建築設計の仕事では、どんなに素晴らしいアイデアも、クライアントに伝わらなければ意味がありません。
建築プレゼン資料は、あなたの**「思い」を伝えるための道具**です。

今回は、私が建築プレゼンに欠かせないと考えているAdobeの3つのグラフィックソフト、「Photoshop」「Illustrator」「InDesign」について、それぞれの役割と、建築士としての視点から見た活用法をお伝えします。
Photoshop:光と影、そして空間の「空気感」を伝える
Photoshopは、建築パースに命を吹き込むためのツールです。
【建築模型写真の加工】 苦労して制作した建築模型も、写真に撮ると現実とは少し違って見えてしまうことがあります。
Photoshopを使えば、模型写真に**「もう一つの命」**を吹き込むことができます。
例えば、模型の背景に空や街並みを合成したり、光の方向を調整して影を強調したりすることで、模型を単なる模型ではなく、まるでそこに存在するかのようなリアルな空間へと昇華させることができます。この作業は、模型という物理的な存在に、あなたの表現したい「空気感」を与えるための、最後の仕上げと言えるでしょう。
【建築パースの作成】 Photoshopは、CGで作成したパースに、人々や木々、風の流れといった「生活感」を加え、その空間に流れる「空気感」を表現するためのツールです。
単なるCGの絵ではなく、「こんなに心地よい空間になるのか」という感動を伝えることができます。
Illustrator:美しさと説得力のある「論理」をデザインする
Illustratorは、正確さと美しさが求められる図面の作成に欠かせません。
平面図や断面図をただ並べるだけでなく、レイアウトや色使いで「美しさ」をデザインします。線一本一本にこだわり、見やすく、かつ印象に残るプレゼン資料を作成できます。
私は、Illustratorを「思考を整理し、論理を美しく見せるためのツール」として使っています。このソフトを使えば、あなたの設計が持つ論理的な美しさを、説得力のある形で伝えることができます。
InDesign:ストーリーを語る「一冊の本」を作る
InDesignは、複数のページをひとつの資料にまとめるためのソフトです。
建築ポートフォリオの作成においては、特にこのInDesignが欠かせません。
建築プレゼン資料をただのファイルの集合体にするのではなく、まるで一冊の本のように、ストーリー性を持たせてまとめます。プロジェクトの背景から、コンセプト、そして完成予想図までを、読みやすいレイアウトで一貫して見せることができます。
クライアントは、プレゼンの流れを通して、あなたの建築に対する考え方や情熱を感じ取ります。InDesignを使えば、あなたのプレゼン全体に「物語」という一本の軸を通すことができるのです。
クライアントへ「思い」を伝えるAdobeソフト
これらのAdobeソフトは、単なるデザインツールではありません。
あなたの頭の中にあるアイデアを、クライアントに伝わる形にするための、**建築士にとっての「言葉」**です。
もしあなたが、もっと伝わる建築プレゼン資料を作りたいと考えているなら、これらのツールを使いこなすことは、大きな武器となります。