭をとってもらっていることが多くなりました。
たとえば建築の設計に興味がある人であれば、 実際に自分で会社や設計事務所を経営して良い仕事を多く行っている教授からは多くの学ぶことがあります。
このような方々からの言葉はとても生きがよく響くものとなりますし、彼らの幅広い人脈から、外部ゲストが来たりなど、多くの刺激を受けることになるでしょう。
ですので、大学の教員一覧も見てみて、その先生方がどんな活動を行っているかもしっかり確認して、 「この人に教わりたい!」と思う学校を選んでください。
それが試験勉強のモチベーションにもつながることでしょう。
多くの訪れる建物が周辺にある学校
これはまさに建築学科ならではというところもあるおすすめポイントになります。
建築を学ぶにあたっては、多くの建物を見るということが何よりの勉強になります。
そこにおいては、やはり田舎よりも東京都市圏や大阪都市圏などの都会のほうがより多くの建物があります。
私は東京首都圏にある大学の建築学科に通っていましたが、多くの建物が気軽な距離で見に行ける環境というのはとても大きかったです。特に東京なんかは、有名な建物が街にひしめきあっているので、とても刺激的でした。
もちろん地方都市にもすばらしい建物があります。しかし、車でその単体の建物だけを見に行くという手間をどれだけ学生のときにできるかというと、腰が重くなって継続できないという状況になってしまったりする場合もあります。たとえば自分の実家が田舎のほうなのですが、帰省した際にあえて近くの建物を見に行こうという気持ちにはなかなかなりませんでした。というのはその建物から実家がけっこうはなれていたからです。
それだけ多くの建物に囲まれた都市に住むということの刺激は今後の建築人生において貴重な体験となるでしょう。
高校生のときに何を勉強しておいたらよいのか?
試験教科であえていうなら
試験教科であえていうなら私は数学とお答えしたいですね。これはまあ、数字に強いほうがいいというのもありますが、本当に選んだ理由としては、解答にいたる過程をよく理解しておいてほしいということです。
数学的な思考は問題解決能力を養います。数学は答えを出すことに目的をおいた勉強をついついしがちです。でも、本当に数学で大事なことは、そのプロセスにあります。そこを大事にすることで数学的な考え方に理解が深まり、問題解決のための能力が身についてきます。
建築をつくるという行為は、問題解決にほかならないです。提案や図面作成、現場など建築実務には問題や課題がどんどんでてきます。それらを解決することで建築プロジェクトが一歩、また一歩と前進していくことを私自身痛感しています。問題解決のための数学的思考の必要性を是非学びながら理解を深めていただけたら、それは将来必ず役に建つでしょう。
社会勉強という視点でいうなら
建築に対するモチベーションのあげかたという点では、自分の街にある建物を見学してみてください。
図書館、役所、公民館など、できれば自分がいいなと思った建物を訪れて、そのいいなと思ったことがいったいなんであるかをメモしたり、その部分をスケッチしてみたりしてみましょう。絵はそんなにうまくなくてもいいです。だれかに少し伝わる程度でかまいません。よく見るということは建築においてとても大事なことです。のちのち、建築学科に入学してそのいいなと思ったことが建築的な視点ではどんなことであったのか答え合わせをしてみましょう。
何の知識もなく建築を見ることができるのは今のうちですよ!
建築士の資格試験の勉強はまだするな!
大学などの建築学科進学を目指す高校生のなかには、たまに「まずは建築士の資格をとる!」といって意気込んで資格勉強の教材を読んだりしている人がいたりします。
大学や専門学校の建築学科に入ることを目指しているのに、このような行動にでるというのはまったくおすすめできません。大きなミスをおかしています。
もしそういう人がいましたら、冷静になって、建築士の受験資格を確認してください。
↓建築士の受験資格に関する記事も書いてあります。
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建築士法改正で建築士受験資格は医師受験資格に近いプロセスへ!
私パウレタは、ばりばりの一級建築士です。血を吐くような努力を重ねてあの資格をとってからまあそれなりの年月がたったと思います。以後、その試験勉強で大変だった時期を思いださまいと、実務や建築の素敵な部分ば ...
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まずは高校レベルの教養、そして基礎学力を上げることに力を入れてください。受験勉強もろくにできないような人は、建築士という難関資格の試験を突破することなどできませんから。
建築の世界はこれからもひろがっていきます!
最近では、建物の着工件数が減ってきたりして、建築の仕事がそれにともなって減ってきている。建築士としての仕事は今後なくなってしまうのではないか。そんなことも云われたりしています。
たしかに新しく建てる建物は以前とくらべて減ってきています。しかし、私は建築の仕事がなくなっていくとは思いません。
そこに人が生活するかぎり、建築行為は必要です。建築士の職能はこれからも大きくひろがっていくと考えます。新築ではない建物のアプローチであったり、現実空間だけでない仮想空間への建築アプローチであったり。そこに人がいるかぎり、建築は必要で、時代が進むにしたがって、そのアプローチ方法はどんどん変化し、更新されていくのです。そういう未来をイメージしながら、自分が建築士になったときどんな仕事で役に立つことができすのか?それを常に考えながら一歩一歩前進していってください!
↓こちらの記事はこれから大学の建築学科に進学する学生へ向けて書いた記事になります。興味をもっていただけましたら是非よんでみてください!
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建築をこれから大学で勉強する学生へのアドバイス
今回は建築を大学で学ぼうとしている人たちにに向けて、アドバイスができたらなと思っています。 専門学校に進む方も参考にはなるとは思いますが、私自身が大学の建築学科を卒業した身でありますので、その経験から ...
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