建築学生必見!グループ設計を成功に導く「チーム術」

大学の授業で課されるグループ設計は、卒業後、社会に出たときに必ず直面するチームプロジェクトの最高の予行演習です。

グループ設計

しかし、やり方がわからず、意見の衝突でプロジェクトが停滞したり、友人関係にヒビが入ったりすることも少なくありません。

学生時代にグループ設計やコンペで苦労し、その後、実務でチーフとサブの両方を経験した私から、どうすればグループをチームとして機能させ、質の高い成果を生み出せるかのアドバイスをお届けします。


グループ設計の「チーム構成」と意識すべきこと

チームの組み方に正解はありませんが、どのようなメンバー構成でも、機能的なチームにするためには、まず進め方のスタイルをメンバー全員で共有することが重要です。

ここでは、よくある2つのチームスタイルと、それぞれで成功するために必要なことを解説します。

スタイル1:民主主義型(平等スタイル)

このスタイルは、全員が対等な権限を持ち、互いの意見を出し合いながら設計を進める形です。同じ学年や仲の良い友人同士のチームに多く、最も一般的なスタイルと言えます。

民主主義型の最大の落とし穴

平等であるがゆえに、プロジェクトが停滞しやすいのがこのスタイルの最大の弱点です。

  • 意見の衝突: 個性と個性がぶつかり合い、素晴らしいアイデアが生まれる一方で、**「どこで、誰が、どう決めるか」**のルールがないため、意思決定ができず空中分解してしまうことがあります。
  • 責任感の欠如: 「誰かがやってくれるだろう」という意識が生まれやすく、作業が特定のメンバーに偏り、不満が噴出します。

成功のための「リーダーシップとルール」

このスタイルで成功するには、**「強制力のないリーダーシップ」「明確なルール」**が必要です。

  1. リーダーは「調整役」: 誰か一人が調整役となり、議論を仕切り、最終的な決断を下す役目を担うこと。
  2. 「手を動かした人」をリスペクトせよ: チームの最初のルールとして、「手を動かさずに文句や難癖をつけるのはルール違反である」と決めておくべきです。実際に手を動かし、設計を形にしたメンバーを正当に評価し、リスペクトすることが、チームのモチベーションを維持します。

一度方向性が決まり、全員が同じ目標を向けば、このスタイルは非常に早く、質の高い作品を生み出す力があります。諦めず、最初の壁を乗り越えてください。


スタイル2:独裁主義型(剛腕リーダー型)

一人の強い権限を持つリーダーが、チームを強力に牽引していくスタイルです。実務のプロジェクトではチーフ(設計主担当)が責任と管轄を持つため、最も王道で進めやすい形と言えます。

独裁主義型のメリット

  • 推進力の速さ: 意思決定が早く、議論の停滞が少ないため、プロジェクトがスムーズかつスピーディに進みます。
  • 明確な責任: リーダーが最終責任を持つため、メンバーは自分の担当作業に集中しやすく、役割分担が明確になります。

リーダーとしてチームを引っ張るなら

もしあなたがリーダーとして他のメンバーより優れていると感じるなら、どんどん手を動かし、具体的なアイデアを形にして提案しましょう。

ただし、**「努力が報われないメンバー」**を生み出さないために、チーム運営の責任も負う必要があります。

  • 具体的な対処法: 作業をサボるメンバーに対しては、担当教官を交えて話し合うか、設計に必要な経費の負担を求めるなど、リーダーとして毅然とした態度で臨むことも必要になります。

サブポジションになったときに学ぶこと

逆に、もしチームに自分より優秀なリーダーがいて、あなたがサブ的なお手伝いに回ることになったとしても、それは貴重な学習機会です。

私も学生時代に、優秀な先輩のコンペを手伝った経験があります。悔しさはありましたが、その先輩の仕事の進め方、判断基準、チームへの振る舞いを間近で観察し、盗むことができました。これは、将来自分がチーフとしてプロジェクトを動かす際の最高の教科書になります。

今の自分の実力を客観視し、その場で何が学べるかを意識することが、あなたの成長につながります。


まとめ:建物は一人ではできない!

グループ設計で得た経験は、必ず社会人になってから役立ちます。

組織仕事イメージ

建物は設計者だけでなく、クライアント、現場監督、職人など、多くの人の力が集まって完成するものです。このグループ演習は、その「協力」を学ぶ機会なのです。

1. 目的は常に「最高の建築」

意見が衝突したときや、個性の表現で悩んだときは、立ち返るべきはただ一つ。

「私たちの目的は、いい建築を完成させ、それを使う人が喜んでくれるように設計することだ」

この共通のゴールを再確認すれば、些細な衝突は協力へと変わります。

2. 失敗やサブ経験も全て財産

グループがうまくいかなくても、サブ的なポジションに回ったとしても、それは決して無駄にはなりません。

  • 失敗: チーム運営の難しさ、メンバー間のコミュニケーションの重要性を学ぶ貴重な教訓になります。
  • サブ経験: 働き始めのほとんどはサブ的なポジションです。今の経験は、仕事に対する客観的な取り組み方を学ぶ最高の練習になります。

この貴重な機会と時間をうまく今後に生かすかどうかは、あなたの意識と心がけ次第です。ぜひともこの経験を最大限に活用し、素晴らしい設計者になるための勉強をしてください!

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