建築と働き方

中古住宅をビジネスに!既存住宅状況調査技術者は稼げる?

一昨年あたりでしょうか、「既存住宅状況調査技術者講習」というものを受講しました。修了証がこちら(一部)。

既存住宅なんていうと、小難しく聞こえるかもしれませんが、中古の住宅のことです。その現状を実際に入ってみて調査するというのが既存住宅状況調査技術者となります。こちらのスキルが今後建築および不動産業界にとってどんな存在になっていくか私自身とても興味がありまして受講したわけです。ということで今回は、「既存住宅状況調査技術者」についてをかんたんにご紹介しながら、この仕事が将来的に私たち建築士にとって活かせる仕事、稼げる仕事になっていくのかを考えていきましょう!

日本の中古住宅事情

日本では一戸建て住宅の場合、築25年くらいで不動産価値がほぼゼロになってしまいます。そういう家屋は空き家になっていくことも多く、そうなってしまうと適切なメンテナンスが行われないため、さらに質そのものが低下してしまう現状にあります。

というのもあり、現在の中古住宅の流通シェアは欧米諸国を比べ日本はとても低く、住宅の平均築年数でも半分以下という数値が出ています。

パウレタ(一級建築士)
外国なんかを見ると古い家を大事に使って、中古住宅を買ったり借りたりというのがあたりまえな感じですよね

そんななか、日本では住宅は新築に限る!という昔からの固定概念がやや強い傾向にあり、実際消費者目線からしても、中古住宅を購入するということに対する不安が多いようです。

パウレタ(一級建築士)
実はこの中古住宅にビジネスチャンスが多く潜んでいるのですがね!

私はひそかにそう考えており、地道に勉強をしております。

既存住宅状況調査技術者の背景

中古住宅が資産となるシステムと今後つくりあげていくため、国も徐々に重い腰を上げながら動きはじめてきたひとつが既存住宅状況調査技術者講習の制度です。

建築士による技術者人材の育成と検査の質の確保や向上を目指したものとして、建築の専門家が不動産にも介入し、売主や買主が安心して取引できる市場を整え、中古住宅の流通を活性化させることが期待されています

そして宅地建物取引業法の改正により、2018年4月から中古住宅を購入しようとする際、不動産仲介業者(宅地建物取引業者)と媒介契約を結ぶにあたり、契約前の重要事項説明時などにおいて、

購入予定の建物が既存住宅状況調査技術者による調査がすでに実施されているかどうか?

上記がなされていない場合、その意向があるか?

上記を行いたい場合、調査技術者を紹介してくれるかどうか?

についての説明が必要となりました。もちろんその調査については前述した講習の受講者資格が必要となります。

既存住宅状況調査技術者の仕事内容

建物状況調査は講習を受けた建築士(既存住宅状況調査技術者)が建物調査を実施するわけですが、そのおもな仕事は、

・建物の基礎

・外壁等に生じているひび割れ

・ 構造耐力上主要な部分

・雨漏り等の劣化事象及び不具合事象の状況

などを目視、計測等により調査するということになります。

パウレタ(一級建築士)
たいして建築の専門知識や見識のない不動産屋が説明するより、第三者として建築士がそれを確認するというところが、買い主にとっては安心材料になるのではないでしょうか。不動産屋さんによっては売りたいがためにそういうことをたいして説明しないという業者もいたりしますからね。今はそんな人がいないことを願いますが

ちなみにこの調査は買い主の判断で行うこともできますし、しないこともできます。でも可能なら建物状況調査されることを建築の専門家としてすすめてゆくべきですね!中古住宅を購入する人たちにとっては今後の大切な資料にもなりますし、価格交渉や、まあ極端な話購入を中止する材料にもなると思います。物件を購入する前に、建物の不具合などのリスクをより小さくしたいならばそうしたほうがいいでしょう。

既存住宅状況調査技術者は稼げる?

クライアントとどうつながるか?

建物状況調査は買い手側が基本実施することになります。建物状況調査がされていない場合で、購入者が契約前に調査をしておきたいとき、選択肢は2つあります。

・仲介業者から既存住宅状況調査技術者を紹介してもらう

・自分で専門サイトなどを既存住宅状況調査技術者を探す

つまりクライアントに私たち建築士が出会うためには不動産業者と密な関係であるか、またはサイトに登録して実績を重ねていくというかたちになります。始まって間もない制度ですので、なかなか実績で判断はできませんが、住宅の実務経験、特にリフォーム改修の経験のある建築士に依頼されることが多くなるでしょう。瑕疵担保保健の検査の経験なども評価の対象となりそうですね。ちなに私は知り合いの不動産屋などに声かけ営業をしてみてはいます。

調査価格の相場は?

これは講習の際に、講師に質問をしてみました。まず同じような仕事で木造耐震診断というものがありまして、それが大体15~20万円あたりになります。既存住宅状況調査ですと耐震に関する計算が省かれますので、まあ、10万円前後になるのかなあという回答でした。

まる1日調査をして1日で書類をまとめて、そしてクライアントに説明することを考えるとまあそれなりの値段です。

パウレタ(一級建築士)
もし不動産屋から定期的に仕事を受けるとするならば、10万円弱くらいになりそうですね

ある程度決まった数をまとまって受けることができるのなら、比較的悪くない稼ぎにはなるのではないかなという印象です。

まとめ:中古住宅は今後ビジネスとなるか?

さて、中古住宅はビジネスとなるかという点についてですが、設計をする建築士としては現時点でまだ微妙。ただ将来的にはありだと私は考えています。

住宅分野について

実際に、不動産業者や施工業者などで、中古住宅を買い上げて、リフォームをして販売したり、または貸し出したりしている企業も増えてきています。これはおもに住宅などですね。ただし扱うのが不動産というものであるので、設計事務所として扱うにはリスクが高いんですよね。ある程度そういう会社との連携によって成り立つかなと考えています。

住宅以外の分野について

その他よく問い合わせがあるのが、戸建て住宅をデイサービスに用途変更して活用したいという福祉企業からの相談。ほかには最近よく聞きます民泊ですかね。これもたまにあります。徐々に規制が厳しくなっているらしいので、建築の専門家としてきちんと仕事を行うことで需要がでてくるのではないのかなと考えます。

これらから総括すると、住宅としてのビジネスよりも、どちらかというと、一時的に滞在するようなビジネスのほうが中古住宅として活用しやすいのではないかなという印象があります。

パウレタ(一級建築士)
実際のところ、法整備が進むまでに手をつけていくことがビジネスとしては大事なのですが、建築士という社会的責任を考えるとあまりうかつに手をだしづらいのがこの分野なんですよねえ

でも現在は実験的に中古住宅を活用した勉強はすすめている最中です!その動向などについてはまたあらためてブログでご報告いたしますね!

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