建築士の資産形成・運用

建築士が購入予定の中古住宅を既存住宅状況調査と木造耐震診断!

 前回の住宅ローン控除について調べた結果から、早急に木造耐震診断を行わなければいけなくなった私たち。

一級建築士が中古住宅購入に向け住宅ローン控除を勉強する!

 ローン審査の期間を活用して、不動産仲介業者立会いもと、まる一日もの時間を費やして、家の隅から隅までを確認してみました。

 まさか自分が購入する住宅の調査を行うことになるなんて考えもしなかったですし、逆に言うと、既存住宅状況調査木造耐震診断講習受けていてよかったあと思ったりした次第です。

既存住宅状況調査

 方法としては日本建築士連合会のホームページからダウンロードしたチェック表をもとに、以下の建物の部位を写真をとりながらおもに目視による確認を行いました。かんたんな説明もいれながらご報告していこうと思います。

基礎

 ひび割れに関するものを外周から目視にて調べます。仕上げ部分を確認し、規定としてあげられている0.5mm以上のひび割れの有無を確認しました。もしあった場合はスケールをあてたりなどして数値をメモします。築22年の住宅なのでもちろんひび割れなどはいくつかありましたが、0.5mm以上のものはありませんでした。

 ひび深さに関しても規定としてあげられている20mm以上のものはなく、コンクリートの著しい劣化についても解くには見受けられませんでした。錆汁これが出てると内部の鉄筋が腐食している場合があります)もなく、鉄筋が露出している箇所もなく基礎まわりはよさそうです!

 内側も何か所か、床下点検口がもうけられてあったのでそこから確認をしましたが、ここは外気にふれていないということもあり、問題はありませんでした。

パウレタ(一級建築士)
床下点検口がしっかりもうけられていて、床下を確認できるというのは建築士としては評価の高い点ですね!確認しやすいです

※ちなみに住宅に床下点検口がない場合は、調査できなかったということで報告書に記載することになっています。

土台

 ここも内側の基礎部分の確認方法と同じように、床下点検口をのぞいて状況を確認します。著しいひび割れもなく、劣化欠損もない状態でしかもしっかり乾燥した状態で設置されていることを確認しました。

 蟻害・腐朽については、目視のほか、手が届く外壁側の土台部材などに手で触れてみたりしましたが、特にそのような痕跡は見受けられませんでした。わりと寒い地域ではあるのであまり心配はしていませんでしたが、春先で暖かくなりはじめた時期でもありましたので、近くに羽ありらしきものがないかよくチェックしました。こちらも特に問題はありませんでしたね!

 今回の調査で私が重点的に見た箇所のひとつです。

 

パウレタ(一級建築士)
やはり何といっても傾いた家には住みたくはないですよね

 これが傾いたとなると欠陥住宅と認定され、購入は断念せざるをえません。なのでしっかり調査するとともに、心の中では何も問題なく極力フラットな床であってくれと願ってもいました。目視による著しいひび割れ劣化欠損、そして沈み部分もないことを確認した私は床の傾斜の測定へ!レーザーによる水準器や、置くだけで傾きが計測されるデジタル式の水平器を活用しながら各部屋すべてを計測しました。

 結果的にはチェック事項で規定されている6/1000以上の傾き部分はひとつもなく、建物は基本的には傾いていないことを確認しました。

柱及び梁

 柱や梁に関しては化粧柱に下げ振りデジタル式の水平器をとりつけて確認をしました。梁は屋根裏点検口があったのでそこから計測できる箇所をいくつかピックアップして計測。ここも特に6/1000以上の傾き部分がないことを確認。柱、梁に関する著しいひび割れ劣化欠損も目視においては見受けられなかったです。たわみも特になかったです。

外壁及び軒裏

 今回こちらの住宅は木造で外壁が乾式工法(サイディングによるもの)ですのでその劣化具合を調査しました。一度10年前くらいにリフォームをかけて外壁を張り替えているのでそこそこきれいではあったのですが、やはりそれなりに年数が経っていますので窓の際部分が劣化してひびが入ってぐずぐずしていました。

