一級建築士試験の勉強方法

一級建築士試験の勉強スケジュールを現役一級建築士がアドバイス!

先日、2020年度の一級建築士試験の製図試験も終わり、今年度は合格発表を残すのみとなりました。手ごたえのあったかた。そうでないかた。または学科試験でふるわず、もう来年を見据えている方、さらには新規で受験の準備をされているかたなど様々であると思います。

来年こそオリンピックがあることを想定すれば(いや、、これも今の段階ではあやしいのですが、、)試験日は早まっていくのでしょうか?
さて、あたりまえなことをあえて言いますが、試験勉強はその学習計画が大事です。でもこれが意外とできません。なぜかというと、たいてい一級建築士試験の受験者は社会人であれば仕事、学生であればその学校の勉強や研究などと同時並行で行わなければならないことが多いからです。
そこで今回は、来年度の試験に向けての学習スケジュールついて、一級建築士である私の見解を書いていきたいと思います。

学科試験にむけての勉強スケジュール

第一関門となる学科試験に向けてはどう準備をおこなっていくかについてをここでは書いていきたいと思います。

学科の勉強期間は?1年間は長すぎる!

学科の試験勉強についてですが、みなさんはどの程度の勉強期間が適切だとお考えでしょうか?学科試験が終わって自己採点をして結果がふるわなければ、そこからまた1年間勉強する!という人もいらっしゃることでしょう。
たしかに勉強する意識や気持ちは大事です。しかしながら私自身はそこに疑問を呈したい。そこまで学科の勉強をあなたは続けることができるのか。試験日にマックスの状態でもっていけるのか?メンタル状態も含めてです。
そんなに勉強を続けることはできないと思うんですよね。仮にがんばったとしても、どこかでぷっつりと糸が切れてしまわないかねない。そういうことを想定してそうならないようにすることも考えるのが大人の勉強方法ではないかと私は考えます。
モチベーションを維持できるような期間の設定をしっかり行うというのがまず大前提です!

勉強時間確保の行う段取りをして年明け本格スタート!

上記をふまえ、ではどうすればいいのか?やはり年内はしっかり勉強に取り組む前の準備で足場を固め、年明けから勉強するというのがいいのではないかと私は考えます。たとえば2021年に受験しようとするのであれば2020年中に何をどうすればよいのかという段取りを行うことが重要です。これは年が明ける前に調整しておきましょう!
学習計画もさることながら、どれだけ時間がとれるかというのがミソ。職場で宣言しておくことも大事です。家族の協力も大事になります。これは予備校に通うことにしている人ならば最初のガイダンスでチューターらしき人が熱心に言ってくるでしょう。そんな記憶が当時某資格予備校に通っていた私にもあります。

勉強時間の密度も段階的設定を行え!


学習計画は最初から細かく行わないことをおすすめします。
まずは1か月単位での学習計画をまずざっくり考えておきましょう。時期によって仕事の忙しさもあるでしょう。そこも予想して勉強できる期間と密度を俯瞰的に見据えて置くことが大切です。もちろん年内に選定したテキスト内容(予備校であればその内容)をざっくり頭に入れ、どの時期までにどの範囲を網羅するか、そしてそのためにはどのくらい学習時間を確保するかというのもやっておくべきでしょう。
あと建築士の学科試験はけっきょくは暗記です。しっかりおぼえて問題をみてすぐ解答する反応が大事になります。しょせん暗記なのでいずれ抜けてしまうことを考えると試験前3か月はみっちり勉強に集中できる環境を自分自身で調整してゆく必要性がありますね。
そして年が明けてからは週単位で何をやるかを決めて、それを実行、そしてやってみてスケジュールがうまくこなすことができたかをチェックする。ということをやっていくべきでしょう。

模試を活用した勉強スケジュールとせよ!

学習計画にあたって、予備校が行っている模試は学校に通う人そうでない人、どちらも必ず活用してほしい部分です。多くの人が受験するので自分自身の立ち位置が客観的に把握できます。たしか私の記憶ですと、3,4回くらいは模試が定期的にあるはずです。模試はそして模試の時期を中心に学習網羅の目標を設定するのがよいでしょう。

おまけ:記念受験は時間とお金の無駄!!


