以前、建築学生のために卒業後の建築関係の就職先に関するブログを書いてお伝えしましたが、今回は建築設計という職から少し方向性を変えて転職した方々の職種とその関連性についてを書いていこうと思います。
やはり今の時代、建築のあり方がどんどん変わっているなかで、設計事務所で働いていて、向いてないなと思って辞めていく人よりも、このまま建築の設計が仕事でいいのかなと思って転職していく人が多いです。私の職場の同期や大学の同期にもそういう人が多くいました。私は建築の設計の仕事を今もさせていただいてますが、今になってきてやっと彼らの考えていることが少しずつ理解できてきたような気がします。
そこで今回は建築設計から転職を経た人たちがどのような仕事をしているのかをネットワークで限られるだけ調べたものをあげてみました。とは言いましてもここでは建築やものづくり、デザインなどに関係する職種に絞ってお話していきます。これらに携わるだけでもいろいろ種類はありますよ!
※上記のご紹介ページとあわせてごらんになるとよりわかりやすいと思います
現場監督
設計から現場の世界へ転職する人もけっこういますね。そういう人の多くはやはり現場が好きだということでしょう。実際に建物が建っていくことをより身近に感じる作り手として建築に関わることが自分にはあっているんだということに仕事をしていて気づくのはけして悪いことではないですし、それが自分らしい建築に対する仕事のしかたになるはずです。
ちなみにやはりどちらかというと設計よりは施工のほうが仕事はコンスタントに入ってきますので比較的安定的な収入になるというのもそっちに転職する理由だったりするのを知人から聞きましたね。
ハウスメーカー営業
設計業はサービス業でもありますので、営業職でもクライアントとのコミュニケーション力は生かせるでしょう。打ち合わせでご成約を高めるうえではその場で簡単なプランニングなどができると大きいでしょうね。その点では設計経験者としておおいに活躍できるのではないでしょうか。コスト感覚もあるならばなおいいでしょうね!つまりハウスメーカーにいるプランナーも限りがあるはずですし、繁忙期にはもしかしたら優秀なプランナーはとりあいになるということもありえる。そう考えると設計ができる営業マンというのはかなり優秀なプレイヤーとして企業で活躍できるのではないでしょうか。
公務員
設計事務所につとめていて、法規や制度設計に興味をよりもったり、より俯瞰した視点で都市や建築に関わりたいと考える人は公務員の技術職へ転職したりする人も多いです。広い範囲で行政に関わりたいと総合職に進む人もいますが、建築設計からですと圧倒的に前者への転職が多いですね。
より建築の設計を知っていたり興味をもっていたりすると、設計にあたっての事前相談や提出時による対応がスムーズですし、設計側としてもやりやすいし、やりとりしていてストレスがありませんね。
あとはまあ給料もかなり安定しているので、その道に切りかえたというのも大きな転職理由であるかと思います。
民間確認申請機関職員等
設計事務所に勤めていて公務員を経由して働いている人と私は会ったことがあります。その人は設計事務所時代、公務員時代というふたつの肩書きから得たネットワークを活用して自分自身で民間確認申請機関を立ち上げ仕事をしています。
インテリア・リノベーション関係の設計や施工
新しく建築をつくるということはそれなりに時間がかかります。でも建築そのものがすでにあってそれをもとに設計して施工するのはその半分以下の期間でできることが多いです。時代の流れからこういう分野に興味をもったり、もっとたくさん案件をこなしたいと考えている人はこういうところに転職していきましたね。たくさんかかえて、どんどん仕事をこなしている実感を味わえるのがいいらしいです
建築プロデューサー、コーディネーター
建築そのものの企画を生み出すことに興味をもってこの仕事に転職した人は大きく2つあり、1つ目は自分自身がクライアントとして建築を建てた発注者、そしてもう1つが設計者として建築がつくられることに関与した人です。どちらも建築のつくられるプロセスを体で感じた経験があるということは、クライアントにとって大きな信頼感を得られるでしょうし、設計者出身であればその実務経験を生かしながらプロジェクトを企画して推し進めていくことができますし、そのプロセスをしっかり管理してゆくことができるはずです。けっこうそういうゼロからほんとうに物事を生み出すことに興味をもった人は私のまわりには結構いて、家であったり、医療福祉施設であったりを企画提案したりし頑張っていますね!
