呼び方あってる?建築士と設計士の違いを徹底解説

先日、街で何十年ぶりかに高校の同級生と再会しました。近況を報告し合う中で、私が建築の設計を仕事にしていると話すと、彼は「へえ、設計士さんなんだ!すごいね」と言ってくれました。

建築士である私にとって、その友人の言った「設計士」という言葉が心に引っかかりました。私自身はあまり使わない言葉で、聞くと違和感を覚えたのです。

パソコンで「せっけいし」と打ち込むと、ちゃんと「設計士」と漢字変換されます。世間では浸透している言葉なのでしょうか?

今回は、この「建築士」と「設計士」の言葉の定義を掘り下げ、その違いをはっきりさせたいと思います。


 

建築士は「国家資格」、設計士は?

 

まずは基本的なお話から。私が取得している建築士という資格は、国が認めた国家資格です。一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、建築系の学校を卒業し、定められた実務経験を経て受験資格を得ることができます。

↓一級建築士の受験資格に関する記事はこちら

一方、では「設計士」という名の国家資格は存在するのでしょうか?調べてみたところ、実は**『インテリア設計士』**という国家資格があることを知りました。

私にとっては聞き慣れない資格でしたが、それは管轄が異なるためでした。建築士が国土交通省の所管であるのに対し、インテリア設計士は経済産業省が所管しています。同じ技術や知識でも、管轄によって名称が異なるというのは、不思議な話ですね。

 

業界における「設計士」の捉え方

 

では、一般の人が使う「設計士」という言葉は何を指すのでしょうか。友人を含め、多くの人は建築士と設計士を同じものとして認識しているようです。

しかし、住宅メーカーや工務店のウェブサイトを見ると、**「建築士」「設計士」**が分けて記載されていることがあります。この場合、「設計士」と書かれているのは、建築士の資格を持たない設計担当者を指すことがほとんどです。

つまり、建築業界においては「設計士」は資格を持たない設計者という位置づけで扱われているのが現状です。


 

なぜ、この「違い」をなくすべきなのか

 

「建築士」と「設計士」の言葉の使い分けは、業界内での認識と世間一般の認識に大きなズレを生んでいます。

今、一級建築士の受験資格が緩和され、より多くの若者が資格を取得できるようになりました。この流れの中で、私は「設計士」というグレーな表現は徐々に減らしていくべきだと考えています。

もし一般の方が「設計士」という言葉を使っていたら、私はきちんと「建築士です」と正したいとさえ思っています。

建築士であるスタッフが、その資格にふさわしい能力と報酬を得られる環境を作る。そんな当たり前が当たり前になるよう、いち建築士として、そして経営者として努力を続けていきたいですね。

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