 今回は予算が少ないのもあって外壁の交換まではいかないですが、もう少ししたら一気に替えたりしたいなあと思った次第です。

 少しシーリングを施して水の侵入を埋めておく必要もあるのかなあと思ったりしましたね。

内壁

 内壁は下地材を確認する項目があったのですが、破壊しなければそれは無理なので行いませんでした

パウレタ(一級建築士)
基本調査は非破壊で行っています。仕事で行う場合も基本破壊は行いません。購入してないので、そこまでやる必要もないと考えます。悪い物件はもうそういう部分がおもてにでてくることも多いですし、その雰囲気があります。これは建物、住宅に多く触れている建築士であるからわかることなのだと思いますね

傾きも柱の際に計測したように壁に水平器を置いて計測。これで内部に隠れている柱の傾きもいっしょに確認というかたちにしました(確認方法についてはきちんと報告書に記載し、その説明をするというかたちとしております)。

天井

 ここにおいてもまあ仕上げ材にひび割れ劣化がないかの目視による確認となります。ここではおもに構造的な部分ではなく、雨漏りなどによるしみがないかを重点的に確認を行いました。汚れとしみの区別が多少古くなってわかりにくいところは天井裏を確認することとします。

パウレタ(一級建築士)
上記の内壁にはしみなどはなかったので、単なる汚れなのかな

小屋組

 屋根裏点検口がちゃんとあったので、そこで小屋組などの確認をしました。ここも床と同じくらい重要視した部分です。やはり雨漏りのある住宅はNGです。

 点検口をあけ屋根裏をのぞくとしっかり断熱材があることも確認できましたし、屋根裏空間もきちんと乾燥していて、野地板にも雨漏りのしみのあとなども見受けられませんでした。

パウレタ(一級建築士)
天井のしみみたいなものは単なる汚れなのでしょうね

私としてはここをしっかり確認できて、現時点においては雨漏りの心配はなさそうで良かったです。雨漏り等の調査は雨が降った翌日あたりに確認するとその影響はよくわかりますよ

パウレタ(一級建築士)
ちなみに私は雨が降っている日も一応確認させてもらいました

屋根

 ここは一度屋根をリフォームした記録がありましたので、著しい劣化や欠損はなくわりと問題はなさそうではありましたが、外部からは見えない屋根ふき材の接合部のさびがあるのだろうなという跡が見受けられました。予算の関係で今回はふき替えるのは無理そうですが、近々行える準備はしておきたいなと思った次第です。

耐震性に関する書類の有無

 こちらの住宅は確認申請はあたりまえですがとおした物件ということが分かってはいるのですが、確認済証がどこにあるのかわからないという状態でした。結果的には、家の掃除を売り主さんが行っていたときにひょこっとでてきましたがね。しかしながら、やはり20年以前の住宅ということもあって完了検査は行っていないようでした。

パウレタ(一級建築士)
最近ではきちんと完了検査がないといけないですが、当時はまだゆるかったんですよね

結果

 一応調査結果としては悪くはないです。購入してもよいレベルの結果であるが確認できました。もう購入する意識が強く働いているところもあったのかもしれませんが、それを差し引いて客観的に見ても悪くはなかったですね。思っていた以上に良い評価でした。

木造耐震診断

続いて木造耐震診断を行いました。

木造耐震診断の2つの方法

 木造耐震には既存木造住宅の耐震補強の必要性を判断することを目標とした「一般診断法」と、上記の診断のほか、補強計画の提案やその性能を検証するための「精密診断法」の2つがあります。

今回私が行ったのは「一般診断法」です。一般診断法は基本的に非破壊検査となります。

パウレタ(一級建築士)
まだ住宅が買主さんのものでなく、売り主さんのものであるならば、耐震診断として踏み込めるのは一般診断法による検査がほとんどとなります

非破壊なので実際的な部分において不確定要素をふくんだものとなり、計算方法にしても簡易な方法となりますので精密さには欠けます。とは言いましてもある程度の目安はでてきますので、今後の方針をどうしていくかの判断基準にはなるであろうと思います。

 基本的には既存住宅状況調査のチェック項目と被る部分が多いです。簡単に違いをお答えすると、それらチェック項目を既存住宅状況調査はただ報告するだけに対して、木造耐震診断ではチェック項目を数値評価し、計算に反映していくということですね。

診断結果は?

