建築学生へアドバイス

新卒と中途採用で異なるポートフォリオ(建築設計作品集)の編集

建築設計事務所や設計関係の企業に就職する際、必要となるのが自分自身の建築作品をまとめたもの、通称「ポートフォリオ」となります。

パウレタ(一級建築士)
採用する側としても、設計で仕事をしたいという人材の能力をあらかじめ知っておきたいと思うのは、まあ、あたりまえですよね。ポートフォリオはそれをわかりやすくあらわした資料になるのです!

就職を希望する側としては、ライバルの中から自分が選ばれるため、そのポートフォリオのクオリティをあげる必要があります。ではどこに注力しながらそれをつくっていったら良いかに対し、アドバイスができたらなと思っています。

新卒採用の場合のポートフォリオのまとめ方

学部卒採用では?

新卒でなおかつ学部卒採用の場合、そのポートフォリオの内容はおもに設計課題がメインで構成されることになるでしょう

基本はこなしてきた課題を時系列で載せていくのがいいでしょう。ストーリーとしては経験年数も重ねていきますので徐々に設計が上手くなっていますよというのが見えるようにしていったほうがいいですね

設計課題以外にも何か載せたいですよね。

パウレタ(一級建築士)
課題だけでは他との個性がつきにくいですし

できればコンペに参加して入賞しているものがあればなおいいですよね!賞金の小さなコンペでいいので、学生のうちにチャレンジしてみましょう結果的にその経験は図面表現の勉強にもなりますからね。小さいコンペでも入賞は入賞です。

いくら大きなコンペに参加しても、入賞していないのなら、あまりそれはアピールになりません。

やる気があるよというアピールにはなるかもしれないけどね。でも落選したコンペをポートフォリオに載せれば載せるほど、私としては評価は低くなるかな。こんだけ出したのにひとつも入賞してないのかよ。ってなる
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
なるほど

その他設計課題とコンペ以外では、学生時代に参加した活動をプレゼンする資料を載せるというのも一つの作戦としてはありだと思いますよ!

たとえば私ですと、学生時代に参加した他大学とワークショップでアートを制作したことがありましたので、それをまとめたり、またヨーロッパやアメリカへ建築旅行にいった記録をまとめてプレゼンしました。これだけでも自分がどんな人間であるのかをアピールする材料にもなるかと思います。

面接時に話題にはなりそうだね。こういう子だったという印象はつけれるかもね。積極性も高評価かな
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
やった!

大学院卒採用では?

大学院卒の場合は、上記以外に卒業設計があると思います。ここは面接はおそらく一番見られますし、質問など、話題になる場所であると思いますのでブラッシュアップして整理しておきましょう

やはり卒業設計で賞をもらっていると大きくプラスだよね
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
まあ、就職活動としては有利ですよね

あとコンペに参加して入賞したものは大学院生であればほしいところですね

個人でやったものであればそのまましれが自分の評価になりますが、グループで設計した場合は自分がどんな位置づけでどんな作業をおもにやったかというのも重要になってくるかと思います。そういうのを意識しながらいろいろ参加やチャレンジをしていってください。

あと大学院の研究室でどんな活動をしていたかもまとめていくべきでしょうね。それがあなたが大学院に進んだ理由を表現することにもなるからです。目的意識をもって進学したかどうかがそれで問われることになるでしょう。

中途採用の場合のポートフォリオのまとめ方

会社の中途採用を受ける場合の人は、やはり採用する会社の意図をよく理解したポートフォリオづくりをしていくべきでしょう。たいていの設計の途中採用においては設計実務の即戦力が求められます

ですので、ページの構成としては学生時代の作品はコンパクトにまとめ、社会人時代に担当した案件を中心に掲載していくのが良いでしょう。順番も最初のページに設計実務の作品を載せて印象づけるほうがいいですね!

