家づくりはそう何回もすることのできない一生ものの買い物です。そのとても重要な買い物イベントを、設計事務所、工務店、ハウスメーカーなどがある中でどことチームを組んで行うかはとても大切なことです。
家は設計者、施工者、職人など多くの人の協力によりつくられていきます。そしてその完成後も、家は維持管理を日々し行っていかなくてはなりません。家づくりとはつくって、そしてその後も含まれるわけです。その長い長いお付き合いをするためのチーム作りがいかに大事であるかを私はこのブログで伝えたいです。
とはいえ、一般的にはどの設計事務所、工務店、住宅メーカーなどにすればよいかわからないというのが正直な気持ちであると思います。
そこで今回は住宅の設計をてがける建築士として、設計事務所、工務店、ハウスメーカーの探し方と選び方についてのポイントをお伝えしたいと思います 。
ちなみに私パウレタは、現在一級建築士として設計事務所を運営しております。その以前は設計事務所や設計施工の住宅会社など、家づくりに関する企業で勤務経験がありますので、3社に関するメリットデメリットなどがわかります。
是非家づくりの参考材料にしていただけたら幸いです。
最初にどういうシステムで家づくりをするか決めよう!
はじめにどういうシステムで家づくりを行うかを選択してください。大きくは以下3つのパターンに分けられます。
・設計事務所(施工は工事会社が行います)
・工務店(設計施工の住宅会社もこちらに含みます)
・ハウスメーカー
上記にあげました選択肢は、それぞれ家づくりに対するスタンスが違います。ではそれぞれがいったいどんな方向性をもって家づくりを行っているのかそのメリットとデメリットをあげて比較してみましょう。下の表を見てください。
メリット | デメリット | |
設計事務所 | ・設計をゼロベースから行うため自由度が高い
・設計者と施工者各々が独立しているため、工事監理の二重チェックがより機能し、工事の品質を高めることができる ・設計者が施主の代理人として設計、見積調整、工事監理などの交渉等を行うため、こだわりの強い案件であればあるほどその実現性は高い |
・設計、監理料に対する費用が他2社と比べて高くかかる
・設計と施工が独立しているため、設計図面の作成、見積りの調整期間が他2社と比べて長くかかる ・設計と施工が独立しているため、途中段階での工事費の数値がでない |
工務店 | ・設計と施工が同じ会社なので経費である設計費用を安く抑えることができる
・設計と施工をいっしょに検討できるので、潜在的には設計に対する自由度は高い(社風や担当者にもよる) ・設計と施工が同じ会社なので見積調整に時間がかからない ・地域密着型の工務店であれば、完成後何かあったときの対応が早い |
・設計力を判断しづらい(設計の考え方を独自にもつところは割合としては少ないため)
・決め手をみつけづらい(様々なスタイルの会社があるため) ・1つの会社で家を建てるので監理チェック機能が1つのみとなる |
ハウスメーカー | ・住宅を規格化、工業化し、システムとして構築しているため、商品としての安定感があり、工期も短期間で完成する
・ローンなど金融関係のサポートも充実している ・大手のメーカーであればあるほどブランド力による安心感がある |
・設計の自由度に制約があり、イレギュラーな案件は苦手なことが多い(不整形な敷地、規格を外れた提案など)
・施工は下請工務店に委託している場合とが多いため、工事管理体制によって質が左右される(ここは事前に確認したほうがよい) ・ブランドメーカーであることから、上記2社と比べ広告費や人件費にお金かけている分、建設コストも比較的割高 |
いかがでしょうか?それぞれ一長一短あるように見えるかと思いますが、まさにそのとおりです。上記のように、3つは家づくりのしかたが異なります。ですので、設計事務所なのか?工務店なのか?ハウスメーカーなのか?自分はどのシステムで家づくりをしたいのかをまずは選んでください!
設計事務所とハウスメーカーというジャンルを超えた比較をいくら比較してもいっこうに答えは出ないからです。
どれにすれば良いか決めかねている方は、以下のとおりのように、
・ 設計事務所→設計した建築作品が好きかどうか
・工務店→会社の打ち出している家づくりのスタイル(方向性)が好きかどうか
・ハウスメーカー→メーカーが打ち出している商品が好きかどうか
と、ご自身や家族が注文住宅を建てるにあたってどんなことを大切にしているか?それをどの設計事務所や工務店、ハウスメーカーが共有してくれそうかということを考えてみて、選択なさってはいかがでしょうか?
