建築学生へアドバイス

建築学生は安藤忠雄の初期作品を勉強せよ!おすすめ4作品を紹介

 現代建築において、日本、そして世界を代表する建築家安藤忠雄。建築を学んでいる日本の学生で彼の名前を知らない人などいないでしょう。

パウレタ(一級建築士)
今やうちの親でも知っているくらいの認知度です!

 彼の創出する建築の代名詞はコンクリート!コンクリート打ち放しを得意とする建築家は多くいますが、でもこの作風はもはや安藤忠雄のものとなっているような気がします。

 そして何よりも、彼自身の個性とメディアとの相性が良いのか、それとも彼が大阪出身の商売人気質なのか、彼の出す本や発信力もまた多くの建築学生に影響を与えてきました。

 そんな彼の初期の作品からなるこの純粋なコンクリート建築と自然要素の関係性が素晴らしいです。若いころというものもあって、中小規模の建築を設計していたのもあると、その建築との向き合う時間も多くつくれたというのもあるのでしょうか、壁で立ち上がっているのがヒューマンスケールで感じることのできる素晴らしい建築です。そのなかで私が特に好きで、学生の皆さんにも見てほしい作品を今回あげてみました。

TIME /Ⅱ

 この商業施設において安藤忠雄は、今まで前例のない川と建築との関係性に対するチャレンジを行っています。それは何かというと、京都の市街地中心を流れる高瀬川と建築を一体に創出するというものでした。

 特筆すべきは建築の外部空間としてもうけられた広場の床と川面との関係です。かなりぎりぎりの関係が保たれていて、数値にすると川に沿った広場は1期工事では川面から45センチメートル、そして2期工事ではさらに30センチメートルまで近づけることを試られました。こういうことができたのは、高瀬川という河川自体が鴨川から分岐していることから、水量を常に一定に保つことができる条件があってのことです。そしてさらには安藤忠雄という建築家による飽くなきチャレンジ精神が建築と川との親和性を追及したことにほかなりません!

パウレタ(一級建築士)
川の増水など様々な検証と役所との交渉が繰り返されたのがここで想像できます

その結果、建築は水面と床が連続しているように見えます。さらにはコンクリート造によって川岸と建築の質感がそろい、川との親和性が表現されています。

パウレタ(一級建築士)
建築と川の境界には手摺も特にありません!

 アプローチも、あえて川沿いからとられています。店舗へ導かれる途中に川と接し、その表情をながめながらアクセスすることができます。その後この建築は2期工事によって反対側の通りまで外部通路がつながり、より親水性のある空間に更新されました。川に開放された回遊性豊かな路地のようです。

 建築を実現しようという建築家の勇気、そして川という自然要素との緊張感をいっそう高めた関係性は、まさにこの場所でこそ実現しうる環境をつくりあげています。

小篠邸(現KHギャラリー芦屋 )

 六甲山の自然が美しい閑静な高級住宅街に、ファッションブランド「ヒロココシノ」のデザイナー、そしてアーティストとしても活動する小篠弘子氏の旧邸宅があります(現在、住宅は氏のアート作品等を展示するギャラリーに改装されました。※予約制による一般公開となっています)。この建築は安藤忠雄がまだ無名だった当時、小篠氏が彼の才能に魅力を感じ、設計依頼をしたそうです。

 建築は住居部2棟が隣り合って平行配置されています。それら2棟は緑豊かな傾斜面に半ば埋めこまれ、玄関は2階、階段で1階リビングへと下りるという構成。そしてこれらを結ぶ通路は地中となっています。内部は異なる質の光が無機質なコンクリート空間に散りばめられながら、周囲の豊かな自然環境との対話を促します。それらは開放的な大開口から展開される庭のながめであったり、地窓から緑と共に忍び込む光であったり、天窓から時間の変化によって様々な軌跡を描きながら降り注いでくる光など様々です。

 円弧からなる増築アトリエ部は、幾何学的な既存部を打ち破った奥行きある建築風景が生まれ、曲線と直線の対比が形態的、空間的に展開されています。内部は円弧の壁に沿うようにスリット窓がもうけられ、そこから注ぎ込む光が空間をダイナミックに演出しています。

 光を純粋に建築化し、自然に対して繊細かつダイナミックな環境を生み出した安藤忠雄も素晴らしいですが、建築を受け止め実現に至ったクライアントの感性と、現在も変化を続けながら空間を活用しているということに感動します。

城戸崎邸

 この建築は東京都心部の閑静な高級住宅街にある3世帯住宅です。施主は建築家ユニット、アーキテクトファイブの城戸崎博孝氏です。

パウレタ(一級建築士)
建築家が同業者に設計を依頼するというのは懐の深さを感じますよね!

そしてよく住宅概要を確認してみると、3世帯という設定がご夫婦それぞれの親御さんと同居するというユニークなものでした。

パウレタ(一級建築士)
奥様とそのご両親、そして自分の親を依頼人としてすまいを設計するというのはなかなか大変な作業ですよね。そう考えると、信頼できる第三者に設計を行ってもらったほうが楽なのでしょうね。少し理解できます

 建築は、敷地四周がコンクリート壁で囲われた閉鎖的なものとなっています。道路に面した箇所一辺だけ円弧状の壁が立ち上がっていて、それがなめらかに奥へと引き込むエントランスアプローチとなっています。

 壁の内側は三層ボリュームの住宅があり、その周囲にテラスなどの外部空間が階段状に計画されています。各々の世帯はこの立体的な外部を介した関係性によって、プライバシーを確保しながら同居しているという安心感の両方を解決しています。それぞれの部屋の開口部も中庭に面しながらも視線が合わないよう、高いもの低いものなど様々な検討がなされています。

 複雑な動線計画は世帯ごとの関係性に配慮がなされたのでしょうが、それ以上に安藤忠雄は空間の迷路性が生活を豊かにするのではないかと考えたようです。これは私自身も共感できる部分があります。自分だけの私的な空間をつくりたいと考えたとき、他人には理解できない迷路のような複雑性が愛着につながっていくでしょう。

光の教会

平成のはじめに完成したこの建築は安藤忠雄という存在をより一般の人たちにも印象づけるきっかけになっていった分岐点の作品であります。

↓以前描いたブログで平成を代表する建築なかに取り上げています!ご覧ください!!

パウレタ(一級建築士)
この作品前後が初期と中期の境界なのではないかと勝手に安藤忠雄ファンとして認識している次第であります

まとめ:安藤忠雄という日本を代表する国民的建築家は小さな建築が原点!

 いかがでしたでしょうか?今や日本だけでなく世界中にファンがいる建築家となった安藤忠雄ですが、その原点は住宅をはじめとした小さな壁が立ち上がる建築です。この空間に私自身は魅力を感じますし、多くの建築ファン、安藤忠雄の建築作品を愛する人たちもそう思っている人たちが多いです。もちろんそれ以降の建築も彼の魅力のわかる作品ですが、それを最初に知っていた建築学生さんにこそ、これらの作品を見てほしいと思います。

参考文献:新建築85年2月号、新建築92年7月号、TADAO ANDO DETAIL‘S、GA71、家(著:安藤忠雄、住まい図書館出版局)

↓そのほかにもパウレタの個人的な好みとなりますが建築作品をご紹介しています!ご興味ありましたら是非!!

-建築学生へアドバイス