そして説明する担当案件では、その建物のどんな設計を担当したのかも明確に伝えれるようにできるといいですね。実務としては基本設計なのか、実施設計なのか、設計監理なのか、それとも全てを一貫して担当していたのか、とか。チームで設計しているのであればあなたはそこでどんな位置づけだったのか?下っ端だったのか、チーフとして動いていたのか、など自分の能力を伝えるためのものをポートフォリオのなかにつめこんでいってください。

下っ端ってわざわざ言う?
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
言わなくてもいいかもしれませんね(笑)。でもそこでどんな図面を作成したか、とかCGを描いたとか、模型をつくったとか、そういう情報でアピールできるものがあったらそれはおおいに活用するべきだと思いますね!

ポートフォリオのファイリングについて

私は就職時はもちろん面接を受けましたが、働いてから就職の面接官をやる機会もありました。その2つの観点からお話しさせていただきます。

ポートフォリオのサイズ・大きさ

これは率直に、A3サイズのクリアファイルに作品を載せて、面接時には見開きでひろげて横A2サイズという大きさが一番つくりやすいし、持ち運びもしやすいです。さらには面接している側も見やすいと思います。

ただし、一応A2サイズで見開き横A1サイズも必要になってくるときもあります。

パウレタ(一級建築士)
面接官が多かったり、年配の方がいて字がみえにくいなどの場合もありますから

ファイリングはクリアファイルか製本か?

私個人はシンプルに透明なクリアファイルに印刷した用紙をはさんでいきましたね。面接を受ける設計事務所によって作品を取捨選択したりしたのでそのほうが便利でした。でも、ライバルたちを見ると、自分でオリジナルに製本している人もいたりしましたね。

パウレタ(一級建築士)
ぱっと見、たしかに期待させる外観にはなるんですよね!
まあ、でも内容が伴ってなければ意味ないよwww。ポートフォリオは載せている作品が主役だからさ!
先輩(一級建築士)

目次と自己紹介は入れよう!

あくまでもポートフォリオは第三者に自分を売り込む資料です。他に履歴書も用意すると思いますが、ぱっと見やすい自己紹介のページや目次もいれておくのが親切です。名刺がわりですから!

こういう気遣いはけっこう見られていると思うよ。設計と編集って近いものあるじゃん?
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
ですよね~

まとめ

いかがでしたでしょうか?

私からの一番のアドバイスとしては以前書いたブログでも言いましたが、まとめて一気にポートフォリオをつくってしまおうと思わないことです

 

できればその作品が完成した2ヶ月以内くらいにはブラッシュアップしてまとめるようなスケジュールで行ったほうがよいと思います。一気にやってしまうと、上記のページからなるプレゼンテーションのためのストーリーをきちんと整理する時間がなくなってしまいます。

パウレタ(一級建築士)
私はこれで後悔しましたね。もっと早くから自分の作品を整理しておけばよかったです。。

そうそうもうひとつ。苦労してできたポートフォリオ。それが完成したことで、少しほっとしてしまう人もいます。でも、面接などではそれをただ見てもらうだけで終わりなんていうことはほとんどありません。それをもって、自分の作品を面接官に説明しなければいけません。ポートフォリオの流れについてや、作品そのものの説明をきちんとできることで、あなたのこれまでの成果や、あなた自身の建築に対する考えや熱いおもいのようなもの伝わることになります。

ポートフォリオとあなたは二つで一つということを考えながら、どうすればその内容が伝わってもらえるかをよく考えましょう!

きちんとポートフォリオを自分を伝えるストーリーを組み立てておくといいよね!
先輩(一級建築士)
パウレタ(一級建築士)
あと将来的に自分の後輩に参考として見せれるようにはしていきたいですよね!就活前に先輩のポートフォリオを見せてもらっておおいに勉強になりました!

皆さんが建築社会人の一歩をふみだすための大切なポートフォリオ、自分の設計の時代を表すこのひとつの作品をひとつの分岐点としながら、社会に行ってご活躍してほしいなと思います。

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