プロジェクトマネージャー(建築コンサルタント会社)
建物を設計、監理してきた経験があるからこそアドバイスできることがありますよね。建物の発注者はそういう実務的な視点を求めていると思います。経験があるとそこにはやはり説得力が生まれますし、当然リアリティが発注者側にもわきやすいことからプロジェクトも円滑に進んでいくでしょう。そこから計画や資金関係に落とし込んでいくことができれば、ソフトがより質の高い建築になるはずです。
資格予備校職員
私の知り合いで、建築士の資格をとるために勉強していたつもりが、何を思ったのか、予備校の講師を始め、結果的にはその予備校の会社に転職した人がいます。試験勉強そのものがおそらく好きなのでしょうね。会社としても建築士でかつ設計実務者が関わってくれるのは心強いでしょうし、受講している学生に対して説得力があるでしょうね。しっかりサポートして立派な建築士を輩出してほしいと思います。
職人
めっきり数が少なくなっておじいちゃんの割合が増えてしまっている職人。設計事務所に勤めていて、あえてその道に進むというのはなかなかの決断意志と勇気がいるものであったと思います。尊敬しましね!
いい若い職人が育っていくように、私たち設計者もできるだけ力になって、これからの建築ものづくりの社会をつくっていきたいと常々思います。
不動産業者
建築設計という分野からこの業界に足を踏み入れようとする人の共通点としては、
「同じ建物やその周辺を扱う仕事なのにどうしてこんなに距離感があるのだろう?」そういう疑問点からはじまって、それら同士をよりうまくつないでいけないか、そう感じる人が多いようです。これはたしかに言われてみるとそうだなと思うことが建築と不動産の業界には多いです。こういう人材が出てくることによって消費者自身もより理解と納得の上、購入にふみきれるはずです。結果的には目指す目的は同じなんです。より笑顔で豊かにその場所に人が生活してくれればいい。それなんです!
CG制作者
建築コンペ、またはプロポーザルにおいて、CGによる表現はもはや当たり前となってきていますよね。大きな設計事務所によっては、その部門が設立されていて、設計部門とタッグを組みながら設計提案のプレゼンテーションを行っている人もいます。私の同期でもそういう人がいて、結果的には自分でCGの制作会社を立ち上げたりしていました。
近年、デザインがより重要視され、デザインされるもの、または状況が増えているなかで、建築のデザインから他のデザインに目線を向け、それに進んでいく人も増えていきました。建築設計は様々な要素から影響を受けてつくられる社会的な財産であることを考えると、それも自然な流れなのかなと思ったりもします。
プロダクトやウェブ、グラフィックなど、分野は様々ではありますが、最近では総合的なデザインやディレクション、またはブランディングなどを総合的に手がける会社の建築・空間デザイン部門の専門家として関わったりする設計者も増えてきています。多くのデザインの専門家といっしょに新しい領域を見つけ開拓しながら建築と他の分野と行き来するような仕事も魅力的ですね!
出版編集者(建築雑誌)
建築が完成すると、写真家に撮影してもらったり、雑誌社に作品を紹介して記事にしてもらったりする機会があったりします。そのやりとりをとおして、より多くの建築に触れたい、そう考える人もいます。建築をつくるより、見て、それを誰かにメディアとして発信したいという気持ちは私も理解できます。特に写真が好きでしたり、文章を書いたりすることが好きであったりする人には適した仕事ですよね。
まとめ
一旦建築設計の道に進んでそこで終わり。今はそんな時代でありません。建築業界の就職に関するブログでもお話ししましたが、この建築の設計という考え方やプロセスは、絶対に設計以外の職種でもいかせるものであるし、そうであると実感している部分もあります。
これからまたどんな時代が待っていて、建築に関わる、またその周辺に関わる仕事が変化していくのか、それに私自身も適応しながら社会とリンクしていかなければなと文章を書いていて思いました!そんな建築の未来や私たちの働き方をこのブログでは引き続き考えていければなと思っています。