そもそも勉強に時間がとれないで試験にのぞむのはあまり意味がないと私は考えます。記念受験は時間もお金も無駄にします
ちなみに私も就職してすぐ記念受験というか、試験がどんなものか体験してみたものの、やはりある程度勉強をして受験しないと時間の無駄でしかなかったなと思っています。勉強してのぞむのとそうでないのでは緊張感がまったく異なりますからね。

製図試験にむけての勉強スケジュール

勢いの短期計画かじっくり積み重ねる長期計画か?


学科試験をパスして製図試験にむかうことになった場合、勢いの短期計画じっくり積み重ねる長期計画か??というのがまずでてくるかと思います。どちらが良いというのは特にないのですが、そのときの自分の心の状況によって戦略判断をしてみてください。

勢いによる短期計画

まず前者の「勢い」とは、プライドや自信によってモチベーションを上げてどんどん進めることができるか、ということです。この状況は学科試験をパスした1年目のみ有効なカードとなります。なんだかんだでこの勢いというのものが製図試験の勉強の推進力になってきます。試験勉強は短期決戦であればあるほどモチベーションが大きく質に影響してきます。もし自分に勢いがあるのならそれを信じて頑張ってみるというのがひとつの試験を勝ち抜くシンプルな戦略です。私はこれに賭けて製図試験をパスすることができました。
こちらの場合はもう一心不乱に作図とエスキスを多くこなしてつめこんでいくしかありません。それでようやく本番で勝負できるかできないか。というレベルになります。なので予備校通いは必須になりますね。

じっくり積み重ねる長期計画

後者に該当する受験者のパターンは前者以外の人になるます。具体的に言うと、

①新規受験者で勢いにうまく乗れなかった人
②2回目、3回目の既存受験者の人


となります。

①の人がどういう人かといいますと、製図やエスキスの学習に遅れがでてうまくいかない人、そして学科試験の合格基準点ぎりぎりラインにいる人がそれです。この2つはわりと関連性があります。ちなみに私は基準点から10点ほど上にあったのでわりと気持ち的にはラクであったのですが、それでも学科の合格発表の日近くなるとどこか不安になってなかなか製図試験へのモチベーションが上がらなかった記憶があります。なのでぎりぎりラインの人はかなり不安であったろうなと思います。
そういう人は今年はスルー、法改正の恩恵をおおいに活用して来年の試験にかけるというのもひとつの戦略だと思います。あくまでも一級建築士の資格を取得することが試験における目標であるので法改正をうまく活用してみるのも良いでしょう。
このとき、年内にやっておくべきことはふたつ。一つ目は製図スピードを確実に2時間30分で描き終えることができるようにしておくこと。そして二つ目はエスキスの流れをインプットしておくということです。ここはおさえていないといけませんね。そしてかんたんな課題を中心に、課題発表まで2週間に1回は解いていくトレーニングをしておきましょう。

 

②で受験にのぞむ方々については、試験の合格発表後、年明けてまず感覚を忘れないようにトレーニングを積むということが大事になってきます。たとえば新規受験に不合格して二回目の受験をむかえる場合ですと、あと1回あるからという余裕もあって、つい近づいてこないと製図板にむかえないという人も多いはずです。でもそうなってしまったらかど番の可能性が高いですね。新規受験と同じルーティーンでは結果もそのときと同じ、いや、勢いがないのでそれよりも下になることが多いでしょう。
課題発表までは、過去問を1か月に一回6時間30分を確保して解くということをしてゆきましょう。その際に製図スピードが遅ければ製図の練習を他の時間に行ったり、エスキスが弱ければ、行った課題の復習としてエスキスだけ再度チャレンジするという学習を行っていきましょう。

まとめ:学習をある程度誰かに管理してもらうのがけっきょくはラク


やはり頑張ってお金をかけて予備校に通って時間を確保してある程度勉強を管理してもらうのが、今の時代においては一級建築士という資格取得の近道なのかなと思わざるを得ないのがこの試験の現状です。
これからは新型コロナウイルスという環境下もありますので、オンラインのみでの勉強もより発達してくるのでその選択をする人ももしかしたらでてくるかもしれません。
やはり何かしら学習管理を行ってもらうのが近道であることにはかわりませんね。お金をとるのか時間をとるのか。それは受験をされるかたの現在の環境によって選択肢がでてくると思いますので、そこはしっかり決めて受験にのぞんでほしいと思います。

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