建築士が実践する、図面を速く描くための仕事術とガジェット

建築士の仕事は、時間との戦いです。特に、詳細な図面を短時間で正確に仕上げる能力は、プロとして不可欠なスキルと言えます。

しかし、「どうすればもっと速く図面が描けるんだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

今回は、私が設計事務所で実践してきた**「図面を速く描くための仕事術」と、作業効率を劇的に上げる「おすすめのガジェット」**について、具体的な方法を交えてご紹介します。


仕事術:作業を速くするための「3つの原則」

図面を速く描くためには、闇雲に手を動かすのではなく、作業に入る前の準備と、思考の整理が重要です。

1. 図面テンプレートの活用:ゼロから作らない

毎回ゼロから図面を作成していませんか?一度作成した図面は、テンプレート化して再利用することを強くお勧めします。

  • 縮尺ごとの図枠:建物規模に合わせて、A1〜A3などの図枠をあらかじめ作成しておきましょう。
  • 標準的な記号や凡例:窓の種類、ドアの開き方、階段の記号など、よく使うシンボルはブロック化しておくと便利です。
  • レイヤー設定:事前に用途ごとのレイヤー(壁、柱、開口部、家具など)を設定しておくことで、後からの修正や印刷設定が格段に楽になります。

2. 思考を可視化する「スケッチング」の習慣

CADでいきなり作図を始めるのではなく、まずは手描きで全体像をスケッチする習慣をつけましょう。

  • 平面計画:部屋の配置や動線、家具のレイアウトをフリーハンドでざっくりと描くことで、CAD作業で迷うことが減ります。
  • 断面検討:建物の高さや開口部の位置関係を事前に検討することで、作図中の矛盾を防ぎ、手戻りを減らせます。 この「ひと手間」が、結果的に全体の作業時間を短縮します。

3. ショートカットキーのマスター

マウスだけでCAD操作を行うのは非効率です。よく使うコマンド(線、コピー、移動、削除など)は、必ずショートカットキーを覚えましょう。

  • CADソフト:AutoCAD、Jw_cad、Vectorworksなど、使っているソフトのショートカットキー一覧を印刷して、デスクに貼っておくのがおすすめです。
  • OS:Ctrl+C(コピー)、Ctrl+V(貼り付け)、Ctrl+S(保存)など、PCの基本操作もキーボードで行う癖をつけましょう。

ガジェット:作業効率を劇的に上げる「3つのアイテム」

次に、日々の作業を快適にし、効率を上げてくれる便利なガジェットを紹介します。

1. 高性能なマウスとマウスパッド

マウスは建築士の「相棒」です。一般的なマウスではなく、ボタンのカスタマイズが可能な多ボタンマウスを使うことをお勧めします。よく使うコマンド(例えば「線」や「コピー」)をボタンに割り当てれば、いちいちキーボードを叩く手間が省けます。 また、マウスパッドは滑りが良く、手首の負担を減らすエルゴノミクス(人間工学)に基づいたものが理想的です。

2. デュアルモニター(マルチディスプレイ)

モニターを2枚使うことで、作業効率は劇的に向上します。

  • モニターA:CADソフトを全画面表示
  • モニターB:PDFの資料、Webサイトの参考画像、メールソフトを表示 いちいち画面を切り替える手間がなくなるため、作業の流れがスムーズになります。

3. ドキュメントスキャナー

紙の資料や手描きのスケッチを素早くデジタル化できるドキュメントスキャナーは、情報の管理を劇的に効率化します。

  • 資料の整理:クライアントから受け取った図面や、古い資料をPDF化してデータで管理できます。
  • スケッチの取り込み:手描きで描いたスケッチをすぐにCADの背景として取り込み、清書する作業が楽になります。

まとめ

図面を速く描くためには、才能やセンスだけでなく、**効率的な「仕事術」と、それを支える「道具(ガジェット)」**が不可欠です。

まずは、今日からできる小さなことから始めてみてください。ショートカットキーを一つ覚える、テンプレートを作ってみる、など。

これらの方法が、あなたの仕事の質を高め、より多くの時間を創造的な作業に使うきっかけになれば幸いです。

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