ホームページやSNSをチェックしよう!
上記の家づくりのシステムが決定しましたら、候補の会社、設計事務所のホームページやSNSを閲覧してみてください。現在では住宅会社などの紹介サイトがたくさんありますし、雑誌等のメディアも充実しております。そういう媒体からピックアップして絞り込んで、その会社のホームページにいって見ましょう。
今の時代、自社のホームページくらいもっていない会社は候補から除外していいと思います。そして、ホームページを拝見して、会社の情報や方針これまでの作品事例などが整理されている場所に候補をしぼってみましょう。今の時代、良心的な会社であれば自分たちがどういう方針で自分たちの仕事を行っているかぐらいはホームページで表現されてないといけないでしょう。それがクライアントに対する誠意と考えます。
あと、ホームページほど絶対条件ではないのですが、SNSをもしその会社などが行っているならそれもチェックしてみてはいかがでしょうか?スタッフが真面目に仕事について更新しているなら好印象ですね!
直接面談してやりとりしてみよう!
ホームページなどで会社を絞ることができましたら、今度はアポイントをとってそこに訪問して見ましょう。家づくりは人と人との関係性でなりたつところもあります。ホームページだけでは感じることのできない空気感や相性、そしてイメージが共有できる手段をきちんと相手側が準備しているのかを確認しましょう。
ポイントとしては大きく3つあげたいと思います。
人~担当者とコミュニケーションがうまくとれそうか?
まずとにかく、設計者に、あなたの家づくりに対する想いを話し、相手との相性を見てみてください。話がかみあうかどうかというのも大切なポイントです。いくら要望を伝えても、それを理解できない設計者や施工者であれば、家づくりもうまく進みません。他人なのでもちろんぴったり合う、ということはないとは思いますが、まったくかみあわない、波長があわないと感じたのであれば、それはご縁がなかったと考えていただいて私はいいと思います。
伝達媒体~情報共有手段を確認させてもらおう!
次にイメージを共有する手段を確認してください。具体的にいいますと、家づくりにあたって、設計者や施工者は、図面や見積書を作成します。これらの資料材料は仕事をどう彼らが整理しているかということにもなります。ですので必ずその成果品の見本を見せてもらってください。
たとえば、きちんと設計されている2階建住宅ですと、
・図面であれば20~30枚くらい
・見積書だと40枚以上
にはなるはずです。これを満たしていないところであれば、ちょっとおや?と疑問を感じてもいいかもしれません。
あとはそうですね。間取りの提案にあたって建築模型、または3DCGどちらかを作成するかも聞いてみてください。というのも私たちは間取りを見て考える中で空間を一面的に捉えがちです。3次元化することでより理解とイメージが深まります。上記の品がきちんとあるということは、家づくりのやりとりが図面、お金、立体等のかたちとしてしっかり共有されたことになります。このような丁寧な共有のしかたが良い家づくりにつながります。
流れ~スケジュールや打ち合わせの進め方の確認をさせてもらおう!
あと最後にもうひとつは、良い家づくりにおいて、スケジュールや今後の打ち合わせの進め方についてもかんたんにでよいのでうかがってみてください。
良心的な会社は、キチンと標準的な目標スケジュールを準備しています。今から始めたとしてどのくらいで家が建つかくらいの流れを説明できない会社は不安ですね。そういうところはだらだら進めたり、急に急がせたりなどということをして施主を不安にさせがちです。しっかり確認しましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回あげた手順をしっかり踏むことでより良い家づくりのパートナーと巡り合える確率が高まります。選ぶ施主側もしっかり責任をもって上記のことを行うという意識をもてば良い家づくりになるでしょう。しっかり確認して決定材料にしてください。
あと最後にお施主様側にアドバイスさせてください。設計事務所、工務店、ハウスメーカーを選択するにあたっては、施主側も最低限の準備をしてからのぞんでください。それは大体でいいので、ご自身の要望の整理であったり、家づくりの予算の見通しを見てということです。そうすることで、相手側も話がしやすくなると思いますし、施主のふところを探るようなことをしなくてすみます。
では、よい家づくりの第一歩を踏み出せますよう、私も願っております!
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