 調査に関しては重なる部分がありますので文章では省略しまして、結論をお伝えしますと、結果は耐震強度を満たしていない評点がでました。ということで住宅ローンの控除はできないことは判明しました。

 やはり築年数がそれなりに経過している物件なので、その分劣化係数もかけられて、けっきょくは基準に満たない数値として結果がでえてしまったという感じです。

結果を受けた私たち家族の判断

 これらの結果から私たちはいかなる決断を行ったか!

結論から申し上げますと、購入を決断しました。

 この決め手はやはり立地ですね。駅からもそれなりに近いこと、公園が近いこと、そして何よりも、保育園を変更しなくていいということ、私たちの環境もあまり変化せずに暮らしていけるということですね。

実物からの判断基準としては耐震診断結果は古いので厳しいであろう予想はしていたのでしょうがないかなとは考えてはいました。特に耐震壁の位置も現場と図面から判断するとバランスも良いですし、間取りも無理のないものであったので、床が傾いていなければOKくらいに考えていました。

その他としては屋根裏空間、床下空間がしっかりとれていたので、いざ配管、配線などのメンテナンスが入る場合でも対応できることが確認できましたのでOKとしました。

パウレタ(一級建築士)
できれば10年後くらいには新築しようと考えているのでそれまでもってくれればというのもありました

 ここは妻も同意をしてくれたのと、あとは妻に関しては子供が自分の中でかなり最優先事項であるのが背中を押したみたいです。私自身も変わった部分もあると思うのですが、子供が生まれてからの彼女の内面の変化はすごい。これが母になるということなのかと。

 ということで、住宅ローン控除を受けることができないことが判明した私たちですが、マイホーム購入を実現するため、引き続き前に進むことになりました。

まとめ+おまけ

 というわけで今回は調査に関する報告ブログでした。でもこういう調査に関する躯体的なレポートが書かれているブログってあまりないと思いますので、これから調査を仕事にしようとしている建築士さん、そしてこれから中古住宅を購入して調査をしようか検討している方などの参考材料になれば幸いです!

既存住宅状況調査と木造耐震診断の費用について

 ちなみに既存住宅状況調査と木造耐震診断は実際にどのくらいの費用か?というのは一般の方は気になるところだと思いますのでお伝えしますね。私の設計事務所では、今回のブログでご報告した、既存住宅状況調査と木造耐震診断については以下の金額設定で承っております(こちらのブログでは受け付けておりません)。

・既存住宅状況調査 10万円

・木造耐震診断18万円

※上記は30坪程度の木造住宅に対する見積もり額となります

(規模によって多少金額は前後します)

※遠方の場合は交通費をいただいております

まあ、高すぎずもなく安すぎずもない平均相場くらいの値段であると思います。今回、私が2つの調査をこれらの講習を修了した建築士として行ったことで合計28万円分の費用が浮いたことになります。

パウレタ(一級建築士)
家族のためにいい仕事ができました!

 中古住宅を購入する予定の方は、既存住宅状況調査は行うことを建築士としておすすめいたします。しかも不動産業者の紹介でない建築士にしたほうがいいですね。きっちりと第3者の目で調査し、ご自身の判断材料にしていただいたらと思います。

 あと木造耐震診断なのですが、本当に補強計画をするつもりがないなら行わないほうがいいです。ぶっちゃけお金の無駄です。結構耐震補強工事はお金がかかりますよ百万円単位になってきますから。実際の経験話をお伝えいたしますと、診断をして見積もりでこのくらいかかりますよとクライアントにお伝えすると、「こんなにかかるの!」と言われてそれで補強もせず終了。というパターンがほとんどなんです。

パウレタ(一級建築士)
ご参考までに

-建築士の資産形成・運用

Copyright© パウレタの建築設計仕事とその周辺 , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.