建築学生へアドバイス

悩める建築学生は必見!卒業設計のテーマの探し方

 夏休みも徐々に後半となり、まだ卒業設計のテーマ決めかねている建築学生も多いのではないかと思います

パウレタ(一級建築士)
これってなかなかみつけるの大変ですよね。私もおおいに迷いました

以前このブログで卒業設計を行ううえでの全般的なことに対するアドバイスをお送りしました。

そのなかで卒業設計のテーマについては、どちらかというと全体のバランスに関してのみ述べただけにとどまっておりました。そこで今回は、テーマの見つける方法にしぼっていくつか方法論を整理していきたいと思います。

近年の卒業設計から傾向を探ってみよう!

まずは近年の卒業設計作品をざざーっとながめてみましょうか?

たとえば近代建築から、毎年各大学から卒業設計の優秀作品集が出版されていますよね。あとレモン展やせんだいデザインリーグも書籍やパンフレットなどでまとめられていたりしますこれらからテーマの傾向を探ってみることもひとつありなのではないでしょうか。今、自分と同じ時代の学生がいったいどんなテーマに興味をもって、その問題を建築設計という行為によって解決しようとしているのかを探ってみてください。

社会背景から探ってみよう

今学生として生きている時代とマッチした作品は、話題性をもった目の引く存在となるはずです。社会の流れや動向は今の時代、インターネットで情報があふれています。そこから多くの情報を調べ、建築におとしこめるのかを探ることは骨のいる作業ではありますが、その行為自体、今後のあなたの視点として蓄積されるはずです!

 たとえば私の同級生や後輩、最近の学生でもいるみたいなのですが、近年メディアで登場していました築地跡地の活用というテーマを掲げた人がいましたね。

あそこはなかなかポテンシャルの高く、さらに問題意識が敷地と社会でリンクしているので建築に反映しやすいという部分がありました。オリンピック前ということでまだ注目されている場所でもありますから今年も築地を選択する学生がいそうですよね。

自分に身近な問題をかき集めてみよう

 普段生活している周辺で気になったことの積み重ねも卒業設計のテーマに十分なりえると私は考えます。いつもあたりまえに感じていた風景やその急激な変化はあなた自身のフィルターをとおしてどううつり、建築的な問題意識として生じるのか?

たとえば散歩で歩いていていつも通っていた大きな銭湯が取り壊されていたとします。そういうことをただなんとなくとり過ごすのではなく、

「なんであの建物がこわされたのだろう?」

「跡地には何ができるんだろう?」

そう疑問にもって観察していくことでよりその背景などが掘り下げられることになるかもしれません。このたとえ話は私の友人についてのことなのですが、そこから彼女はその敷地を活用して銭湯にかわるコミュニティを建築でつくりあげることができないかと考えていったわけです。なかなか興味深い卒業設計作品となっていましたよ!

敷地から探ることはテーマを見つける近道となる!

建築は敷地やその周辺環境があって成り立つことを考えると、まず敷地から考えるというのはスタンダードな考えであるということがいえます。さきほど例として取り上げた上記2つに関しても敷地からはじまっています。逆に言うと、大きな社会テーマをもった卒業設計を行おうとしたときに、それに該当する敷地を探すというのはなかなか難しい作業になってきます。何年も期間があればいいですが、半年くらいで設計をまとめるとすると、そのアプローチはおすすめできませんね。

 たとえば私の知り合いで、ごみに関する問題や震災に関するテーマをかかげて卒業設計を行おうとしていた学生たちがいましたが、けっきょく敷地を探しきれずにテーマを先生に変更されてしまいました。上記のテーマがだめとは言いませんが、ある程度敷地にあてがないのであれば(地元がそういう場所であるとかそういう思い入れがあるのであればいいのですが)やめたほうが良いでしょう。

 強いて敷地に関するアドバイスをするならば、今住んでいるところから近い場所を選定するのが良いですね。実家から近いとかでもいいですね。敷地には多くのヒントがかくされていますので、設計で悩んだりした場合にすぐ行くことができるところを私はおすすめします。

おまけ:男女の視点でテーマの立て方は異なる

 以前私が学生の卒業設計の発表会を見学していたとき、総評として招待審査員として出席していたとある建築家が、

「男の子は大きな社会背景から卒業設計のテーマをもっているのに対して女の子のほうは身近な視点からテーマをつくりあげている傾向があって面白いですね。他の学校でも同じような傾向がありました」

ということをおっしゃっていたのが印象的でした。ちなみにその当時の作品の出来から見ると、女子のほうが優秀な印象を受けました。男女どっちのテーマの立て方が良い悪いということはないのですが、やはり身近な自分の視点を大事にしていたほうが、よりオリジナリティを感じさせる内容になっていく場合が多かったですね

パウレタ(一級建築士)
まあ、ご参考までに

様々な情報から建築に発展していきそうなものを選択して掘り下げよう!

 さて、今回は私自身、そして周囲の友人や知り合いの学生さんの例をあげながら、卒業設計のテーマに対する取り組み方について書いてゆきました。けっこう基本的なことなので、なんだ知ってるよと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこが落とし穴です。卒業設計は自由度が高いため、いつもと違うことを行おうと多くの学生はしようとします。そこで図面が描けなくなって悩んでしまう人も出てきたり、いつもの実力を出せずに終わってしまう人がでてきてしまうのも卒業設計あるあるのひとつです。

パウレタ(一級建築士)
要注意ですよ!

もう少し具体的に過去のテーマをデータとしてとりあげてもよかったのですが、できれば読んだ方ご自身でやっていただいたほうがより身になると思いましたので、方法論までにさせていただきました。

パウレタ(一級建築士)
こういうのはご自分でやるからこそ見つかるものです!自分がどんなことに興味があってそこと現代がどう関係しているかでテーマは絞れてくるはずです!やってみましょう!

注意点としては、それらのテーマが敷地の中に建築として表現できるものかということを確認してとらえなおしながら進めていってください

では卒業設計というイベントが素晴らしい経験と思い出になることを願っております!

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