建築業界への就職・転職を考えている皆さん、ポートフォリオの作成は順調に進んでいますか?
自分の作品を一つの資料にまとめる作業は、時間も手間もかかり、とても大変な作業ですよね。ですが、このポートフォリオは、あなたの実力や個性を採用担当者に伝える、何よりも大切な「名刺」であり「作品」です。

この記事では、**一級建築士である私が、就職活動での経験と、採用担当者としての視点の両方から、**成功するポートフォリオ作成のポイントを解説します。
1. 新卒者向けポートフォリオ作成ガイド
新卒者、特に実務経験のない学生のポートフォリオは、将来の可能性や熱意を示すことが重要です。
学部卒採用の場合
ポートフォリオのメインは、在学中に制作した設計課題で構成しましょう。時系列で並べることで、「徐々に設計力が向上している」というあなたの成長ストーリーを伝えることができます。
【課題以外で差をつけるポイント】
コンペへの参加: 小さなコンペでも構いません。入賞経験があれば、それは大きなアピールポイントになります。たとえ小さな賞でも、受賞歴があるのとないのとでは、採用担当者の評価は大きく変わります。
学生時代の活動: 設計課題やコンペ以外にも、あなたの個性が伝わる活動をまとめましょう。例えば、他大学とのワークショップで制作した作品や、建築旅行の記録も立派なアピール材料になります。
大学院卒採用の場合
学部卒に加え、**「卒業設計」と「研究室での活動」**が重要になります。
卒業設計: 卒業設計は、あなたの集大成であり、面接で最も注目される部分です。コンセプトや表現方法をブラッシュアップし、誰が見ても分かりやすい構成にまとめましょう。
コンペ: 大学院生であれば、入賞作品があればぜひ掲載したいところです。チームで制作した場合は、あなたがどのような役割で、どのような作業を担当したかを明確に記載しましょう。
研究室の活動: なぜ大学院に進学したのか、その目的意識を伝えるためにも、研究テーマやそこで得た知見を分かりやすくまとめることが大切です。
2. 中途採用者向けポートフォリオ作成ガイド
中途採用では、即戦力となる**「設計実務の経験」**が最も重視されます。
学生時代の作品はコンパクトにまとめ、**社会人になってから担当した案件をメインに構成しましょう。**最初のページに最も自信のある実務作品を掲載することで、採用担当者に強い印象を与えられます。
【実務経験を伝えるポイント】
担当業務の明確化: 担当した建物の**「どの部分の設計」**を担当したかを具体的に伝えます。基本設計、実施設計、設計監理など、あなたの役割を明確にしましょう。
チーム内での役割: チームでの設計が主であった場合、あなたがチーム内でどのような立ち位置で、どのような貢献をしたかを具体的に記載します。「CG制作を担当した」「模型の製作リーダーだった」といった情報でも、あなたの能力をアピールできます。
3. ポートフォリオ作成時の共通アドバイス
新卒・中途に関わらず、ポートフォリオは「相手に伝わる」ことが何よりも大切です。

サイズ・ファイリング: A3サイズのクリアファイルに収めるのがおすすめです。見開きでA2サイズになり、面接官が最も見やすく、持ち運びもしやすいです。製本に凝るよりも、作品のクオリティを上げることの方がはるかに重要です。
構成の工夫: 履歴書だけでなく、ポートフォリオにも目次と自己紹介のページを必ず入れましょう。これは相手への配慮であり、「自分を編集する力」をアピールすることにもつながります。
早めの着手: 一気にまとめて作ろうとせず、作品が完成するたびにブラッシュアップし、ファイリングしていく習慣をつけましょう。後でまとめてしまうと、ポートフォリオ全体のストーリーを整理する時間がなくなってしまいます。
まとめ:ポートフォリオとあなたは二つで一つ
ポートフォリオは、あなたのこれまでの成果であり、建築に対する熱意を伝えるための、もう一つの「作品」です。
面接時には、ただ見せるだけでなく、ポートフォリオを片手に、作品に対するあなたの考えや想いを熱く語ってください。
あなたのポートフォリオ作成をサポートする記事も、ぜひ参考にしてください。